多項式行列

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数学の分野における多項式行列(たこうしきぎょうれつ、: Polynomial matrix)とは、各成分が単変数あるいは多変数の多項式であるような行列のことを言う。成分が λ の多項式であるような行列は、λ-行列と呼ばれる。

次数 p の単変数多項式行列 P は、次のように定義される:

P = \sum_{n=0}^p x^nA(n) = A(0)+xA(1)+x^2A(2)+ \cdots +x^pA(p)

ここで A(n) は定数係数の行列で、A(p)零行列ではない。したがって、多項式行列は、各成分が次数 p の多項式の定義を満たし、多項式の行列同値となっている。

次数 2 の 3×3 多項式行列の例を次に挙げる:


P=
\begin{pmatrix}
1 & x^2 & x \\
0 & 2x & 2 \\
3x+2 & x^2-1 & 0
\end{pmatrix}=
\begin{pmatrix}
1 & 0 & 0 \\
0 & 0 & 2 \\
2 & -1 & 0
\end{pmatrix}+x
\begin{pmatrix}
0 & 0 & 1 \\
0 & 2 & 0 \\
3 & 0 & 0
\end{pmatrix}+x^2
\begin{pmatrix}
0 & 1 & 0 \\
0 & 0 & 0 \\
0 & 1 & 0
\end{pmatrix}.

ある環 R に対し、環 M_n(R[X])(M_n(R))[X]同型英語版であると言うことで、この概念を表現することが出来る。

性質[編集]

  • あるの非ゼロの元と行列式が等しいような、その体上の多項式行列は、ユニモジュラと呼ばれ、その逆行列もまた多項式行列となる。高次の任意の多項式の逆は有理関数であるため、唯一つのスカラーのユニモジュラ多項式は次数 0 の多項式、すなわち、非ゼロの定数であることに注意されたい。
  • 複素数上の多項式行列の根は、その行列が階数を失うような複素平面上の点である。

多項式行列を、各行および各列にちょうど一つの非ゼロの成分を含むような簡単な行列である単項行列と混同しないように注意されたい。

行列を構成する上の任意の元を λ とし、I を単位行列とし、A を多項式行列とする。このとき、行列 λI-A は行列 A特性行列(characteristic matrix)である。その行列式 |λI-A| は、行列 A特性多項式となる。

参考文献[編集]

  • E.V.Krishnamurthy, Error-free Polynomial Matrix computations, Springer Verlag, New York, 1985