安全保障化

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安全保障化(あんぜんほしょうか、:Securitization)とは、オール・ヴェーヴァーが提唱した概念であり[1]コペンハーゲン学派の主要概念の一つである。日本語では、安全保障問題化セキュリタイゼーションと表記されることがある。

内容[編集]

安全保障化理論によれば、安全保障のアジェンダは、言語行為によって行為遂行的に決定されるとものである。すなわち、ディスコースを通じて、ある問題が安全保障の問題であるという社会的事実が構築されることで決まるとされる。その構築プロセスは、安全保障化アクターによる脅威の存在の訴え及びその脅威に対処するための非常手段の要請と、オーディエンスによるその主張の受容からなる。安全保障化が成立するか否かは、オーディエンスが受容するか否かに次第である。

安全保障化の行為の基本要素は以下のとおりである。

  • 安全保障化を行う行為主体(Securitizing actor)
  • 脅威にさらされ、保護されるべき対象(Referent object)
  • 争点が安全保障上の脅威だと説明され、受け入れる聴衆(Audience)

それまで安全保障の問題であるとされていたものが、そうでなくなるという、安全保障化とは逆方向の動きは脱安全保障化(desecuritization)と呼ばれる。

文献[編集]

  • Ole Wæver, "Securitization and Desecuritization", in Ronnie D. Lipschutz ed., On Security, Columbia University Press, 1995.
  • Barry Buzan, Ole Wæver, and Jaap de Wilde, Security: A New Framework for Analysis, Lynne Rienner, 1998.
  • O. F. Knudsen, "Post-Copenhagen Security Studies: Desecuritizing Securitization", Security Dialogue, vol. 32, no. 3, 2001.
  • Thierry Balzacq, "The Three Faces of Securitization: Political Agency, Audience and Context", European Journal of International Relations, vol. 11, no. 2, 2005.
  • Rita Taureck, "Securitization Theory and Securitization Studies", Journal of International Relations and Development, vol. 9, no. 1, 2006.
  • Holger Stritzel, "Towards a Theory of Securitization: Copenhagen and Beyond", European Journal of International Relations, vol. 13, no. 3, 2007.
  • Matt McDonald, "Securitization and the Construction of Security", European Journal of International Relations, vol. 14, no. 4, 2008.
  • Mark B. Salter, "Securitization and Desecuritization: A Dramaturgical Analysis of the Canadian Air Transport Security Authority", Journal of International Relations and Development, vol. 11, no. 4, 2008.

日本語で言及している文献[編集]

  • 中島智朗「欧州統合への視座と『理念的なるもの』の位置――コペンハーゲン学派のコンストラクティヴィズムを中心に」『法学新報』110巻3・4号(2003年)
  • 東野篤子「ヨーロッパ統合研究への『安全保障研究のコペンハーゲン学派』の適用をめぐる一考察――EU拡大を事例として」『法学研究』82巻5号(2009年)

脚注[編集]

  1. ^ Ole Wæver, "Securitization and Desecuritization", in Ronnie D. Lipschutz ed., On Security, Columbia University Press, 1995.

関連項目[編集]