大井川鐵道大井川本線

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大井川本線
大井川本線の普通列車
大井川本線の普通列車
路線総延長 39.5 km
軌間 1067 mm
電圧 1500 V(直流

大井川本線(おおいがわほんせん)は、静岡県島田市金谷駅と静岡県榛原郡川根本町千頭駅とを結ぶ大井川鐵道鉄道路線である。

蒸気機関車 (SL) の動態保存・運行が行われている路線として知られる。また、元京阪、元南海、元近鉄の特急用車両が移管前の塗色のままで運転されている。

路線データ[編集]

  • 路線距離(営業キロ):39.5km
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:19駅(起終点駅含む)
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:全線(直流1500V)
  • 閉塞方式:スタフ閉塞式(金谷駅 - 新金谷駅間)、自動閉塞式(新金谷駅 - 千頭駅間)

運行形態[編集]

普通電車は日中、約1時間 - 1時間半間隔で運行され、基本は金谷駅 - 千頭駅間の全線通し運行であるが、金谷駅 - 新金谷駅間の区間系統もある。これは金谷駅が1線しかなく、2列車以上の入線が金谷駅では不可能なため、行き違いができる新金谷駅までの回送を兼ねて運行されているものである。後述のSL列車が新金谷駅発着に変更された2011年10月1日のダイヤ改正以降は、金谷駅からの利用者のため、SL列車運転日に運転される金谷駅 - 新金谷駅間の区間運転列車も設定されている。また、2014年3月26日のダイヤ改正により金谷駅 - 千頭駅間運転の普通電車が1日8往復に大幅減便され、金谷駅 - 家山駅間の区間運転が朝に1往復復活した。それにより電車正面の行き先表示が種別表示に変更され、運転席の反対側にサボが掲出されるようになった。

電車は全線でワンマン運転を実施している。

SL急行[編集]

大井川本線名物の蒸気機関車牽引列車(SL列車)はSL急行「かわね路号」の名で、臨時列車の扱いだが原則毎日新金谷駅 - 千頭駅間に1日1往復運行される。休日など期間によっては2往復または3往復に増便されることもある。「かわね路号」のほか、臨時SL急行、日本ナショナルトラスト所有の「トラストトレイン」も運行される。列車愛称は「南アルプス号」などもあったが2011年10月1日のダイヤ改正で「かわね路号」に統一されている。主に冬季には検査などで運休になる日もある(主に火・木曜日)。SL急行に乗車するには運賃に加えて急行料金800円(2013年4月現在)が必要である。

蒸気機関車は客車を最短3両(試運転時は2両の場合もある)、最長7両牽引する。ただし、長編成では蒸気機関車単機での牽引は不能であり、最後尾に電気機関車E10形またはED501)の補助機関車を連結する。補助機関車を連結する条件は、牽引する蒸気機関車の種類によって変わり、C11 227およびC10 8では客車5両から、C56 44および日本ナショナルトラスト所有のC12 164では客車4両から、C11 190では客車6両から補助機関車を連結する。蒸気機関車の状態によっては、客車の編成の長さに関係なく補助機関車が連結される。

かつて大井川本線を走行する蒸気機関車は、すべて千頭側に正面を向けており、下り金谷発千頭行きでは前向き、上り千頭発金谷行きではバック運転となっていたが、列車の最前部に蒸気機関車が連結されることは変わらず、補助機関車が連結される場合も同様で、補助機関車は列車の最後尾に連結される。ただし、展望車スイテ82 1)を連結して運行する際は、最後尾を展望デッキにするため、蒸気機関車の次位に補助機関車を連結することもある。また2011年9月30日まで運行されていた新金谷駅 - 金谷駅間の回送列車はこの逆となり、補助機関車が最前部となっていた。

