完全去勢

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完全去勢(かんぜんきょせい)とは、生殖腺のみを切除する狭義の去勢と異なり、生殖器の全てを切除することであるが、通常は男性の外部生殖器のみの完全な除去を行った場合を含める。

歴史上、人間の男性に対して、さまざまな目的でしばしば行われた。

医学的に見た完全去勢[編集]

医学では、完全去勢のことを「全除精術」(total emasculation)と称する。患者への心理的配慮などから、「全去勢術」、「全陰部切断術」という呼称を用いる場合もある。

いずれにしても、陰茎全摘術・両側除睾術・陰嚢切断術を同時に行う大手術で、病変部(腫瘍)が陰嚢にまで達しているなど、かなり進行した陰茎や、男性器への外傷が相当激しい場合に行われる。

手術後は、男性機能は全廃となり、立位の排尿も不可能になる。尿道は陰茎の再建がなされる場合を除き、原則として会陰部、肛門の前方に移設、開口される。

史学・民俗学的に見た完全去勢[編集]

有名なのは中国などの去勢した官吏である宦官の事例である。宦官の去勢の方法は、国や地方によって各種の方法があったが、中国においてはほぼ例外なく「完全去勢」が行われた。

また、宗教的な理由で 自己去勢を行った事例も知られており、このうち、古代ギリシャローマキュベレ教徒や、18世紀ロシアスコプツィ教徒は、儀式の中で「完全去勢」を施していた。

インドでは、現在もヒジュラーという宗教集団があって、その構成員は「完全去勢」をしていることで有名である。

その他、アフリカ東部の部族間の戦争習慣としての捕虜の「完全去勢」が、知られている。

参考文献[編集]

  • 三田村泰助著 『宦官――側近政治の構造』 中央公論新社[中公新書]、ISBN 4121000072。[中公文庫BIBLIO]、ISBN 4122041864
  • 顧蓉著、葛金芳著、尾鷲卓彦訳 『宦官―中国四千年を操った異形の集団』 徳間書店 ISBN 4198914028
  • 三浦哲郎著 『少年賛歌』 文藝春秋社 1982年
  • 寺尾善雄著 『宦官物語―男を失った男たち』 東方書店 ISBN 4497851435
  • 石川武志著 『ヒジュラ―インド第三の性』 青弓社 ISBN 4-7872-7056-7

関連項目[編集]