津波警報
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津波警報(つなみけいほう)とは、日本において地震の発生により大きな津波が予想される場合に発表される津波に関する警報・注意報の一種である。基本的に、津波の発生場所が日本の沿岸から600km以内の近地津波の場合には何らかの津波に関する警報・注意報・予報が発表される。気象庁は地震の発生から概ね3分以内(日本近海の場合)を発表の目標とし、津波の到達が予想される沿岸地域と時刻、高さを発表する。
目次 |
[編集] 概要
気象業務法(昭和27年6月2日法律第165号)は「気象庁は、政令の定めるところにより、気象、地象、津波、高潮、波浪及び洪水についての一般の利用に適合する予報及び警報をしなければならない」(気象業務法13条1項)とし、「気象庁は、前二項の予報及び警報をする場合は、自ら予報事項及び警報事項の周知の措置を執る外、報道機関の協力を求めて、これを公衆に周知させるように努めなければならない」(気象業務法13条3項)とする。
津波警報の発表と解除について気象庁は直ちに警察庁、国土交通省、海上保安庁、都道府県、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社又は日本放送協会の機関に通知しなければならない(気象業務法15条1項)。気象庁から通知を受けた警察庁、都道府県、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の機関は、直ちにその通知された事項を関係市町村長に通知するように努めなければならないとする(気象業務法15条2項)。津波警報について通知を受けた市町村長(公衆及び所在の官公署に対する周知)、国土交通省の機関(航行中の航空機に対する周知)、海上保安庁の機関(航海中及び入港中の船舶に対する周知)、日本放送協会の機関(放送による周知)は気象業務法による周知義務を負っている(気象業務法15条3項~6項)。
気象業務法は混乱防止の観点から気象庁以外の者が津波の警報を出すことを原則として禁じている(気象業務法23条)。ただし、気象業務法23条には例外規定が設けられており、政令により「津波に関する気象庁の警報事項を適時に受けることができない辺すうの地の市町村の長が津波警報をする場合及び災害により津波に関する気象庁の警報事項を適時に受けることができなくなった地の市町村の長が津波警報をする場合」については例外的に市町村長が津波の警報を出すことを認めている(気象業務法施行令8条)。なお、気象業務法23条の規定に違反して独断で津波の警報を出した者は50万円以下の罰金に処せられる(気象業務法46条6号)。
[編集] 種類
気象業務法上の「津波警報」について気象庁は予想される津波の高さに応じて「津波」と「大津波」の2種に区分して発表している。津波、大津波とも気象業務法上の「津波警報」の一種であるが、「大津波の津波警報」などといった呼び方ではかえって聞き手(報道を伝えられる側)に分かりにくくなるため、報道機関では「津波」の場合は単に津波警報、「大津波」の場合は大津波警報と区別して報道している。ただ、気象庁の会見などでの記者発表や説明の際には「大津波の津波警報」と述べられることもある。なお、過去に大津波警報が発表された例は1953年の房総沖地震、1983年の日本海中部地震、1993年の北海道南西沖地震、2010年のチリ地震、2011年の東北地方太平洋沖地震の5例(2、3例目の地震では警報の伝達が津波来襲に間に合わず、5例目の地震では警報の伝達は間に合ったものの、停電等の影響で情報が十分に行き渡らず、大きな被害が発生した[1])。
[編集] 津波
- 高いところで2m程度の津波が予測される場合に発表
- 発表される津波の高さ - 1m、2m
[編集] 大津波
- 高いところで3m以上の津波が予測される場合に発表
- 発表される津波の高さ - 3m、4m、6m、8m、10m以上
[編集] 歴史
- 初期の電報書式
津波警報のシステムは1952年4月1日より開始された。開始当時、発表に要する時間は数十分であり、警報により伝達される内容も、部外者には分かりにくい電報書式だった。この書式は、予報対象区それぞれに対し、ツナミナシ、ツナミオソレ、ヨワイツナミ、オオツナミ、ツナミカイジョ、を伝達するものであった。このシステムにより伝えられた津波警報の実例は、1983年の日本海中部地震のものがある。同地震では地震の発生から14分で大津波警報が発表されたが、一部の沿岸にはそれよりも早く7分後に第一波の津波が到達した。また、緊急時の情報伝達の表現自体も問題となった。具体的には、同地震において「5区(東北地方太平洋沿岸) 大津波」を意図していた“ゴクオオツナミ”との表記が、対象自治体の一部により「極大津波」と誤解された。
