多摩急行

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東京メトロ06系による多摩急行唐木田行(2006年6月撮影)
東京メトロ(撮影時は営団)6000系による多摩急行唐木田行(2003年11月撮影)
小田急1000形による多摩急行唐木田行(2005年9月撮影)
2007年9月29日より多摩急行に充当されている小田急4000形

多摩急行(たまきゅうこう 英語表記:Tama Express)は、小田急電鉄列車種別急行列車)の一種である。小田原線多摩線で運転される列車種別で、2002年3月23日に登場した。

背景・概要[編集]

千代田線乗り入れの主たる目的は本来「多摩ニュータウン地区と都心地域との連絡路線」であった(東京メトロ千代田線参照)。これまで、小田急電鉄が所要時間や乗り換えの利便性などで圧倒的に不利であった多摩ニュータウン地区対都心地域の輸送で、競合する京王電鉄相模原線都営地下鉄新宿線に対抗する形となっている。

種別・行先表示器や列車案内板の表示は、3色LED式表示器車および発車標に限り「多摩急行」のように「多摩」が緑色で「急行」が赤色と、複数の色を混用した珍しい表記になっている(英語表記も同様)。方向幕やフルカラーLED式種別・行先表示器および列車案内板ではピンク地に白字で「多摩急行」と表記される。2004年12月頃までは3色LED車と同様であった。

2005年の一時期に、多摩急行を使った沿線施設への誘致作戦として、「多摩急行でサンリオピューロランドへ行こう」という宣伝ポスターを製作し、沿線や東京地下鉄(東京メトロ)の駅などに掲示していた。

運行形態[編集]

ダイヤが乱れた場合、多摩急行は新宿行きとなることがある

多摩線唐木田駅から小田原線を経由して、小田急電鉄の車両は東京メトロ千代田線綾瀬駅まで運行され、東京メトロの車両は東京メトロ千代田線綾瀬駅、および東日本旅客鉄道(JR東日本)常磐緩行線松戸駅柏駅我孫子駅取手駅まで運行されているが、土曜・休日には取手駅発の運用はない。また、綾瀬から先のJR線へは小田急4000形は直通することができないため、常磐緩行線まで運行する電車はすべて東京メトロの車両で運行される。

朝から夜間にかけて、1時間に2本程度運転している。土曜・休日の夕方以降は1時間に1本程度になる。早朝の運転はない。すべて10両編成での運転。

設定当初は、多くが湘南急行(下り)や急行(上り)の直後に運行されるダイヤ編成で列車間隔が不均等であったため、とくに(急行・湘南急行が通過していた経堂駅以外の)小田原線内の利用者が少なかった。しかし、2004年12月11日のダイヤ改正より長距離輸送の速達性を重視した快速急行の新設に伴い急行が減便された成城学園前駅および登戸駅利用者の補完作用も果たすこととなり、小田原線内でも急行の一翼を担うこととなった。昼間時間帯の新百合ヶ丘駅では、下りは多摩急行から快速急行へ、上りは快速急行から多摩急行へと乗換が可能となっている。その一方で、多摩急行が通過する駅では唯一の急行停車駅である向ヶ丘遊園駅については停車していた湘南急行の快速急行への置き換えにより完全な減便となり、昼間時間帯の優等列車は急行4本のみとなった。そのため多摩急行を挟む部分は20分空くこととなる。

小田急線・千代田線・常磐線のいずれかでダイヤが乱れた時には運休もしくは行先が新宿に変更され、千代田線への直通運転が中止される。千代田線・常磐緩行線の運転再開に比べ、多摩急行の運転再開までは時間がかかることが多く、夜間時間帯では直通運転が再開されずに終電を迎えることも多い。また、JR東日本の運行状況ウェブサイトでは、多摩急行の運休に関して記述されない(逆に、小田急の運行状況ウェブサイトでは常磐緩行線と千代田線との直通運転中止に関して記述されない)。

運転トラブルに備え、東京メトロ16000系には「新宿」の行先が用意されている。

2014年3月15日のダイヤ改正で、日中の千代田線内が5分間隔となったことに伴い、平日・土休日ともに日中はすべて常磐線内発着となった。このため、日中は東京メトロの車両のみが運用に就き、小田急4000形は千代田線内での運用に就くようになった。

使用車両[編集]

ともに相互乗り入れを前提としているため、地下鉄乗り入れ車両が充当されている。

小田急電鉄[編集]

東京メトロ[編集]

過去の使用車両[編集]

小田急電鉄[編集]

