和え物

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和えるから転送)
ホウレンソウの胡麻和え

和え物(あえもの)は、食材調味料など味を加えるものを入れて混ぜ合わせたものをいう[1]。広義には、なます、酢の物、浸し物なども含むが、一般的には和え衣(調味液・加味品)とともに混ぜ合わせた料理をいう(狭義の和え物)[2]。以下では狭義の和え物について述べる。

構成[編集]

和え物は、一般的には何らかの下処理をした食材を和え衣とともに和えた(混ぜ合わせた)料理である[2]日本料理では代表的な副菜の一つである[2]

下処理をした主たる食材(和えられる食品)を、和え種、タネ、かやく、具などという[2]。和え種となる材料はあらかじめ洗う、切る、茹でる、煮る、炒めるなどの下処理を行う[2]

一方、和える食品は和え衣、衣、和え代、調味液、加味品などという[2]。和え衣に使用される食材の種類も、種実類豆類野菜類魚介類、卵類、果実類、芋類、海草類、乳類など多様で、これらをそのままか、炒る、摺る、裏漉す、おろすなどの調理操作を加えてから和える[2]

代表的な和え物に、芥子和え、木の芽和え、酢味噌和え、胡麻和えなどがあり、豆腐を使った白和え、大根を使ったおろしあえ、枝豆を使ったずんだあえなど和え衣の種類に応じた名称がある[2]

材料は、熱いまたは温かいものは決して使用しない、また、和える前に材料の水気を切るのが鉄則である[要出典]

代表的な和え物[編集]

辛子和え(からしあえ)
茹でた青菜ナス、肉などをからし醤油で和えたもの
味噌和え(みそあえ)
野菜類、イカなどを味噌胡麻ネギなどを加える場合もある)で和えたもの[3]
木の芽和え(きのめあえ)
山菜イカなどを木の芽味噌(白味噌、刻んだ木の芽(若い山椒の葉)と味醂を合せたもの)で和えたもの。春の季語[3]
酢味噌和え(すみそあえ。ぬた、掻き和え)
さっと茹でたネギ、ほうれん草、ノビルワカメ、青柳(バカガイ)、タコマグロ赤身などを酢味噌(好みでカラシも)で和えたもの。[3]
梅和え(うめあえ)(梅肉和え(ばいにくあえ))
茹でた鶏肉キュウリなど(下味することも多い)を崩した梅干で和えたもの(大葉などを散らすこともある)
胡麻和え(ごまあえ)(胡麻よごし(ごまよごし))
茹でた青菜、山菜、野草などを、軽く擂った胡麻と醤油、味醂で和える[3]
レンジを使った、お手軽レシピも普及している。
白和え(しらあえ)
茹でて下味(醤油、味醂、出汁)した青菜、コンニャク、もどしたヒジキなどと、搾って潰した(裏漉しすればなお良い)豆腐と和える(擂り胡麻や砕いたクルミを加える人もある)[3]。料理店の場合、中身をくりぬいたユズの実やの実に盛ることもある。ホウレンソウなど単品の野菜を和える場合もある。
飛騨高山地方での精進料理や懐石料理に供される生盛膾(いけもりなます)は、茹でたり煮付けたりした山菜や野草、タケノコ、生野菜、さらには抹茶羊羹や寒天を具として、白和えと同じ豆腐をベースとしたソースで和えた野菜料理。ただし、上記の白和えと異なり、食べる人が直前に和えるのが大きな特徴である。精進料理の場合には、刺身代わりとして出される事が多い。
山葵和え(わさびあえ)
茹でた青菜、海の幸を山葵醤油等で和えたもの。
青和え(あおあえ)
青豆などをすって和えたもの。[3]
卯の花和え(うのはなあえ。きらずあえ、吹雪あえ、からまぶし、雪花あえ)
の魚や野菜等をおからで和えたもの。[3]
おろし和え
大根おろしで和えたもの。[3]
切和え
フキの若葉を刻み焼味噌で和えたもの[3]
芥子和え(けしあえ)
ケシの実で和えたもの[3]
鉄砲和え(てっぽうあえ)
ネギを和えたもの[3]
磯部和え(いそべあえ)
のりで和えたもの[4]を和え衣に用いた和え物。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 本山荻舟『飲食事典』平凡社、1958年12月15日、2頁。 
  2. ^ a b c d e f g h 大久保洋子「あえもの」『調理科学』第27巻第2号、日本調理科学会、1994年5月、158-161頁、doi:10.11402/cookeryscience1968.27.2_1582019年12月9日閲覧 
  3. ^ a b c d e f g h i j k 広辞苑第5版
  4. ^ 磯辺和えとは - コトバンク