- 速報性の追求
1985年になると、放送局(主にNHK)が緊急警報放送を行なうようになった。これは、津波警報が発表されると緊急警報放送を行なうものである。このシステムの下での警報は、1993年に起こった北海道南西沖地震において実施された。しかし同地震では5分で大津波警報が発表されたものの、奥尻島には津波警報発表とほぼ同時、またはそれよりも早く津波が到達した。さらに、実際の発表時には、津波の高さに関して高をくくり、犠牲になった住民も多数いた。これは、放送局が気象庁からの予報文をそのまま読むことが規定されていたためである[2]。これらの地震津波による被害は甚大で、さらなる時間短縮および予報文の変更が求められた。
これらを踏まえ気象庁は1999年4月1日、独自開発した新しい津波の予報システムを導入した。それは、あらかじめコンピュータで様々な規模の地震をシミュレーションしてデータベース化し保存しておくというものである。データベース化される内容は、津波がどの地域にどれほどの時間でどれくらいの高さで到達するかという計算結果である。そして地震が起きた際には、即座に当該地震の規模・震源の位置を割り出し、上記データベースから当該地震と最も似たパターンの地震を検索し、津波の発生の有無を特定する。そして、当該地震において津波の到達が予測される場合には、修正を加えて発表する、というものである。これにより発表に要する時間は3分程度に短縮された。また、本予報システムの導入に併せ津波予報区が全66区に修正された。加えて、発表される津波の高さも8つの区分に見直された。一方、放送局から送出される気象庁からの予報文も見直された。具体的には、「場所によっては予報より高い津波が来襲する」とか「津波は1回目よりも2回目以降の方が高くなることがある」など、素早い避難を促す文言が、放送局側によって付け加えるられることとなった。
前述の1999年の導入時には、地震の規模、震源の位置の割り出しに1、2分はかかるため、これ以上の時間短縮は難しいとされていた。そのなかで、2006年10月2日からは、緊急地震速報の技術を活用することにより最速2分以内に津波警報等を発表することが可能となった(一部の地域のみ)。この運用が行なわれた6例[3]のいずれにおいても、NHKは地震発生後の報道特別番組への切り替えの前に津波注意報及び津波警報を報じ始めた[4]。さらにそのうちの3例[5]の場合は津波警報・注意報発表と同時に緊急警報放送を実施することができた。
- シミュレーションの限界
2007年11月28日からは、細かな海底地形を考慮するなどして、津波データベースが一層更新されている。それでも、気象庁が使用しているシミュレーションの予測精度には限界がある。その一つの要因が、計算の前提となっている地震として「傾斜角45度の逆断層型」のみが想定されている点である。このため、実際の地震が「横ずれ断層型」であった場合には、予測される津波高さが過大となり、実測される津波は小さくなる。実際、2002年に発生した石垣島近海での地震において、津波高さ予測は2mであったものの、実際には潮位が微小に変化しただけとなった。別の要因として、気象庁マグニチュードとモーメントマグニチュードの違いを挙げることができる。気象庁マグニチュードがモーメントマグニチュードが小さくなるような地震では、一般に、実測される津波が津波高さ予測よりも小さくなる。
これを受け、2007年7月2日より、津波警報の早期解除を行える運用を開始した。この解除は、地震発生後に予報システムにて津波警報を発した後、地震発生後10から20分程度の間に地震発生メカニズムを解析を進め、津波の第1、2波の監視した結果に応じて、判定される。なお横ずれ断層の解析の対象海域が当初は南海・東南海・東海海域のみであったものの、2008年3月27日からは、千島海溝、日本海溝の周辺海域にまで拡大されている。
逆に、2011年3月11日に発生した東北地方太平洋地震では、実際に観測した津波の高さが、津波警報で予測した津波の高さを大きく上回る事態となった。その原因について気象庁は、「国内のほとんどの広帯域地震計が振り切れたためCMT解を計算できなかったこと[6]」「迅速に地震の規模や震源域の広がりが推定できる手法を開発していたものの東北地方太平洋沖地震の発生に間に合わなかったこと」を挙げている[7]。このことから気象庁は、M8を超える巨大地震と判断できるときには、当該海域で想定される最大マグニチュードの値に基づいて大津波警報や高さ予想を出す予定である[8]。
