大阪市営地下鉄今里筋線

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大阪市営地下鉄 今里筋線
今里筋線を走る80系
今里筋線を走る80系
大阪市営地下鉄今里筋線の路線図
路線番号 8
路線総延長 11.9 km
軌間 1435 mm
電圧 1500 V架空電車線方式直流
最高速度 70 km/h
今里筋線仕様の改札(今里駅)
今里筋線仕様の改札(今里駅)
可動式ホーム柵(今里駅)
可動式ホーム柵(今里駅)
エレベーター(井高野駅)
エレベーター(井高野駅)
開業初日の装飾
開業初日の装飾

今里筋線(いまざとすじせん)は、大阪府大阪市東淀川区井高野駅から東成区今里駅までを結ぶ大阪市営地下鉄の路線。正式名称は高速電気軌道第8号線大阪市交通局では大阪市高速鉄道第8号線と称し『鉄道要覧』では8号線(今里筋線)と記載されている。駅番号を表す際に用いられる路線記号は「I」。2006年(平成18年)12月24日に開業した。

ラインカラーは暖さをイメージした柑子色(ゴールデンオレンジ、マンセル記号5YR6.5/14 ■ )である。

概要[編集]

長堀鶴見緑地線と同じく、標準軌ながら従来の車両より2割ほど断面積の小さい鉄輪式リニアモーターミニ地下鉄を採用し、ワンマン運転を実施している。

国道479号(大阪内環状線)・国道163号国道1号京阪国道)・今里筋市道大阪環状線(都市計画道路森小路大和川線))の地下を走り、大阪市東部を南北に縦断して、放射状に延びる地下鉄路線や京阪本線片町線(学研都市線)などと連絡する。

淀川を地下トンネルで潜る鉄道路線としてはJR東西線に次ぐ路線である(大阪市営地下鉄としては初)。大阪環状線の内側を通らない初の地下鉄路線であり、大阪市営地下鉄の路線で御堂筋線との直接の乗換駅が一切ない唯一の地下鉄路線でもある。この他にも四つ橋線堺筋線とも直接乗り換えができない。大阪市内完結路線ではなく、途中の太子橋今市駅付近では守口市も通る。沿線は住宅地が多い。

駅ホームには大阪市営地下鉄で初となる可動式ホーム柵(車両扉と連動、高さ約 1.3 m)が設置されている。ホームの乗降部分は 1 mm 単位で上下前後に調整できる仕組みとなっており、ホームと車両の隙間は他の駅と比べて極めて小さくなっている。また、駅構内にはオストメイト対応トイレを男女それぞれ1箇所ずつ設置しており、急患患者の搬送にも対応した大型エレベーターも太子橋今市駅を除き2か所設置している。

建設費を圧縮するため、設計が極力共通化されている。ホームのデザインも共通化されている部分が多く、長堀鶴見緑地線が各駅ごとに異なる装飾を施しているのとは対照的である。

今里筋線単独駅の改札、あるいは既存駅で今里筋線に関して新設された改札には、上部に現時刻・発車時刻・列車接近を案内するモニターが備えられている。ホームにも同様のものがあるが、発車時刻は表示されない。

多くの駅で駅構内と一体となった地下駐輪場が併設されている。また、今里筋線単独駅あるいは既存駅で今里筋線開通に関して新設された駅出入口は、遠くからでも目立つように、オレンジ色のゲートを設置しているものが多い。

今後、今里筋の地下を今里駅から湯里六丁目まで延伸することが計画されている(詳細は後述)。

路線データ[編集]

  • 路線距離(実キロ):11.9 km
  • 軌間:1435 mm
  • 駅数:11駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:全線
  • 電化区間:全線(直流 1500 V架空電車線方式
  • 閉塞方式:車内信号式 (CS-ATC, TASC)
  • 最高速度:70 km/h
  • 編成両数:4両(2006年 - )
  • ホーム最大編成両数:6両
  • 混雑率(今里方面行き):69.8%(2012年度:鴫野駅→緑橋駅間)[1]
  • 混雑率(井高野方面行き):55.9%(2012年度:鴫野駅→蒲生四丁目駅間)[1]

