唐詩選
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唐詩選(とうしせん)は、明の李攀竜(りはんりょう、1514年 - 1570年)が編纂したと言われている唐代の詩選集である。李攀竜の死後出版されており16世紀末から17世紀頭に出版されたと思われる。
五言古詩14首、七言古詩32首、五言律詩67首、五言排律40首、七言律詩73首、五言絶句74首、七言絶句165首の計465首がおさめられている。唐詩の選集としては唐詩三百首と並び良く読まれており、主に日本で良く読まれている。特に江戸時代にはベストセラー的な扱いを受けていた。
李攀竜は、宋詩優勢の中、盛唐詩(玄宗時代に作られた詩)を良しとしこれを推進していた一派に属していた一人である。唐詩選もそのポリシーに従って詩が選ばれており、盛唐詩である杜甫、李白、王維などの詩が多く採用される一方、中・晩唐詩の選に関しては積極的ではなく韓愈が1首、杜牧や白居易にいたっては0とその詩の選び方は極端に偏っている。 唐詩選は李攀竜の死後、明末に刊行されており広い読者を確保した。清代になっても、塾のテキストとして良く使われ、日本にも伝来年代は不明であるものの、古くから伝来していたものと推定されている。 日本では荻生徂徠がこの書を高く評価したことから大流行し、「唐詩選より優れた唐詩の選集は存在しない」とさえ一時期は言われていたという。
しかし、清初には盛唐詩の模倣をしようとする精神が批判され、評価は極端に落ちてしまう。更にこの書の評価を引き下げたのは、清の四庫全書総目提要において、李攀竜が編纂したものではなく町の無名の商人の偽作であるという説が提示されたことである。
[編集] 唐詩選偽作説について
四庫全書総目提要の偽作説は、おおよそ以下のようなものである。
「唐詩選は、町の商人が、当時名声の高かった李攀竜の名を騙り、李の編んだ漢詩名作集「古今詩刪」の唐の部分を抜き出し、李の遺稿「選唐詩序」を「唐詩選序」と改ざんして序文とし、あたかも李が唐詩選を編纂したかのように見せかけ、注釈も唐汝詢の「唐詩解」から盗用したものであろう。塾で学習教材として使っていることが多いのは、おかしなことである」
この説が日本に伝わると、唐詩選バッシングともいうべき批判が巻き起こった。偽作説は更に追及され、「唐詩選には「古今詩刪」に入っていない漢詩も入っている。従って「古今詩刪」の抜粋ですらない。詩の選択も疑問であり、価値の低い書物である」とされた。山本北山のように「偽唐詩」とさえいうものさえあったという。
昭和に入って、平野彦次郎が四庫全書総目提要の誤りを指摘して偽作説を批判し、唐詩選は李攀竜の真作であるとする説を発表したが、現在でも唐汝詢の「唐詩解」から抜粋し有名人の李攀竜の名を騙った書物であろうという説などがあり、偽作説は有力である。
[編集] 評価
上記のように問題はあるが、唐代の、特に盛唐の詩をうかがい知る上で手ごろなテキストとして人気があり、唐詩の選集の代名詞となっている。例えば、藤沢周平は漢詩を良く読んだが、「私のような非専門家には、唐詩選のような文庫版3冊くらいの小ぶりの詩集がちょうど良い」というようなことを随筆で述べており、手ごろさと唐詩らしい詩が多く含まれていることから、日本では一般的には良く読まれている。書店で売られている「唐詩選」と題する書物には、現在の編者が全く独自に編んだものさえあるほどである。