具体的には、M8に近い規模までの地震については、予想される津波の高さ予測を「細分化されすぎ」ていた8段階から、予測誤差を考慮した防災対応とリンクさせやすい5段階程度に変更する[9]。M8を超える巨大地震と判断できるときには過小評価のおそれがあることから数値として発表するのではなく、定性的な(具体的な高さを明示しない)「巨大な津波のおそれ」と一般的表現としたり、東北地方太平洋沖地震も含め過去の津波被害を引用するなど、津波警報発表地域の住民に災害が具体的にイメージできるような表現とすることを検討している。また、「津波観測情報」における第一波観測の情報についても、巨大地震になれば最大波は第一波の10倍以上に匹敵するおそれもあるため、避難行動に抑制がかからないような内容で発表することを検討中である[10]。
[編集] 警報の発表順序
- 津波による災害の発生が予想される場合、地震発生後最短2分以内(想定東海地震の場合、1分程度で発表することが可能とされている[要出典])、約3分を目標に津波警報・注意報の発表をする。
- 「津波到達予想時刻・予想される津波の高さに関する情報」として、津波予報区ごとの津波の到達予想時刻と高さを発表する。同時に「各地の満潮時刻・津波の到達予想時刻に関する情報」として、地点ごとに津波の到達予想時刻と満潮時刻の情報を発表する。
- 津波が観測された場合には、「津波観測に関する情報」として、実際の到達時刻と津波の高さを発表する。
津波警報発表の目標時間である3分と定められている(当時津波警報は地震発生後5分ほどで発表されたが、その時点で津波が到達していた)。そのため、詳細な到達予想時刻が明記されている「各地の満潮時刻・津波の到達予想時刻に関する情報」では、時刻が異なる箇所が多数発生する。
[編集] 津波警報の伝達が間に合わないケース
以上のように津波情報伝達においてはかなりの迅速化がされているものの震源が海岸にほど近い地点であった場合は地震発生から1~2分以内にあるいは発生後揺れが収まらない内に津波が到達することもあり、今後も警報・注意報の発表が津波到達時刻に間に合わない事例の発生が考えられる(現実に、津波警報等の発表の時点で第1波の到達予想時刻が「すでに到達と推測」となっていたケースは1999年以降でも幾つか存在する)。ゆえに海岸付近の住民は揺れを感じたら津波警報の発表を待つまでもなくすぐに津波の襲来を考えて、安全な高台に避難する事が第一優先といえる。
[編集] テレビ・ラジオにおける報道体制
[編集] NHK
- 緊急警報放送
- 日本放送協会の機関(NHK)は気象業務法により津波警報の周知義務を負っている(気象業務法15条6項)。
- NHKでは津波警報の発表と同時に、全ての放送に割り込む緊急警報放送を実施。国際放送NHKワールドを含む全波で津波関連のニュース速報、報道番組に切り替わる。
- 大地震等の発生の場合でスタジオから各地の震度等の地震に関する情報が放送されており、その間に気象庁から津波警報が発表されたときには即時に画面が切り替わって緊急警報放送が実施されることになる。
- 緊急警報放送の放送中、画面では全画面の日本地図で大津波警報、津波警報、津波注意報が発表されている津波予報区が表示される。この画面では出されている津波に関する警報・注意報の区分に応じて色分けされ、2011年夏期以降、大津波警報を紫色、津波警報を赤色、津波注意報を黄色、地図背景を灰色、海を濃い青色としている。なお、この統一基準の策定以前、1993年7月12日に発生した「北海道南西沖地震」においては「大津波警報」も「津波警報」と同じ赤色の表示となっており区分けも無かったが(但し、22時21分ころから緊急警報放送が実施された22時24分47秒まで札幌局から伝えた道内関係の関連情報では文字で大津波警報の表示を行った)、その後、大津波警報と津波警報の色が分けられ、2011年の統一基準策定までは津波予報区ごとに海岸を黄色(注意報)、赤色(警報)、赤白色の二重線(大津波警報)に色分けして点滅させ警報・注意報発表の旨を伝えていた。
- 津波予報区ごとの津波に関する情報
- 緊急警報放送終了後、アナウンサーが「(大津波警報・)津波警報・津波注意報が発表されました。(大津波警報・)津波警報が発表されているのは次の沿岸です・・・、津波注意報が発表されているのは次の沿岸です・・・」と述べて、津波に関する警報・注意報の区分ごとに発表されている津波予報区が伝えられる。
