富士チャンピオンレース

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富士チャンピオンレース(ふじチャンピオンレース)は、日本自動車レースの1カテゴリー。

概要[編集]

富士スピードウェイで開催されているシリーズ制のレースで、年間7戦開催されている。かつては「富士フレッシュマンレース」という名称で、最盛期には年間8戦開催されていた。

アマチュアレース[1]として長い歴史を誇り、プロレーシングドライバーを数多く輩出している。1970年代から1980年代にかけては若手ドライバー育成の舞台として有名だったが、不景気や若者のモータースポーツ離れにより、1990年代以降はドライバーの高齢化が進んでいる。しかし、現在においても鈴鹿クラブマンレース鈴鹿サーキット)やOKAYAMAチャレンジカップレース岡山国際サーキット)等と共に、日本のモータースポーツの底辺を支えるレースとして存在し続けている。

過去の名称に「フレッシュマンレース」(新人)とあるが、若者とか若年者のレースという意味ではなく、モータースポーツでは実績が無いという意味合いである。そのため、高齢者のエントリーもある。

基本的に日本自動車連盟(JAF)のN1規定の車両により争われるが、中にはナンバー付き(車検取得)車両によるクラスや、N2規定により大幅な改造を認められたクラスも存在する。

2020年は、東京オリンピックパラリンピックのロードバイクレース会場として富士スピードウェイのレーシングコースが使用されることになった都合により、年間4戦で開催。 ただしオリンピック・パラリンピックは翌年に延期されたため、2021年も類似のスケジュールで年間5戦で開催された。

歴史[編集]

富士スピードウェイ開業。
アマチュアレースの富士ホリデーレースを開催。
富士チャンピオンレースと改称し、シリーズ制となる。
富士フレッシュマンレースと改称。
富士チャンピオンレースに再び改称。

開催クラス[編集]

2021年現在、下記のクラスが開催されている。

ジュニア・フォーミュラに属するクラス。
  • 86&BRZ
86BRZによるワンメイククラス。スリックタイヤや指定品エアロパーツの装着が可能。
  • AE111
AE111型レビントレノによるワンメイククラス。
  • ロードスターN1
NA6CE・ND5RC型ロードスターによるワンメイククラス。
  • N1000
排気量1000cc以下の車両によるクラス。主な車両はSCP10型ヴィッツ
  • N1400
排気量1400cc以下の車両によるクラス。主な車両はEP82型スターレット[2]
  • N1500
排気量1500cc以下の車両によるクラス。NCP91型ヴィッツとDE5FS型デミオが参戦可能。
  • AE86
AE86型レビン・トレノによるワンメイククラス。外装は軽量品に、エンジンはAE111型のものに交換可能。
  • NA1600
排気量1600ccのN2車両によるクラス。キャブレターの装着が義務付けられており、広範囲にわたる改造が可能。
  • MR2
SW20型MR2によるワンメイククラス。
  • シルビア・アルテッツァ
S13・S14・S15型シルビアとSXE10型アルテッツァによるクラス。[3]
  • アウディA1
アウディ・A1によるワンメイククラス。車両は一ツ山レーシングが製作している。トランスミッションはATのみ。
  • FCR-VITA
ウェストレーシングカーズ製のレースカーVITA-01によるワンメイククラス。
  • KYOJO CUP
FCR-VITAのうち、女性ドライバー限定のクラス。クラス名は「競争女子」の略。発起人は関谷正徳
  • ロードスターカップ
ロードスターのナンバー付き車両によるクラス。NA6CEから最新のND5RCまで歴代全てのモデルが出走可能。
  • デミオレース
DE5FS型デミオのナンバー付き車両によるワンメイククラス。
  • FCR-Vitz
2021年から新設、NCP131型ヴィッツのナンバー付き車両によるワンメイククラス。前年まで開催していたネッツカップヴィッツレースの後継として、ほぼ同じ車両規定を有する。

かつて存在したクラス[編集]

  • TS1300
排気量1,300cc以下のマイナーツーリング車両によるクラス。主な車両はA110型もしくはA310型サニー
A310型のホモロゲーション切れにより1988年度をもって廃止された。後継クラスはNA1600。
  • N2000
排気量2,000cc以下の車両によるクラス。
ネッツカップアルテッツァレースの後継として2005年に発足するも、エントラントが集まらず開催実績の無いまま翌年廃止された。
  • ユーノスロードスターN2
NA8C型ユーノスロードスターのN2車両によるクラス。1995年に発足するも、エントラントが1台しか集まらず翌年廃止された。
  • マーチN2
K11型マーチのN2車両によるクラス。2003年の富士スピードウェイ改修と同時に廃止された。
  • カローラアクシオGT
NZE141型カローラアクシオGTのN2車両によるクラス。車両はレースカーの状態で新車で発売されていた。エントラントが集まらず、2013年をもって廃止された。
  • デミオ
DW3W型デミオによるワンメイククラス。2017年度からN1400に統合された。
ジュニア・フォーミュラのクラス。他のサーキット同様にスーパーFJへの移行が進み、2014年度をもって廃止された。
  • N1600
AE92・AE101型レビン・トレノ、もしくはEG6・EK9型シビックによるクラス。2015年度をもって廃止された。
  • FCR-F
F4に属するクラス。2018年度をもって廃止された。

その他、RX-7、マーチターボ、フェスティバ等、年代によって様々な車両によるワンメイクレースが開催されていた。

出身ドライバー[編集]

1977年よりTS1300クラスで参戦。1984年にはAE86クラスで全勝し、シリーズチャンピオンを獲得。
1991年よりNA1600クラスで参戦。翌年にはシリーズチャンピオンを獲得。
1988年よりAE86クラスで参戦。翌年にはシリーズチャンピオンを獲得。
1990年にRX-7クラスで参戦。シリーズチャンピオンを獲得。
1987年より参戦。1990年にはNA1600クラスでシリーズチャンピオンを獲得。
1983年よりNP-1600クラスで参戦。デビュー戦で優勝。
1989年にモータージャーナリストだった姉の代役としてAE86クラスで参戦。デビュー戦で3位を獲得。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ プロドライバーの参加が一律に禁止されているわけではないが、FJ1600・スーパーFJについては「GP2FIA F2選手権フォーミュラ・ニッポンF3で6位以内に入賞したことのあるものは参加できない」とされるなど、過去に実績のあるドライバーの参加が制限されるクラスが多い。
  2. ^ コースレコードはAA34S型カルタスが保持している。
  3. ^ シルビアはかつてはNAエンジン限定だったが、2010年からターボエンジン(SR20DET)限定に変更された。アルテッツァは2017年度より追加。
  4. ^ 2020年にヴィッツレースと共に終了。
  5. ^ 併催されるラウンドがある。
  6. ^ かつて開催されていたレース。
  7. ^ 現在の冠スポンサー。出走車両は車体側面のゼッケンの上に同社のステッカーが貼付されている。
  8. ^ かつての冠スポンサー。富士スピードウェイ改修前までは、出走車両は車体側面に同社のステッカーを貼ることが義務付けられていた。

外部リンク[編集]