塩化マグネシウム

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塩化マグネシウム
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識別情報
CAS登録番号 7786-30-3
7791-18-6(6水和物)
日化辞番号 J43.880D
RTECS番号 OM2975000
特性
組成式 MgCl2
モル質量 95.211 g/mol(無水物)
203.31 g/mol(6水和物)
外観 無色固体
密度 2.325 g/cm³(無水物)
1.569 g/cm³(6水和物)
融点

714 ºC (987 K)

沸点

1412 ºC (1685 K)

への溶解度 54.3 g/100 cm³ (20 ºC)
構造
結晶構造 塩化カドミウム型(無水物)
配位構造 8面体型6配位
熱化学
標準生成熱 ΔfHo −641.32 kJ mol−1(無水物)
−2499.02 kJ mol−1(6水和物)
標準モルエントロピー So 89.62 J mol−1K−1(無水物)
366.1 J mol−1K−1(6水和物)
標準定圧モル比熱, Cpo 71.38 J mol−1K−1(無水物)
315.06 J mol−1K−1(6水和物)
危険性
EU Index Not listed
引火点 不燃性
関連する物質
その他の陰イオン フッ化マグネシウム;臭化マグネシウム;ヨウ化マグネシウム
その他の陽イオン 塩化カルシウム;塩化ストロンチウム;塩化バリウム
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

塩化マグネシウム(えんかマグネシウム、magnesium chloride)はマグネシウム塩化物であり無機化合物の一種で、化学式 MgCl2•6H2O、6水和物は式量 203.3022 の白色結晶である。にがりの主成分のひとつ。

製法[編集]

塩酸水酸化マグネシウムを溶解して中和させ、濃縮すると6水和物が析出する。

2 HCl + Mg(OH)2 → MgCl2 + H2O

また塩酸にマグネシウムを加えると、水素を出しながら溶けるが、そのときに塩化マグネシウムが生成する。その過程を化学式で表すと

Mg + 2HCl → MgCl2 + H2

となる。

工業的には製塩の副産物として海水から取り出されている。またカリウムとの複塩であるカーナル石 (KCl·MgCl2·6H2O) からも得られる。

性質[編集]

通常6水和物として市販されている。潮解性があり、およびエタノールなどにきわめて溶けやすい。塩化マグネシウムを主成分とする水溶液は強い苦味をもち、にがりと呼ばれる。飲み過ぎると下痢になる。密度は、無水物は2.325 g/cm3、6水和物は 1.569 g/cm3

水溶液は極僅かしか加水分解せず、ほとんど中性であるが、水酸化ナトリウム水溶液あるいはアンモニア水を加えて塩基性にすると水酸化マグネシウムを沈殿する。

6水和物を加熱すると徐々に結晶水を失うが強熱により加水分解も進行し、塩基性塩を生じるため脱水により無水物を得ることは困難である。

MgCl2·6H2O → Mg(OH)Cl + HCl + 5 H2O

脱水により無水物を製造する場合は、塩化水素気流中または塩化アンモニウムを添加しながら加熱する。

用途[編集]

事件と薬効[編集]

近年、糖尿病育毛生活習慣病やその予防などに効果があるとうたって塩化マグネシウムを販売し、販売者が薬事法違反で逮捕される事件が起こっているが[1][2]、2009年現在、これらの薬効は医学的に立証されていない[3]。なお、ラットでのにがりの抗腫瘍活性については熊本県立大学の奥田拓道教授らによって報告されている[4][5]

脚注[編集]

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  1. ^ 1989年12月08日 夕刊 2社 「「病気に効く商品」 無許可で販売図る 緑区内の業者摘発【名古屋】」
  2. ^ 2008年01月28日 中部朝刊 中社会 29頁 「「がんに効く」無許可商品販売 愛知県警、薬事法違反容疑で獣医師逮捕へ=中部」
  3. ^ 学術論文も見当たらず、医薬品としての認可も得ていない以上、立証されたとはいえない。
  4. ^ 毎日新聞 2002年11月14日
  5. ^ 高久武司,木村善行,奥田拓道「機能性食品のEBM-海からの贈り物 1. 天然にがりの抗癌作用」、『日本体質医学会雑誌』第65巻1/2、2003年 科学技術文献情報データベース

関連項目[編集]