地球ゴマ

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地球ゴマの動き

地球ゴマ(ちきゅうゴマ)とは、ジャイロ効果の原理を応用した科学玩具である。その名称はタイガー商会の商標

  1. 円盤が高速で回転運動を行っているあいだは、外部からが加わらないかぎり回転軸の向きが常に一定不変に保たれる。
  2. 回転軸にいったん外力を加えると、その加えた力とは直角(垂直)の方向へ回転軸が移動する。

独楽(こま)の原理であるこの二つの特性はジャイロ効果と呼ばれる。通常の独楽は、全体が回転しているため、回転を止めずに本体に触ることが難しい。だが地球ゴマは回転する円盤部分と軸が分かれているため、軸を傾けたり、綱渡りをさせたりなどが容易にできるようになっている。「地球ゴマ」の名称は、地球自転公転運動を分かりやすく説明できることから命名された(串間努著『子供の大科学―「あの頃」遊んだふしぎ玩具、教材』光文社文庫ISBN 4334724892 、タイガー商会社長の取材に基づく)。なお、地球ゴマの、上の絵のように重力下で支えられている時の運動は、地球の歳差運動によく似ている(地球ゴマは重力により軸を倒す向きに力を受けている。一方、地球の歳差運動は、地球が回転楕円体であるために軸を黄道面に垂直にしようとする向きに力を受けているために起こる)。

地球ゴマは地球の自転・公転運動をはじめ、ジャイロスコープやそれを応用した船舶や航空機のオートパイロット、船舶や航空機の横揺れを防ぐジャイロスタビライザーの仕組みなどを分かりやすく説明できるため、全国の大学、高等専門学校、科学クラブなどで実験教材として活用されている。

目次

[編集] 概要

タイガー商会の地球ゴマは一般の独楽とは異なり、回転軸と円盤の周囲を保護枠で覆っている。すべて金属製で、大きさ別に特大サイズNo. A(外枠径64mm、対象年齢12才以上)、大サイズNo. B(同54mm、同9才以上)、中サイズNo. C(同47mm、同9才以上)、小サイズNo. D(同42mm、同6才以上)、特小サイズNo. E(同38mm、同6才以上)と5種類ある。ただしNo. DとNo. Eは生産終了している。

地球ゴマが誕生したのは1921年1927年にはアメリカへ輸出、ついで東南アジアやヨーロッパへも輸出され、戦後GHQ統治下ではPX(駐屯地購買部)での販売や輸出が許可されるなど、世界的にその名が知られるところとなった。日本国内では1960年代から1970年代にかけてが最盛期で、露天商による縁日夜店での実演、テレビCM(YouTubeで映像公開)や雑誌広告などの媒体を通じて全国へ反響が広がっていき一躍ブレイクした。宇宙ゴマ、太陽ゴマ、衛星ゴマ、サーカスゴマ、地球独楽などの模造品後発品も出回った。

[編集] 使用方法

芯棒上部の軸穴に紐(ひも)の一端を少し出る程度に通し、芯棒下部を指で回しながらそのの中心に向けて紐をしっかりとかたく巻きつけていく。保護枠を片手で軽く支えて持ち、もう片方の手で紐をすばやく引っ張ると円盤が高速で回転しはじめる。円盤の回転は速ければ速いほど長い間バランスよく安定し、この状態になると「ジャイロ効果」によって回転軸の向きを一定に保とうとする力が働くため、次のような操作が可能になる。

  • 軸の一端に紐を引っ掛けて吊り上げると、回転軸の向きを保ったまま倒れないで回転を続ける。
  • 空中に傾斜させて張ったワイヤーの上を、回転軸が直立した状態で綱渡りさせることができる。
  • 付属の回転台(D・Eサイズのみ無し)のほかに指先、ペン先、コップの縁などの上でも倒れずに回転する。
  • 回転力を保った状態で付属のプラケースの中に入れて角を立てると、ケースごと回転する。
  • 地球ゴマを大小2つ用意し、横向けにした地球ゴマと直立した地球ゴマの同じ皿ネジ先端を連結させるとその状態で回転する。