運行形態[編集]

ほとんどの列車が井高野駅 - 今里駅の通しで運転され、朝夕時のみ井高野駅 - 清水駅間の区間列車が設定されている。2013年3月23日改正時点の運転本数は、全線通しの列車が平日はラッシュ時が1時間に11 - 15本、日中が1時間に6本(10分間隔)、土曜・休日は朝夕時が9 - 10本、昼間時が6本(10分間隔)。このほかにも、最終列車として今里発清水行が毎日1本運転されている。

清水駅 - 新森古市駅間から鶴見緑地(花博記念公園)へも掘削を行い、車両基地(鶴見緑地北車庫)を建設した。およそ 1 km 先に長堀鶴見緑地線の鶴見緑地駅があるため、この間を接続して同線の工場(鶴見検車場)を共用している。専用の車両工場を持たない他の大阪市営地下鉄の路線としては、千日前線の車両を中央線の森之宮検車場に配置している例がある。

車両[編集]

利用状況[編集]

2007年3月1日に今里筋線の1日あたりの利用者数(乗り換え人員を含めた全駅調査)が予想(約12万人)の3分の1以下(約37,000人)であることが判明し、その後同年6月15日には4月末に行った調査で、他の地下鉄路線と接続していない7駅の利用者数が、1日平均約45,000人であることが判明した。開業後は利用客数が緩やかながらも増加しており、2012年現在は1日平均約62,000人が利用している[2]

既設線との関係により、より深いところに敷設したために乗り換え駅での移動が長くなっている。当初、大阪経済大学関係者の利用(最寄り駅・瑞光四丁目駅)が見込まれていたものの、梅田方面へは太子橋今市駅で谷町線に乗り換えが必要で、かつ移動も大変なため、梅田まで直接行くことのできる阪急京都本線上新庄駅の利用客を奪うことができず、利用者数は伸び悩んでいる。運賃についても、上新庄駅から梅田駅までが190円であるのに対し、瑞光四丁目駅から東梅田駅までは280円と阪急を利用する方が安い。

歴史[編集]

地下鉄今里筋線が通る今里筋には、1957年からトロリーバスが運行され、大阪市電と連携して大阪市内東部と都心部を結ぶ役割を担っていた。しかしモータリゼーションの進展で自動車交通量が増加したためトロリーバスは1969年には廃止に追い込まれ、代わって市バスがその役割を継承したが、渋滞に悩まされないとして、また放射鉄道路線を補完する鉄道路線として、新たな地下鉄の建設が計画された。

1989年運輸政策審議会第10号答申で、今後路線整備を検討すべき路線として上新庄 - 湯里六丁目間が示された[3]。その後、上新庄までの経路となる国道479号(大阪内環状線)と東海道新幹線との交点(大隅1交差点)で地下構造物につかえることが判明したため[要出典]、起点を1996年に当時東淀川区内でも住宅開発が進み人口が急増していた井高野に変更、1999年に井高野 - 今里間の軌道事業特許を受けて翌2000年3月に着工され、2006年12月24日正午に開業した。残る今里 - 湯里六丁目間は後述する経緯から事実上凍結となっており未着手である。

  • 2006年平成18年)
    • 7月6日:愛称・駅名が正式決定。
    • 12月24日:井高野駅 - 今里駅間 (11.9 km) が開業。
  • 2013年(平成25年)3月23日:ダイヤ改正を実施[4]。平日ダイヤの午前8時台の運転間隔を4分間隔から4分 - 5分間隔に変更。日中の運転間隔を8分間隔から10分間隔に変更。これまでの終電後に井高野発今里行きが1本、清水行きが2本増発され、井高野発の終電が今里まで約10分延長され井高野23:50発、清水まで約30分延長され井高野0:10発となる。今里発清水行きの列車が新設され、清水までの終電が約10分延長され今里0:10発となる。

※上記のキロ数は実キロ

建設[編集]

建設区間には非常に難所も多く、なかなか工事が捗らなかった。既設の路線や地下埋設物を避けるためほぼ全線に渡り地下 10 m 以上の深度で走り、特に寝屋川第二寝屋川の真下では地下 30 m 以上の大深度を走る(第二寝屋川の下を潜る鴫野駅 - 緑橋駅では大阪市営地下鉄で最も深い地下 37 m 地点がある)。そのため、既存路線と比較して急勾配区間が多いのも特徴である。