- 緊急警報放送終了後、画面では津波に関する警報・注意報が発表されている津波予報区を示した全画面の日本地図のほか、津波に関する警報・注意報が発表されている各地方ごとの詳細地図もあわせて放送される(この画面の地図では前記の色分けがなされているほか、各津波予報区ごとに予想される津波の高さが表示されている)。また、これらの日本地図が表示される際には、在留外国人向けに副音声(教育テレビ、NHKワールド・プレミアムを除く。ただし、NHKワールド・プレミアムでも状況により行う場合がある)及びラジオ第二放送で英語、中国語、韓国・朝鮮語、ポルトガル語(英語以外は2007年12月から)による津波報道放送をしている旨、「Tsunami Warning」の表示(赤地に白抜文字)と「Subchannel or Radio2」の表示(白抜文字)が画面上に出される。
- 副音声では、緊急警報放送の直後、まず、日本語で津波警報(あるいは大津波警報)が出された旨が2度伝えられ、それに続いて「NHKでは津波警報(大津波警報)についての緊急ニュースを英語を中心に、中国語、韓国・朝鮮語、ポルトガル語でお伝えします」とアナウンスが入る。そして、各言語で津波警報(あるいは大津波警報)の発表が各言語で伝えられ、その後、津波警報(あるいは大津波警報)や津波注意報の発表されている津波予報区が各言語ごとに繰り返し放送される。
- 字幕スーパー
- 画面上の字幕スーパー等は全画面の日本地図による津波に関する警報・注意報の表示が一旦終わった後に入ることになる。国際放送NHKワールド・プレミアムでは逆U字画面のみが表示され、画面上の字幕スーパーおよび発表域の地図テロップは一切表示しない[11](ニュースセンター側で出される発表域の地図テロップはそのまま表示される。また、逆U字画面スペースの画面上に「この時間は予定を変更して津波関連のニュースをお伝えしています」のテロップが関連ニュースが終わるまでの間、常時表示されたり、「このニュースは日本時間○:○○で終了します」のテロップが表示されることがある)。
- 字幕スーパーの情報は次の通り。
- 地震の発生時刻、発生場所、規模等の情報
- 大津波警報、津波警報、津波注意報の出されている津波予報区の情報
- 各地の震度の情報(震度3以上の地域)
- 第1波到達予想時刻・予想高さ
- この画面では、津波に関する警報・注意報の区分(大津波警報・津波警報・津波注意報)ごとに、津波に関する警報・注意報が発表されている津波予報区、その津波予報区での第1波到達予想時刻・予想高さが示される。あくまでも予想値であるため、一覧の右上に(予想)と表示される。既に到達しているものとみられる津波予報区については「到達と推測」と表示される。
- 観測された津波
- 津波が観測された場合には観測地点、観測時刻、津波の高さが示される。なお、気象庁が発表する情報において、「○○m○○cm以上」という情報が発表された場合には、何らかの理由で検潮所からの情報が計測途中で中断し、正常な計測ができていない場合に用いられている。
- その後の情報
- その後、現地の情報等が入る。以後、津波予報区を示した地図は右下、「第1波到達予想時刻・予想高さ」や「観測された津波」の画面は左下に表示される。
[編集] 民放
民放各局でも津波警報、津波注意報が発表した際には日本地図の海岸を色分けして警報・注意報発表の旨を伝える。2011年夏期以降はNHK・民放各局の統一基準により、大津波警報を 紫色、津波警報を 赤色、津波注意報を 黄色、地図背景を 灰色、海を 濃い青色としている[12](色の統一の経緯については津波警報の#歴史も参照)。
なお、先頭レイヤーで放送されるため、本放送の字幕などがこの表示に重なり隠される。この地図表示は特に津波警報、大津波警報発表時はCM中も消されることなく表示されることがある[13]。また、同じ系列局でも津波の可能性が低い地域では表示しない場合がある。
[編集] BS[編集] CSCS放送では、原則として左上(チャンネルによっては右上)に津波警報[15]発令中を示すアイコンを表示するのみである。 ただし以下のように、CS放送でも一部のチャンネルでは津波警報を画面表示した例がある。
[編集] 脚注・参考資料など
[編集] 関連項目[編集] 外部リンク
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