大年寺山
大年寺山(だいねんじやま)は、宮城県仙台市太白区にある山である。仙台市都心部の南西、長町副都心の北西にある。山の名は江戸時代にあった黄檗宗両足山大年寺に由来する。古くは野出口山、また茂ヶ崎と呼ばれた。大年寺公園とその一部である仙台市野草園があり、他に放送局のテレビ塔3本が建つ。標高は約120m。
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[編集] 位置
仙台市都心部の南側に回り込んだ広瀬川を渡り、愛宕山と大窪谷地を隔てた南方にある山である。山の形は東北東から西南西に長い。最高点とされてきた二等三角点「大年寺」(地図)は標高119.55mだったが、現在は停止(移転)している。
南西斜面に東北工業大学長町キャンパス(地図)がある。北西側斜面に仙台市野草園(地図)があり、山の東側は大年寺公園で、伊達氏代々の墓所(地図)がある。北東側の山裾は広瀬川に近い。
[編集] 歴史
古墳時代には中腹にたくさんの横穴墓が作られた。山の北側に大年寺山横穴墓群、南側に二ツ沢横穴墓群と茂ヶ崎横穴墓群、そのほか愛宕山横穴墓群や宗禅寺横穴墓群などがあり、全体で「向山横穴墓群」と称す[1]。
1696年(元禄9年)、伊達綱村は廃寺になっていた仙英寺を茂ヶ崎に移し、大規模な寺院の造営に乗り出した。翌年、黄檗宗の鉄牛和尚が招かれ両足山大年寺を開いた。これ以後、江戸で死去した者を除く伊達家代々の墓所となり、江戸時代にはその保護を受けて広壮な伽藍を営んだ。当時の大年寺は、全国の黄檗宗の寺院の中でも規模が大きいものであった。明治になってから廃仏毀釈の風潮を受けて伊達家が仏式を止めたため、荒廃した。今も残る建築物は南の入り口にある惣門(地図)だけである。
1918年(大正7年)には、労働者60余人が大年寺山に立てこもった。これは名取郡長町村の東北板紙での労働争議によるものであり、労働者は賃上げを要求して勝ち取った。日本と宮城県の労働運動黎明期の一事件である。
伊達家との関係が切れた黄檗宗は、昭和の初めに大年寺を再興した。これが現在の大年寺で、昔の門前にあたる山麓にある(地図)。
1934年(昭和9年)11月に北隣の八木山とあわせて308.32haが「八木山大年寺風致地区」に指定され、仙台近郊の緑地として開発を抑制された[2]。
第二次大戦後、1950年(昭和25年)に植物園の計画が持ち上がり、1954年(昭和29年)7月21日に仙台市野草園が開園した。1956年(昭和31年)3月21日、NHK仙台総合テレビジョンの開局を先駆けに、山頂には各社のテレビ放送の塔が立ち並んだ。
仙台市は石井亨市長のもとで伊達家の墓所も含め大年寺山に公園を整備する構想を立て、土地取得を進めた。この過程で仙台市が1991年(平成3年)と1992年(平成4年)に4倍の費用で土地を購入したことが1993年(平成5年)9月に明るみに出た。市民団体の仙台市民オンブズマンは、土地を売却した4社を相手取って代金返還代位請求訴訟を11月に起こした。最高裁まで争われたこの裁判では、予算・決算報告を起点にして計算した請求期間1年をすぎてからの住民監査請求は認められないとの判決が2003年(平成15年)に確定した。
[編集] テレビ塔
外観上の特徴は、山上に立つ3本のテレビ塔である。東から、
- 高さ:138m。概観:白。夜間ライトアップ:翌日の天気予報が、晴れなら白色、曇りならオレンジ色、雨・雪は緑色の照明となる。鉄塔の中層部には仙台市街地向けの情報カメラが、下部にはソフトバンクモバイルのPDCアンテナが設置されている。
- 高さ:150m。概観:白。夜間ライトアップ:なし。2001年に地上デジタル放送の整備に合わせ、建て替え。同時に東日本放送のアナログ送信アンテナが、ミヤギテレビの鉄塔から移設された(ミヤギテレビのデジタルテレビ放送用アンテナを設置するため)。こちらには、NHKの情報カメラが南側(長町南駅方向)を向けて設置されている。
- 高さ:125m。概観:赤白。夜間ライトアップ:1時間単位で照明の色が変化する。2004年11月までは、塔下にあるスタジオから番組を送り出していた。
上記の3つの鉄塔がある大年寺山の西隣の八木山にもう1本のテレビ塔がある。
- 東北放送(地上アナログテレビ専用。地図)
- 高さ:120m。概観:赤白。夜間ライトアップ:3色の照明で模様をつくる。
八木山の東北放送を含めた4本中3本の「テレビ塔ライトアップ」は、第10回仙台市都市景観大賞を受賞した[3]。東京からの東北新幹線下りの車中から「テレビ塔ライトアップ」は非常に良く見え、仙台到着のランドマークとなっていることが受賞理由となっている。
なお、仙台空港の航空法の制限表面のうち円錐表面と外部水平表面はが仙台市中心部には設定されておらず、これらのテレビ塔は建設が可能であった。(参照)[4]。