千頭駅転車台があるのにもかかわらず下り列車の蒸気機関車が前向き、上り列車の蒸気機関車がバック運転となっていたのは新金谷車両区に転車台がなかったからである。ただし、テレビ番組や書物の写真の撮影、特別列車の運行などのために千頭駅構内の転車台で方向転換をし、上下列車とも前向きで運転される場合もある。その次の運行では、上下列車ともバック運転となる。そのまた次の運行では、通常の運行形態(下り列車の蒸気機関車は前向き、上り列車の蒸気機関車はバック運転)に戻っていた。

静岡県島田市は、大井川鐵道の蒸気機関車の向きを回転させるための転車台を、新金谷駅付近に新設する方針を決定した。新転車台は2011年9月に金谷駅の1駅先にある新金谷駅南側の市有地などに設置され、同年10月7日より使用を開始した。これによりバック運転は解消された。同時に、周辺は「SL広場」として整備された。また、この転車台は通常は自動で制御されるが観光客らが手でも動かせるよう設計されている。なお、これに先立ってSL列車は2011年10月1日から全列車が新金谷駅 - 千頭駅間での運転となっている。下りのSL列車は新金谷駅で金谷駅からの新金谷行き列車との接続を受けて発車する。

過去の列車[編集]

元小田急3000形SSE車によるロマンス急行「おおいがわ」

かつては東海道本線と線路が繋がっており、実際に日本国有鉄道(国鉄:現在のJR)の列車の乗り入れに使用されていたほか、貨物営業を行っていた頃には、貨車の収受も行っていた(同駅の入れ換え作業も同社の電気機関車が行っていた)。ここから東海道本線直通列車として静岡発着の「奥大井」、浜松発着の「すまた」といった快速列車が乗り入れていたほか、大井川鐵道への譲渡車両を国鉄路線経由で搬入する際の入り口にもなっていた。1983年にはミステリー列車の乗り入れで、サロンエクスプレス東京が大井川本線を走った。現在ではこの線路は撤去されており、譲渡車両の搬入や蒸気機関車の貸し出しには陸路を使用している。

また、急行料金を要する電車急行も運転されていたが、2003年8月の土砂災害以来定期列車としては運転されなくなり、まれにイベント的に運転するのみとなった。急行料金は2003年時点で150円だった。

小田急の3000形SSE車の譲渡を受け「ロマンス急行」と銘打ち運転していたことがあった(「小田急3000形電車 (初代)#大井川鉄道へ譲渡」参照)。しかし、5両編成と乗客の収容数が同線にしては多く、SL急行ほどの人気が得られず、ワンマン運転仕様に改造することも不可能なことから、次第に持て余すようになり、結局廃車され、しばらく千頭駅構内に留置された後、新金谷駅の貨物側線に収容され、解体処分されている。

歴史[編集]

