四重禁戒

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

四重禁戒(しじゅうきんかい)(梵 pārājika)とは、仏教(vinaya, 毘奈耶)において、違反した場合には僧団(サンガ)より追放される非常に重い罪となる4ヶ条の条項である。四重禁波羅夷とも称される。

出家者に対する四重禁[編集]

出家者(比丘)に対しては次の4か条が禁止されている。

  • 婬(異性、同性との性交渉、あるいは獣姦をおこなうこと)
  • 盗(与えられていない物を、自分の物とすること)
  • 殺人(故意に人を殺す、あるいは他人に殺させること。自殺教唆も含む)
  • 大妄語(実際は違うにもかかわらず、「私は悟りを開いた」と自称すること。ただし、錯乱状態や未熟ゆえに自信過剰な者は除く)

密教における四重禁戒[編集]

密教における四重禁戒は、三昧耶戒における『十四根本堕』の根本的な四つの戒律をいう。現在の日本では、正規の出家者としての戒律(ヴィナヤ)を守る習慣が途絶えてしまっているので、『大日経』等を依拠とした「四重禁戒」を採用し、また、三昧耶戒戒体としている。

日本密教の四重禁戒[編集]

  • 不応捨正法戒(正法を捨ててはならない)
  • 不捨離菩提戒(菩提心を捨ててはならない)
  • 不応慳悋正法戒(正法を伝えることを惜しんではならない)
  • 不応不利衆生行戒(衆生を利益しないような事があってはならない)

脚注[編集]

関連項目[編集]