小さなアヒルの大きな愛の物語 あひるのクワック

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小さなアヒルの大きな愛の物語 あひるのクワック
アニメ:小さなアヒルの大きな愛の物語 あひるのクワック
原作 ヘルマン・ヴァン・ヴェーン
監督 斉藤博
脚本 宮崎晃
キャラクターデザイン ハロルド・ジッパーマン(de)、ハンス・バッハー、白梅進
製作 テレビ東京、テレスクリーン、ZDFTF1、VARA(en)(nl)
放送局 テレビ東京
放送期間 1989年4月3日 - 1990年3月29日
話数 全52話
アルフレッド
ハンク
ドルフ
ウィニー
林原めぐみ
緒方賢一
千葉繁
小林優子
テンプレート - ノート

小さなアヒルの大きな愛の物語 あひるのクワック』(ちいさなアヒルのおおきなあいのものがたり あひるのクワック)は、1989年日本西ドイツフランスオランダにより共同制作された子供向けアニメーションで、原作はヘルマン・ヴァン・ヴェーンによるオランダの舞台劇。アルフレッド・ヨードカス・クワックという名のアヒルが主人公。他の子供向けテレビシリーズに比べて、本作では非常に成熟した、しばしば悲劇的テーマが扱われている。第2話ではアルフレッドの誕生直後に家族全員が車に轢かれて死亡する。その後アルフレッドはモグラのハンクによって育てられる。

作中で言及される政治的テーマにおいても注目される。アルフレッドはファシズムの独裁者と対決し、(白いガチョウと黒いアヒルが暮らす)アパルトヘイト政策下の国から亡命してきた者たちの力になり、漁師からを救い(この点については日本、ノルウェーといった西欧文化圏でない鯨を食用にする文化のある土地からは子供向けの漫画として公正な描き方ではないとする声もある)、自分の国が絶対君主制から立憲君主制に転換する様を見届ける。このようなテーマは典型的な子供向けアニメーションからは遠く、本作の魅力の大きな部分を形成する。他のエピソードでは、日本人のゴルフ好きを風刺し、南北問題を起こす国々を批判している。

この作品は、シリーズを通じて長い期間を描いている点でも異色である。多くの子供向けアニメーションでは登場人物たちは年を取らない。しかし本作では物語の経過にともない、主要登場人物たちの幼少時代から大人になるまでが描かれる。特にドルフという登場人物において顕著で、当初はただの悪童だった彼が、悪の心を持つまでの経緯が丁寧に描かれている。

原作はヘルマン・ヴァン・ヴェーンによる舞台劇で、彼は劇中曲の作詞作曲も担当している。キャラクターデザインはハロルド・ジッパーマン(de)。

本シリーズは多くの国で放送されており、吹き替え字幕によりオランダ語フランス語日本語ギリシャ語英語イタリア語スペイン語ヘブライ語フィンランド語セルビア語ポーランド語スウェーデン語デンマーク語アイスランド語に翻訳されている。

1991年、ヘルマン・ヴァン・ヴェーンは本作によってドイツ・ゴールデン・カメラ賞(en)(de)を受賞した。

1995年4月から1996年3月にかけて、水曜日の朝7時35分~8時03分枠に再放送された。

登場人物[編集]