今里筋線が走る区間の地層は、水分が多く軟らかい「超軟弱粘土層」であり、ブルドーザーの身動きがとれなくなることも多かった。地盤を安定させるため、吸水効果のある円柱型の石灰のくいを多数打ち込んだものの、その効果はあまりなかった。

道幅の狭い道路の下も走る。特に道路幅員が 8 m しかない瑞光四丁目駅 - だいどう豊里駅間では、大阪市営地下鉄ではほとんど前例のない、トンネルを上下に掘り進める工法を採用した。清水駅 - 新森古市駅 - 関目成育駅間には急カーブが存在し、特に清水駅 - 新森古市駅間の緑1交差点地下には日本の地下鉄の本線上(車庫や連絡線等を除く)で最も急なカーブ(曲線半径 83 m)がある。この区間では時速 30 km/h 程度に減速して走行する。

これらの影響もあり、ミニ地下鉄の採用で工事全体のコストを 2/3 近くまで圧縮したとはいえ、建設費は約2,718億円(井高野駅 - 今里駅)にも上った。

延伸区間の工事着工問題[編集]

2006年に開業した井高野駅から今里駅までの区間で事業費が2,718億円かかっており、今里駅から湯里六丁目駅までの延伸を行うと、さらに調査費用や工事建設など1,320億円程度の費用がかかってしまうことから、大阪市の財政負担をさらに増やすことになるため、大阪市長(当時)の關淳一2005年11月に実施された市長選挙での公約でこの延伸区間の工事着工を見直すことを掲げていた。

同年11月28日、再選された關は今里駅から湯里六丁目駅(東住吉区)の延伸区間について、大阪市の財政面の問題から当初予定していた2006年度中の着工・2016年度の開業の予定を凍結することを決め、少なくとも1年間以上かけて延伸を実施するか否かを判断するとした。これに伴い、この区間の鉄道事業許可申請も当面延期する。2006年に開業した北半分が採算ベースに乗るような利用状況になれば、南半分の延伸の実施も現実味を帯びて来る可能性があるが、同じく平成になって開業した新路線で、市内中心部を通る長堀鶴見緑地線が全通して10年近く経つ2007年時点でも、厳しい利用状況(2005年度一日平均輸送人員:約88,000人)となっているため、市内中心部を通らない今里筋線の採算性はきわめて低いとされている。さらに、大阪市はそれまでの交通局を公設民営化する方針から急遽転換して『株式上場も視野に入れた完全民営化』する方針を打ち出したため、これが実現した際には、延伸はほぼ実現不可能となる公算がきわめて大きかった。ところが2007年11月に市長に就任した平松邦夫がこれを見直し、当面現行の地方公営企業のままとした。

今里筋線は今里駅から南側への延伸のほかに、井高野駅からの延伸についても

といった提案がなされている。しかし、南側延伸同様の理由のほかに、大阪市を越境してしまうことから、こちらも実現は難しいものと見られている。

未完の構想・答申・計画路線[編集]

区間は構想・答申・計画が出された時点において未完のものを示す。

  • 鉄道網整備調査委員会(大阪府・大阪市の合同構想)(1982年2月)
    • 路線名:森小路大和川線
    • 区間:太子橋今市 - 緑橋 - 湯里六丁目
    • キロ程:15 km
  • 運輸政策審議会答申10号(1989年5月31日)[3]
    • 区間:上新庄 - 太子橋今市 - 湯里六丁目
    • 答申内容:今後路線整備について検討すべき区間。
    • ※前述した通り、建設にあたり起点は井高野に変更されている。
  • 近畿地方交通審議会答申8号(2004年10月8日)
    • 区間:今里 - 湯里六丁目
    • キロ程:6.7 km
    • 答申内容:中期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線。
  • 大阪維新の会「北特別区マニフェスト」(中間試案)(2014年8月7日)
    • 区間:井高野 - 正雀および岸辺
    • キロ程:1.8 km
    • 都心に相応しい“交通ネットワーク”

