国鉄2940形蒸気機関車

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形式図

2940形は、かつて日本国有鉄道の前身である鉄道省に在籍した、タンク式蒸気機関車である。

概要[編集]

もとは樺太庁鉄道が、1919年(大正8年)にアメリカ合衆国アメリカン・ロコモティブクック工場)から7両(製造番号58774 - 58777, 58785, 58811, 58812)を輸入した、車軸配置2-6-2(1C1)、2気筒単式の飽和式蒸気機関車である。当初の形式は2形2 - 8)と称したが、1922年(大正11年)6月16日付けで3100形3100 - 3106)に改称された。この時点で、鉄道省払い下げの同車軸配置であった3000形が存在したため、それに次ぐ位置に形式付与されたものである。なお、本土の国有鉄道にも同名の3100形が存在したが、本形式との関連は全くない。

その後、1943年(昭和18年)の南樺太内地化にともなう鉄道省への移管により、2940形2940 - 2946)に改められた。

形態的には、アメリカ古典機スタイルで、ボールドウィン・ロコモティブ・ワークス製の2920形に似るが、シリンダ直径と動輪直径が小さく、固定軸距が短いため、軽快な印象であった。また、運転室の屋根は、単純な曲線ではなく、頂部が平らになっていた。

配置は、西海岸線(後の樺太西線)の真岡で、その後豊原に転属して入換用に使用、3106は東海岸北部の施設部恵須取出張所に転属し、建設用として使用された。1945年(昭和20年)の敗戦までは、7両すべてが健在であったのが確認されているが、樺太を占領したソビエト連邦に接収され、その後の消息は明らかでない。

主要諸元[編集]

  • 全長:9,913mm
  • 全高:3,589mm
  • 全幅:2,794mm
  • 軌間:1,067mm
  • 車軸配置:2-6-2(1C1)
  • 動輪直径:1,016mm
  • 弁装置スチーブンソン式アメリカ型
  • シリンダー(直径×行程):356mm×559mm
  • ボイラー圧力:12.6kg/cm2
  • 火格子面積:1.32m2
  • 全伝熱面積:74.7m2
    • 煙管蒸発伝熱面積:69.7m2
    • 火室蒸発伝熱面積:5.0m2
  • 小煙管(直径×長サ×数):51mm×4,139mm×106本
  • 機関車運転整備重量:40.64t
  • 機関車空車重量:29.87t
  • 機関車動輪上重量(運転整備時):30.82t
  • 機関車動輪軸重(各軸平均):10.16t
  • 水タンク容量:4.7m3
  • 燃料積載量:1.43t
  • 機関車性能
    • シリンダ引張力:7120kg

参考文献[編集]

  • 臼井茂信「日本蒸気機関車形式図集成」1969年、誠文堂新光社
  • 臼井茂信「機関車の系譜図 2」1972年、交友社
  • 金田茂裕「形式別 国鉄の蒸気機関車 II」1984年、プレス・アイゼンバーン刊
  • 川上幸義「樺太の機関車」鉄道ピクトリアル1966年8月号 No.187