以下、登場人物の名前は日本語版を基準に記述しています。

  • アルフレッド・ヨードカス・クワックアヒル。幼い頃は家族とともに大きな靴に住み、その後は育ての親であるハンクとともに靴の形をした家に住む。他人に対して思いやりがある。多くの悲しい出来事を経験するが、お気に入りの歌は「Ik ben vandaag zo vrolijk」(今日はとても幸せ)である。
  • ハンクモグラ。家族を失ったアルフレッドを育てた。
  • ドルフはアルフレッドの敵役。「カラス党」の党首。権力に固執する残忍な人物。ナポレオン風の服を身にまとっているが、アドルフ・ヒトラーをモデルにしているのは明らかである(アドルフの通称であるドルフは、第二次世界大戦中に国家社会主義ドイツ労働者党の支持層に人気があったオランダの子供の名前)。ドイツ語版ではKraと呼ばれている。
  • ゲッペは党首ドルフに仕える宣伝大臣。モデルは実在のドイツ宣伝大臣ゲッベルスと思われる。
  • ウィニーは肌の黒いアヒルで、アルフレッドの女友達。
  • バフーン教授はドイツ訛りで話すシロクマで、総合科学教授。原作ではProfessor Paljasと呼ばれている。
  • オーリーはアルフレッドの学校時代の親友で、コウノトリ。成人してからは弁護士となり、さらにドルフの失脚後はウォーターランド初の民主的選挙により大統領に選出される。
  • グラビーはアルフレッドのもうひとりの学校時代からの友人で、カササギ。きらきら輝くものを盗んでしまう癖があり、それが原因で友人たちをしばしば騒動に巻き込む。原作ではPikkieと呼ばれている。
  • フランツ・フェルディナントはライオン。アルフレッドが住んでいる国、ウォーターランドの国王。名前の由来は、実在する歴史上の人物、フランツ・フェルディナント大公
  • リスプは敵役のクラゲ。市長のためにスパイ活動を行っている。発音が舌足らず。

その他[編集]

  • ドルフはファンタジー風のクーデターとは別に数多くの非道をおこなっている。宝石を盗む、武器を輸出する、知的な竜を捕まえて動物園に売る、クラゲのリスプを撃つ、国家選挙運動中にダムを壊し何人かを殺すなどしている。ドルフによる支配の描写では、ナチを皮肉っているのは、ドルフが「民族浄化」を強制していることから明白である。ドルフが実はツグミ(英語名 ブラック・バード)であることが判明、ヒトラー自身も決して「理想的なアーリア人」ではなかったことをほのめかしている。ヒトラーがドイツ人ではなかったように、ドルフは100%カラスに見えるように黄色いくちばしを黒く染めている。
  • アルフレッドの敵は、ドルフとリスプのほかに、堕落したクロコダイル市長、自分勝手な土地所有者のサルのミスター・ニッティーロコパン、貪欲なネコのスクラッチ・ポーズ、アパルトヘイト南アフリカ共和国風の国「アティリケ」である。
  • アパルトヘイトから逃げ出したアルフレッドのガールフレンドのウィニーは、おそらくネルソン・マンデラの先妻ウィニーをモデルにしていると思われる。
  •  女たらしのポップー・スターのアヒルがアルフレッドからウィニーを奪いそうになったエピソードがある。このポップ・スターはプリンスマイケル・ジャクソンをもとにしているようである。
  • 物語の世界は、擬人化された動物が主役であるが、人間も登場する。しかし人間は獰猛な野獣として描かれており、たとえばサーカスの檻に入れられ、ショーのために「人間使い」によって訓練されている。
  • 砂漠の夢のエピソードでアルフレッドはレイフィートという歌手によって、貧しい国の旱魃問題を教えられる。これは1980年代中ごろにボブ・ゲルドフがライブ・エイドを通して行ったエチオピアのための慈善活動を指している。
  • 物語の時代設定はいくぶんシュールである。全体的なテクノロジーや登場人物の服装は20世紀後半にふさわしいものであるが、アルフレッドやバフーン教授はずっと進んだ未来のテクノロジーの宇宙船で旅をする。一方で王の家来、ネコのスクラッチポーズ、ナポレオンの格好をしたドルフなどは、20世紀以前の時代の服装である。他にも、魔法のランプの悪い魔神ジニー、アルフレッドのチェス・ゲームに出てくる生きたチェスの駒、月に住むハーメルンの笛吹き男風の道化師、人間の足以外は完璧なアヒルに見える宇宙人、夢の形式を取る西部劇のエピソードにおいてドルフが自分は漫画のキャラクターであることを認識している(メタフィクション)など、シュールな要素は他にもある。
  • イギリス版では、主人公の名前はアルフレッド・ジョナサン・クワックである。
  • またイギリス版では、ドルフをはじめとする複数のキャラクターの英語の吹き替えをメルヴィン・ヘイズ (Melvyn Hayes)が担当している。
  • デンマーク版では、主人公の名前はRasmus Rapである。
  • オランダ、ドイツ、イギリス版ではアルフレッドは時折、大変な興奮やうれしさを表す表現として「ピッコベーロ (Piccobello)!」というお決まりの台詞を言う。
  • 日本での放送は視聴率が平均1%と大変低かった。番組中で主題歌CDのプレゼント告知が流れたことがあったが、その応募者の少なさは、1ヶ月以上にも渡って告知が継続し、アルフレッド役の林原めぐみの友人が応募したところ当選してしまったほどだったという。
  • その林原めぐみは、この作品はとても思い出深い、印象深い作品であったことを自身のラジオ番組などにおいて折にふれ言及している。
  • トーベ・ヤンソンは『ムーミン』の3度目のアニメ化に難色を示していたが、同じスタッフの手による本作を観たことでアニメ化を許可した。こうして1990年にアニメ化されたのが『楽しいムーミン一家』である。

