土居光知

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

土居 光知(どい こうち、1886年8月29日 - 1979年11月26日)は、日本の英文学者、古典学者。

人物[編集]

高知県生まれ。東京帝国大学卒業。イギリスフランスイタリアに留学。立正大学教員、東京女子大学教授、東京高等師範学校教授を経て、1924年東北帝国大学教授、1948年東北大学退職。後に津田塾大学教授をつとめた。日本英文学会会長。1949年日本学士院会員。

専攻は英国浪漫主義で、ジェイムズ・ジョイスD・H・ロレンスオルダス・ハクスリーを紹介した。文化人類学、比較神話学を学び、古代文藝、東西比較文学などを行い、その『文学序説』は文学研究者の必読書だった。他に『古代伝説と文学』がある。

1947年7月19日に産声を上げた、世界で最初の民間ユネスコ運動「仙台ユネスコ協力会」の創始者の一人。当時のUNESCO(パリ本部)の事務局長あてに起草したメッセージは、日本の民間ユネスコ運動を世界に伝える第一報となったが、その手紙は戦後の窮乏生活のため、土居宅にあった障子紙に書かれていた。今日、世界118カ国で5000を超えるユネスコ協会やユネスコクラブが活動を続けており、仙台が民間ユネスコ運動発祥の地であることを記念して、モロッコのカサブランカには「センダイ・パーク」という名の公園が残されている。

著書[編集]

  • 『文學序説』岩波書店, 1922
  • 『基礎日本語』六星館, 1933
  • 『英文學の感覚』岩波書店, 1935
  • 『日本語の姿』改造社, 1943
  • ウェルズと世界主義』生活社, 1946
  • 『文学序説 再訂版』岩波書店, 1953、改版1978、復刊1993
  • 『日本音声の実験的研究』岩波書店, 1955
  • 『古代伝説と文学』岩波書店, 1960
  • 『文学の伝統と交流』岩波書店, 1964、復刊1995
  • 『言葉と音律』研究社出版, 1970
  • 『神話・伝説の研究』岩波書店, 1973、復刊2002
  • 『文芸その折り折り』荒竹出版, 1973
  • 土居光知著作集』全5巻 岩波書店, 1977
  1. 英文学の感覚
  2. 古代伝説と文学
  3. 文学と伝説の伝播・交流
  4. 言葉とリズム
  5. 文学序説

共著[編集]

  • 『岩波 英和辞典』島村盛助田中菊雄 共編、岩波書店, 1936、新版1983ほか
  • 村岡勇と『ロレンス』研究社出版, 1954
  • 工藤好美と『無意識の世界』研究社出版, 1966
  • 『東西文化の流れ 土居光知対話集』研究社出版, 1973

翻訳[編集]

記念論文集
  • 『英文学試論』土居光知先生喜寿記念論文集編集委員会、研究社出版, 1964

脚注[編集]