宮城県の地上デジタル放送におけるリモコンキーIDは全国で唯一、鹿児島県と全く同じであり、アナログ放送における親局のチャンネル番号もフジテレビ系列と日本テレビ系列を除き鹿児島県と同じである。
[編集] 地上デジタルテレビジョン放送送信設備
| リモコンキーID | 放送局名 | コールサイン | 物理チャンネル | 空中線電力 | ERP | 放送対象地域 | 放送区域内世帯数 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | TBC東北放送 | JOIR-DTV | 19ch | 3kW | 22kW | 宮城県 | 約70万1千世帯 |
| 2 | NHK仙台教育 | JOHB-DTV | 13ch | 24kW | 全国放送 | ||
| 3 | NHK仙台総合 | JOHK-DTV | 17ch | 宮城県 | |||
| 4 | MMT宮城テレビ放送 | JOMM-DTV | 24ch | 28kW | |||
| 5 | KHB東日本放送 | JOEM-DTV | 28ch | 27kW | |||
| 8 | OX仙台放送 | JOOX-DTV | 21ch | 30kW |
- KHBは2006年6月18日、ほかは2005年12月1日放送開始。
- OXは旧本社跡に残した送信所から、MMTは自社アナログ送信所から、残りはNHK・KHBアナログ送信所から送信。
- 放送エリアは、仙台市・石巻市・塩竈市・名取市・角田市・多賀城市・岩沼市・登米市・栗原市・東松島市・大崎市・柴田郡・伊具郡・亘理郡・宮城郡・黒川郡・加美郡・遠田郡・牡鹿郡(各一部地域除く)で宮城県全世帯約84%をカバー。福島県相馬市・南相馬市・相馬郡の一部もエリアに入っている。
[編集] 地上アナログテレビジョン放送送信設備
| 放送局名 | コールサイン | チャンネル | 空中線電力 | ERP | 放送対象地域 | 放送区域内世帯数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| TBC東北放送※ | JOIR-TV | 1ch | 映像10kW/ 音声2.5kW |
映像78kW/ 音声19.5kW |
宮城県 | 約-世帯 |
| NHK仙台総合 | JOHK-TV | 3ch | 映像71kW/ 音声18kW |
約76万世帯 | ||
| NHK仙台教育 | JOHB-TV | 5ch | 映像87kW/ 音声22kW |
全国放送 | ||
| OX仙台放送 | JOOX-TV | 12ch | 映像98kW/ 音声24kW |
宮城県 | ||
| KHB東日本放送 | JOEM-TV | 32ch | 映像30kW/ 音声7.5kW |
映像270kW/ 音声68kW |
||
| MMT宮城テレビ放送 | JOMM-TV | 34ch | 映像290kW/ 音声72kW |
- NHKとKHBは共同でアナログ・デジタル共用。
- OXとMMTはそれぞれ単独設置で、いずれもアナログ・デジタル共用。OXは旧本社跡に送信所を残す。
- ※TBCは八木山の本社敷地内に送信所を設置しているが、デジタルテレビの送信所を大年寺山に一本化(NHK・KHBに相乗り)したため、ここに一括して掲載した。TBCアナログテレビ送信所については、こちらも参照の事。
- なお、アナログテレビ放送は2011年7月24日までに終了する予定だったが、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)発生を受けて、甚大な被害が出た宮城県などで、終了時期が、2012年3月31日まで延期された。
[編集] FMラジオ放送送信設備
| 放送局名 | コールサイン | 周波数 | 空中線電力 | ERP | 放送対象地域 | 放送区域内世帯数 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| FMSエフエム仙台 愛称「Date FM」 |
JOJU-FM | 77.1MHz | 音声5kW | 音声23kW | 宮城県 | 約76万世帯 |
| NHK仙台FM | JOHK-FM | 82.5MHz | 音声31kW |
- Date FMは、OXの設備を間借りしている。
[編集] 脚注
- ^ 茂ケ崎横穴墓群(仙台市教育委員会)
- ^ 1955年刊『仙台市史』第2巻361頁。
- ^ 第10回仙台市都市景観大賞(仙台市)
- ^ 仙台空港の制限表面図(国土交通省東京航空局)
[編集] 参考文献
[編集] 関連項目
- 仙台市在住の作家。彼の著作「鉄塔家族」は大年寺山と思われるテレビ塔の周辺で物語が進行する。