  • 1921年(大正10年)7月6日:駿府鉄道に対し鉄道免許状下付(志太郡島田町-同郡東川根村館)[1]
  • 1922年(大正11年)5月1日:大井川鐵道へ名称変更(届出)[2]
  • 1923年(大正12年)2月22日:起業目論見変更認可(榛原郡金谷町-志太郡東川根村間)[3]
  • 1927年(昭和2年)6月10日:金谷駅 - 横岡駅(現在廃止)間開業[4](1067mm, 蒸気動力)。
  • 1928年(昭和3年)7月20日:分岐点 - 居林駅(現在廃止)間開業(貨物営業のみ)[5]
  • 1929年(昭和4年)12月1日:居林駅 - 家山駅間開業、分岐点 - 居林駅間の旅客営業開始[6]
  • 1930年(昭和5年)7月16日:家山駅 - 地名駅間開業[7]
  • 1931年(昭和6年)2月1日:塩郷(仮)駅 - 下泉駅間開業[10]
    • 4月12日:下泉駅 - 青部(仮)駅間開業[11]
    • 12月1日:青部(仮)駅 - 千頭駅間開業[12]
    • 12月2日:分岐点 - 横岡駅間廃止。
  • 1949年(昭和24年)11月18日:金谷駅 - 千頭駅間1500V電化。電気運転開始。
  • 1951年(昭和26年)8月8日:電車運転開始。
  • 1965年(昭和40年)9月16日:代官町駅開業。
  • 1969年(昭和44年)7月1日:大和田駅開業。
  • 1971年(昭和46年)1月1日:電車急行を運転開始。
  • 1976年(昭和51年)7月9日:蒸気機関車牽引列車の運行を再開。
  • 1983年(昭和58年)10月1日:貨物営業廃止。
  • 1984年(昭和59年)12月6日:一部列車をワンマン運転化。
  • 1985年(昭和60年)7月23日:日切駅開業。
  • 2003年(平成15年)8月17日:神尾駅構内で土砂崩れが発生し、金谷駅 - 福用駅間が運休。蒸気機関車・電車急行も運行中止。
    • 9月25日:福用駅 - 千頭駅間で蒸気機関車牽引列車の運行を再開。
    • 10月1日:笹間渡駅を川根温泉笹間渡駅に改称。
    • 10月25日:五和駅 - 神尾駅間に(仮)横岡駅が設置され、金谷駅 - (仮)横岡駅間の運転が再開[13]
  • 2004年(平成16年)3月18日:(仮)横岡駅 - 福用駅間の復旧工事が完了したため、午前をもって(仮)横岡駅の営業を停止。

駅一覧[編集]

凡例
●:停車、◇:上り千頭発金谷行きのみ停車、|:通過
普通列車は省略(各駅に停車)
◇・∨・∧:列車交換可、|:列車交換不可
駅名 駅間キロ 営業キロ SL急行 接続路線 列車交換 所在地
金谷駅 - 0.0 東海旅客鉄道東海道本線 島田市
新金谷駅 2.3 2.3  
代官町駅 1.5 3.8  
日切駅 0.5 4.3  
五和駅 0.7 5.0  
神尾駅 4.8 9.8  
福用駅 2.5 12.3  
大和田駅 2.5 14.8  
家山駅 2.3 17.1  
抜里駅 1.7 18.8  
川根温泉笹間渡駅 1.2 20.0  
地名駅 2.9 22.9   榛原郡
川根本町
塩郷駅 1.4 24.3  
下泉駅 3.1 27.4  
田野口駅 3.6 31.0  
駿河徳山駅 3.1 34.1  
青部駅 2.0 36.1  
崎平駅 1.1 37.2  
千頭駅 2.3 39.5 大井川鐵道:井川線

脚注[編集]

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  1. ^ 「鉄道免許状下付」『官報』1921年7月7日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  2. ^ 『鉄道省鉄道統計資料. 大正11年度』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
  3. ^ 「鉄道起業目論見変更」『官報』1923年2月24日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  4. ^ 「地方鉄道運輸開始」『官報』1927年6月17日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  5. ^ 「地方鉄道運輸開始」『官報』1928年7月31日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  6. ^ 「地方鉄道運輸開始」『官報』1929年12月7日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  7. ^ 「地方鉄道運輸開始」『官報』1930年7月23日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  8. ^ 「地方鉄道運輸開始」『官報』1930年9月29日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  9. ^ 『地方鉄道及軌道一覧 : 附・専用鉄道. 昭和10年4月1日現在』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
  10. ^ 「地方鉄道運輸開始」『官報』1931年2月7日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  11. ^ 駿河徳山-青部仮駅間は当分の間貨物営業のみの註「地方鉄道運輸開始」『官報』1931年4月24日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  12. ^ 「地方鉄道運輸開始」『官報』1931年12月9日(国立国会図書館デジタルコレクション)
  13. ^ 「鉄道記録帳2003年10月」、『RAIL FAN』第51巻第1号、鉄道友の会、2004年1月1日、 19頁。

関連項目[編集]