スタッフ[編集]

  • 原作:ヘルマン・ヴァン・ヴェーン
  • 制作:多葉田一夫(テレスクリーン)
  • 企画:なかはらまき
  • プロデューサー:清水睦夫(テレビ東京)、田村學(テレスクリーン)、高橋澄夫(テレイメージ)
  • 監督:斉藤博
  • 脚本:宮崎晃
  • キャラクター美術・デザイン:ハロルド・ジッパーマン、ハンス・バッハー、白梅進、天水勝
  • 音楽:ヘルマン・ヴァン・ヴェーン、エリック・ファン・デル・ヴルフ
  • 撮影:白井久男
  • 音響:斯波重治
  • 主題歌 - 「約束だよ(OP)」「ハッピー・ハッピー(ED)」
    • 作詞・作曲 - ヘルマン・ヴァン・ヴェーン / 訳詞 - さかたかずこ / 編曲 - 加藤みちあき / 唄 - 林原めぐみ
    • 発売元:ポリドール㈱
  • 制作協力:㈱テレイメージ、㈱ビジュアル80
  • 製作:㈱テレビ東京、㈱テレスクリーン
  • 共同制作:テレビ東京、テレスクリーン、ZDF(西ドイツ)、TF1(フランス)、VARA(オランダ)

各話リスト[編集]

  1. アルフレッド誕生
  2. 初めてのバースデー
  3. 王冠のルビー
  4. 父さんはハンク
  5. ドルフの秘密
  6. レースの行方
  7. 船乗りアルフレッド
  8. マストをあげて
  9. ふしぎなボトル
  10. 魔法のジュータン
  11. 面白サーカスピエロ
  12. チェスの女王夢冒険
  13. ぬすまれた女王の冠
  14. ノコギリザメを探せ
  15. 嵐の海とたたかう!
  16. クジラ探しの大航海
  17. 宇宙からのお友達
  18. 夜空に南十字星輝く
  19. 海はみんなのもの
  20. クワック砂漠に行く
  21. 王様に貸した金貨
  22. 大金持ドルフの野望
  23. カラス党から逃げろ
  24. 皇帝になったドルフ
  25. 空飛ぶ金貨大作戦
  26. 心やさしい雪男
  1. 君の瞳にひとめぼれ
  2. 王様のおくりもの
  3. アトリケへ船は進む
  4. 南海の小島はカメ
  5. 不思議な海底旅行
  6. 海の中のガラス玉
  7. 西部劇はもういやだ
  8. 古代王朝の薬を探せ
  9. 迷路のピラミッド
  10. ピアノなんか大嫌い
  11. 王子様からの招待状
  12. 国境を越えた愛
  13. 魔女のプロポーズ
  14. ぬすまれた設計図
  15. 火山島!謎の大噴火
  16. 怪獣ドラゴンを救え
  17. 王様の新しい国造り
  18. ドルフの危険な賭け
  19. 謎の病原菌大発生
  20. 月のピエロを探せ
  21. 魔法のヴァイオリン
  22. ゴルフがビジネス?
  23. 美しき虹を求めて
  24. 黄金の壺を捜し出せ
  25. 緑の自然を守れるか
  26. ドルフ最後の闘い

参考文献[編集]

外部リンク[編集]

テレビ東京 月曜17:00枠
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あひるのクワック