対称性の破れ
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対称性の破れ(たいしょうせいのやぶれ)とは、場の量子論において、ある高い対称性を持ちうる理論が、より低い対称性を持つ状態になっていることを意味する。
大きく分けて、明示的な対称性の破れ、自発的な対称性の破れ、量子異常による対称性の破れの三種類が知られている。
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[編集] 明示的な対称性の破れ
理論には対称性が高い精度で存在するが、ラグランジアンおよび運動方程式に対称性を破る小さな項が含まれていることをさす。 対称性を満たすとして理論計算したところを出発点とした摂動によって系を理解することが出来る。
標準モデルにおける「CP対称性の破れ」がこの一例である。 1981年において最新の観測結果であったボトムクォークの寿命が理論予測よりも大きいという事実に基づき、B中間子系で観察できるという事が、Carterと三田によって指摘された。これによって、B中間子系がクォーク混合とCP対称性の破れを観測するには重要であると認識されることとなった。なお、クォーク混合に関しては、理論から予測されるよりも数が少ない太陽ニュートリノの減少を説明できるニュートリノ振動とも密接な繋がりを持つ現象である。
[編集] 自発的な対称性の破れ
(詳細は自発的対称性の破れを参照)
理論のラグランジアンや運動方程式自体は対称性を持つが、 真空が対称性を破っている場合を言う。 ワインの瓶は回転対称であるが、系がもっとも低エネルギーの点を探した結果 ワインの瓶底の一点に落ちると、その点は回転対称でないことを想像すればよい。 その際、ワイン底に沿って小さなエネルギーで転がることが出来るが、 これを量子化した粒子を南部ゴールドストーン・ボソンと言う。
ヒッグス機構は、この南部ゴールドストーンボソンがゲージ場と結合して質量のあるベクトル粒子となる機構である。
[編集] 量子異常による対称性の破れ
古典論の段階では理論のラグランジアンに対称性があるが、 量子化に伴ってその対称性が失われてしまう場合を言う。 代表的な例として、古典的にはπ0中間子は 二つの光子には対称性のため崩壊できないが、 場の量子論で扱うと、崩壊できることが示され、実験と一致するのである。
[編集] 参考文献
- イアン・スチュアート、マーティン・ゴルビツキー『対称性の破れが世界を創る―神は幾何学を愛したか?』須田不二夫、三村和男訳、白揚社、1995年。ISBN 4826900678