  • 1000形(2002年3月23日 - 2010年)

千代田線・小田急線直通列車について[編集]

多摩急行唐木田行の場合、綾瀬駅→唐木田駅間は、このように表示されている。
多摩急行綾瀬行の場合、唐木田駅→代々木上原駅間は、このように表示されている。
千代田線内運用および多摩急行綾瀬行の代々木上原駅→綾瀬駅間は、種別が無表示となる。
06系のLED表示の場合日本語・英語も多摩が黄緑で急行は赤である(6000系も同様)。
小田急4000形のフルカラーLED表示の場合、同形がJR東日本E233系をベ-スにしているため、右下に「次は■■■」の表示がある。

1978年昭和53年)3月31日、当時の帝都高速度交通営団(営団地下鉄)千代田線全線開業に伴い千代田線 - 小田急線相互乗入開始。当時は乗り入れ対応車両が6編成しかなかったため、1日上下ともわずかに14本、平日の朝夕のみの乗り入れであった。小田急線内は「準急」として設定され、折り返し設備上の問題からすべて本厚木駅発着となる。なお、経堂駅はホームの長さが8両編成分しかなかったため、10両編成の直通列車は例外的に通過となった。1990年までは、これ以外にも運用の都合上で生田読売ランド前百合ヶ丘を通過するものもあった。その後、休日の乗り入れや経堂駅停車が実現したものの、2000年12月2日のダイヤ改正までは朝夕が中心で日中はほとんど運転されなかった。同年12月2日のダイヤ改正から直通準急を大幅増発し、朝夕に加え日中時間帯についても千代田線内 - 相模大野間で30分間隔での設定とした。また、このダイヤ改正で千代田線に直通する唐木田発の急行が新設された。

2002年3月23日のダイヤ改正で、それまでの相模大野発着直通準急の大部分を置き換える形で唐木田発着の多摩急行が新設された。

2003年3月29日、営団の車両を用いた列車は原則的に全て多摩線直通の急行または多摩急行での運転となる。2004年12月11日のダイヤ改正より、運転時間帯が夜間まで拡大されるとともに、乗り入れ先の車庫での停泊も行われるようになった。

JR線内では他の列車と同様種別表示がない。これは多摩急行登場以前の準急も同様であり、東京メトロ16000系では「各駅停車」を表示する。唐木田行の種別は綾瀬駅で多摩急行に変更され、小田急からの直通列車は代々木上原駅から各駅停車(種別は無表示。16000系で常磐線直通電車の場合は「各駅停車」と表示)に変更される[1]。JR線内発の列車の場合、「千代田線・小田急線直通唐木田行き」とアナウンスされることが多く、その後に補足として「千代田線内代々木上原まで各駅停車」であること、「小田急線内多摩急行」であることを付け加えることもある。これは、JR側のシステムの都合と、日本国有鉄道(国鉄)時代からJRの原則では急行は急行料金を必要とする列車であり、準急も料金制度は廃止されているが、常磐緩行線は「各駅停車」のみ走る路線であり、常磐快速線も並走しているため、混乱を招く可能性があるからである。常磐緩行線で運用される16000系・E233系2000番台に「各駅停車」の表示があるのはこのためである。

小田急の車両が千代田線内で各駅停車の運用となる場合(千代田線内のみの運転および小田急線からの直通列車での代々木上原から先)、かつて使用された1000形では種別用の幕は各駅停車の青文字の幕ではなく黒地無地幕となっていた。LED式の4000形の場合は、枠いっぱいに行先が表示される(駅停車時には下部に「次は■■■」の表示がされる)。 平日の朝、唐木田始発の列車に限り、直通の急行も運転されている。なおこの急行は所定の停車駅に基づくため、新宿発着の急行と同様に向ヶ丘遊園駅に停車し、また、朝ラッシュ時であるので経堂駅は通過する。

千代田線内における車内の英語自動放送では、一部の東京メトロ車では種別名を省略するが、小田急車(4000形)では種別名を放送する(「This train is Tama-Express bound for Karakida on the Odakyu Line」となる。

停車駅[編集]

基本的には、小田急電鉄が定めた列車種別であり、乗り入れ相手先である千代田線・常磐緩行線内(代々木上原 - 綾瀬 - 取手間)はすべての駅に停車する。

脚注[編集]

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  1. ^ なお、2社先の種別を案内しないのは当路線に限ったことではなく、副都心線東急東横線に直通する西武線半蔵門線東武線に直通する東急田園都市線の電車でも見られる。