[編集] 使用上の注意

ただし玩具とはいえ精密さが命なので、取り扱いには慎重を要する。不用意に落として衝撃を与えたり、紐を斜めに傾けて力づくで引っ張ったり、芯棒の軸先に紐をからませたり、保護枠を握り曲げ変形させたりすると、精度やバランスに影響を与え性能をうまく発揮しない。脱落や破損した場合は修理が必要となる。紐の撚(よ)りがほぐれてきたら、そのうちの一本を軸穴に通すか透明接着剤で固めてやることで対処できる。紐が切れてしまった場合は軸穴に入る太さのタコ糸で代用すればよい。綱渡りは付属の紐ではなくピアノ線などのワイヤーが望ましく、万一の落下防止のため衝撃を緩和するクッションを下に置くなど万全を期したい。ときどき両ネジの軸受け内にスピンドルオイル(ミシン油)を注してやると、回転がスムーズに潤滑して錆びつきや異音の解消にもなる。

地球ゴマの動きや回し方については、以下の動画(YouTube)を参照するとわかりやすい。

[編集] 備考情報

  • 1960年1月、岩波映像製作のたのしい科学教育映画シリーズ『コマの動き』(日本テレビで放映)に地球ゴマが登場した。
  • 1962年6月、岩波映像製作のたのしい科学教育映画シリーズ『二本足のコマは立たない』(同上)に地球ゴマが再登場した。
  • 1986年5月、林海象監督の映画『夢見るように眠りたい』に、M・パテー商会の行商人が地球ゴマを売り歩く場面がある。
  • 1989年、日本グッド・トイ委員会の選考により、地球ゴマが優良なおもちゃ「グッド・トイ」に認定された。
  • 1989年3月、戸川純上野耕路コンビによるゲルニカ (バンド)がリリースした3枚目のアルバム『電離層からの眼差し』に、同アルバムデザインを手がけた太田螢一の作品集『AMNESIA』収録の『地球ゴマ』という絵から想を練った『地球ゴマ』と題する楽曲がある。
  • 2000年4月、朝日放送の番組『探偵!ナイトスクープ』で地球ゴマが紹介された。滋賀県の主婦が調査依頼したその内容とは、「購入した台湾製こまの解説書に2個のこまを重ねた技が図で載っていたが、そういう高度な技が本当にできるのかどうか調査してほしい」というものだった。さっそく探偵の長原成樹がタイガー商会へ出向き実験してみたが、図示された様に近いことは出来たものの、結果は「力学的に不可能」だった。
  • 2007年3月、三菱UFJ投信が地球ゴマの名を愛称にした「三菱UFJ資産設計ファンド〈愛称:地球ゴマ〉」を発売。ファンドが地球ゴマで昔遊んだ団塊の世代向けだったことから、同年に公開された映画『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の封切りに合わせ、地球ゴマが優雅に宙を舞う劇場CMを全国79館で公開した。
  • 2008年1月、フジテレビ系列の番組『平成教育委員会』の理科授業で地球ゴマを用いた実験が行われた。出題は「水平に2本の糸で吊るしたこまを高速に回転させ片方の糸を1本切ると、こまはどう動くか答えなさい」というもので、正解は「残った1本の糸の周りを回転運動し続ける」だった。
  • 2009年8月、ラッパー・ECDがリリースした12枚目のアルバム『天国よりマシなパンの耳』に、『地球ゴマ Version 1』『地球ゴマ Version 2』と題する楽曲がある。
  • 2010年1月、フジテレビ系列の番組『平成教育委員会』の理科授業で地球ゴマを用いた実験が行われた。出題は「傾いて軸の上端が円を描くように回っているこまを台ごと自由落下させ無重力状態にすると、こまはどうなるか答えなさい」というもので、正解は「すりこぎ運動が止まり、そのままの傾きで回転する」だった。
  • 2010年9月、名古屋開府400年を機に、名古屋の埋もれた魅力や財産を市民みんなで再発見して未来へ伝えていこうという『埋蔵金発掘プロジェクト』(名古屋市主催事業、運営委員長は荒俣宏)が発足、応募のあった2230点の中から最終選考の結果、地球ゴマが魅力部門で「ありがたゃぁ魅力賞」に輝いた。
  • 2010年11月、東急ハンズ名古屋店に新装オープンした「地球研究室」で、地球ゴマ全サイズ、ジャイロスコープ実験教材各種、単線ゴマ、オリジナルTシャツを特製木箱に収めた『地球ゴマ教材セット』が特別限定販売された(企画は東急ハンズ、完売)。
  • 2011年5月、地球ゴマ生誕90周年を迎える。

[編集] 参考文献

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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