駅一覧[編集]

全駅大阪府大阪市に所在[* 1]

駅番号 駅名 駅間
キロ
営業
キロ
接続路線 所在地
I11 井高野駅 - 0.0   東淀川区
I12 瑞光四丁目駅
0.9 0.9  
I13 だいどう豊里駅 1.0 1.9  
I14 太子橋今市駅 1.8 3.7 大阪市営地下鉄■ 谷町線 (T13) 旭区[* 1]
I15 清水駅 1.2 4.9  
I16 新森古市駅 0.9 5.8  
I17 関目成育駅[* 2] 1.3 7.1 京阪電気鉄道京阪本線関目駅 城東区
I18 蒲生四丁目駅 1.4 8.5 大阪市営地下鉄:■ 長堀鶴見緑地線 (N23)
I19 鴫野駅 0.9 9.4 西日本旅客鉄道片町線(学研都市線)
I20 緑橋駅 1.2 10.6 大阪市営地下鉄:■ 中央線 (C20) 東成区
I21 今里駅 1.3 11.9 大阪市営地下鉄:■ 千日前線 (S20)
  1. ^ a b 太子橋今市駅の所在地は大阪市旭区とされているが、駅施設の大部分(今里筋線部分については全体)が隣接する守口市内に設けられている。
  2. ^ 関目成育駅は国道1号地下の京阪本線(関目駅付近)と交差する位置にあり、地下埋設物がある関係で、上下線のホームが地下2階と地下4階に分離して配置される。同駅が「関目成育」駅の名称となったのは谷町線に関目高殿駅があり、混同を避けるためである。

輸送実績[編集]

調査年月日 乗車人員(人) 降車人員(人)
定期利用 定期外利用 合計 定期利用 定期外利用 合計
2007年11月13日 6,666 9,963 16,629 6,575 9,690 16,265

駅別乗降人員[編集]

2007年11月13日調査結果[編集]

駅名 乗車人員(人) 降車人員(人)
定期利用 定期外利用 合計 定期利用 定期外利用 合計
井高野 883 1,198 2,081 840 1,176 2,016
瑞光四丁目 1,400 1,343 2,743 1,409 1,304 2,713
だいどう豊里 1,074 1,689 2,763 1,040 1,610 2,650
太子橋今市[* 1] 2,585 2,782 5,367 2,602 2,644 5,246
清水 563 1,082 1,645 537 1,056 1,593
新森古市 949 1,282 2,231 949 1,223 2,172
関目成育 647 1,373 2,020 664 1,371 2,035
蒲生四丁目[* 2] 2,763 4,456 7,219 2,691 4,100 6,791
鴫野 1,150 1,996 3,146 1,136 1,950 3,086
緑橋[* 3] 4,195 5,535 9,730 4,098 5,211 9,309
今里[* 4] 4,130 6,052 10,182 4,032 5,592 9,624

2008年11月11日調査結果[編集]

駅名 乗車人員(人) 降車人員(人)
定期利用 定期外利用 合計 定期利用 定期外利用 合計
井高野 835 1,505 2,340 796 1,454 2,250
瑞光四丁目 1,533 1,627 3,160 1,518 1,616 3,134
だいどう豊里 1,138 2,206 3,344 1,080 2,085 3,165
太子橋今市[* 1] 2,376 3,290 5,666 2,444 3,135 5,579
清水 592 1,289 1,881 586 1,240 1,826
新森古市 935 1,696 2,631 937 1,688 2,625
関目成育 687 1,817 2,504 660 1,775 2,435
蒲生四丁目[* 2] 2,593 5,090 7,683 2,562 4,820 7,382
鴫野 1,238 2,298 3,536 1,197 2,238 3,435
緑橋[* 3] 3,593 6,210 9,803 3,469 5,913 9,382
今里[* 4] 3,594 6,409 10,003 3,515 6,095 9,610
  1. ^ a b 谷町線を含む
  2. ^ a b 長堀鶴見緑地線を含む
  3. ^ a b 中央線を含む
  4. ^ a b 千日前線を含む

脚注[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]