回想法

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回想法(かいそうほう、reminiscence/life review)とはアメリカの精神科医R.Butlerによって創始された心理療法である。主に高齢者を対象とし、人生の歴史や思い出を、受容的共感的な態度で聞くことを基本的姿勢とする。個人に対して1対1で行う個人回想法とグループで行われるグループ回想法に分けることができる。

回想法は心理療法の一つとしての利用のみならず、アクティビティ、世代間交流や地域活動として利用されることが多い。

心理療法としての回想法[編集]

心理的問題を持つ高齢者に対し、その問題解決を目的としてクリニック、カウンセリングセンターなどで行われる。 主に臨床心理士や精神科医、訓練を受けたセラピストが行う。 認知障害・記憶障害を持つ人に対しては回想を促す刺激(五感に働きかけ、記憶を呼び起こすもの)を用いることが多い。  札幌明和病院では、うつ病患者を対象として心療回想法を実施しており、医療保険診療で治療を受けることができる。

認知症の予防や進行抑制としての回想法[編集]

回想法は、楽しいおしゃべりを基本としているため、場所や費用を必要としない。そうしたことから、公民館や敬老館などで楽しまれているばかりか、茨城県取手市回想療法センターでは、介護保険適用者を対象に回想法を実践している。また、介護予防のなかでも認知症予防を実践している東京都葛飾区シニア支援センターでは、回想法教室を開催して認知症の予防を実践している。

効果[編集]

老年期に人生を振り返り、自己の人生を再評価することで、自尊心を向上させる。 高齢期特有の抑うつ状態の緩和/ <ADL記憶> 10歳~15歳の記憶にADLに関する記憶が含まれているので、10歳~15歳の記憶を失うと、ADLが維持できなくなる。ADLを維持するためにも10歳~15歳の記憶(ADL記憶)を維持することが回想法の目的でもある。(出典:回想療法の理論と実際)日本心理学会2013年発表論文

領域別認知症検査[編集]

認知症の検査法として長谷川式が有名であるが、領域別差異がわからない。DCL(初期痴呆チェックリスト)は、記憶領域と心的操作領域を別々に測定するために、回想法によって記憶が刺激されることによってもたらされた効果を測定できる。

基本的姿勢[編集]

受容的共感的姿勢での傾聴。 回想法は、カウンセリングと違って、生きてきた軌跡の中でも、明るく輝いていた時代の内容を話題とする。よって「会話」がとても重要となる。回想法的インタビュアーのことを「レミニシャン」と言うが、相手の錆びた古い記憶を引き出すコミュニケーション技術が必要。また、10歳~15歳の記憶が鮮明であると、ADLが維持されている臨床状況から、その時代の記憶を刺激することが回想法の基本姿勢とされる。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • 小林幹児著 『介護職リハビリ職のためのシンプル回想療法』福村出版
  • 小林幹児著 『回想療法の理論と実際・医療看護心理フィールドの心療回想法』福村出版
  • 小林幹児著 『おしゃべり心療回想法』 論創社
  • 小林幹児著 『うつ病脱出インタビュー法・心療回想法のすすめ』メタモル出版
  • 小林幹児著 『回想療法の理論と実際』アテネ書房
  • 小林幹児著 『夢の事典』日本文芸社
  • 小林幹児  『ADLを低下させる記憶群の消失』日本心理学会 第77回札幌大会 2013年
  • 黒川由紀子松田修丸山香斎藤正彦著『回想法グループマニュアル』ワールドプランニング
  • 黒川由紀子・松田修・斎藤正彦著 『老年臨床心理学』有斐閣
  • 黒川由紀子著・小野庄一写真『百歳回想法』木楽舎