名鉄広見線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
広見線(ひろみせん)は、愛知県犬山市の犬山駅から岐阜県可児市の新可児駅を経て、岐阜県可児郡御嵩町の御嵩駅までを結ぶ、名古屋鉄道(名鉄)の鉄道路線。
運賃計算区分はC(運賃計算に用いる距離は営業キロの1.25倍)。犬山駅~新可児駅間ではトランパスが利用できる。
目次 |
[編集] 路線データ
- 路線距離(営業キロ):22.3km
- 軌間:1067mm
- 駅数:11駅(起終点駅含む)
- 複線区間:犬山~新可児間
- 電化区間:全線電化(直流1500V)
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 交換可能駅:明智駅
- 最高速度:90km/h(犬山~新可児間。新可児~御嵩間は70km/h程度)
[編集] 概要
可児市内では沿線に市街地や住宅地が広がる中を、新可児駅以東では可児川沿いを走る。新可児駅以西と以東を直通する列車は同駅でスイッチバックする。また名古屋方面からの直通列車は配線上犬山駅でスイッチバックを行うため、犬山~新可児間は他の路線と進行方向が逆になる(1号車が下りを向く)。かつて途中の明智駅から八百津線が分岐していたが、同線は2001年に廃線となっている。
1984年に八百津線とともに富士重工業製の軽快気動車「LE-Car」の試運転が行われ、閑散区間合理化のため名鉄がこれを採用し同年八百津線、翌年に新可児~御嵩間の一部の列車がキハ10形で気動車化された。明智~御嵩間の気動車の運行はキハ10形からキハ30形に交代した1995年に終了し、新可児~明智間でも八百津線廃止後は気動車の運行は行われていない。
犬山~富岡前間には犬山検車場があり、同区間では回送列車も多く運転されている。
なお、途中の駅は西可児駅、新可児駅、明智駅を除き、無人駅である(終点の御嵩駅も時間帯によっては無人になる)。
[編集] 運行形態
運行形態は新可児を境に以下の2つの区間に分断されている。
[編集] 犬山~新可児間
昼間時間帯は普通のみの運行。新可児までは最大6両まで入線可能。ただし中部国際空港始発の急行で6両で運転している列車(7000系・5700系は除く)は犬山で岐阜寄りの2両を切り離すため、広見線へは基本的に4両で入線する。朝ラッシュ時は1380系4両の普通もあり、2008年5月からは1800系と5000系をつないだ6両の普通も走っている。
- 犬山線へ直通する全車特別車の快速特急(2000系4両)・特急(1000系4両)を朝に新可児駅発、夕方に新可児駅行(1000系4両)を運行している(快速特急は平日の朝のみ。一部の特急は2007年6月29日まで新鵜沼発着の列車と併結していた)。ほとんどの列車が終点の新可児で普通御嵩行きに接続している(御嵩方面からの列車からは新可児で特急へ乗り継げるとは限らない)。また、2007年6月30日より平日朝の下り1本と土休日の全列車(朝の上り3本)は一部特別車(1200系6両)となっている。
- かつて昭和の終わり頃までは御嵩駅や八百津駅(現在廃止。蘇水湖号という愛称がついていた)まで直通しており、7000系白帯車を使用した列車には「日本ライン」号という愛称が付けられていた。新可児止まりとなってからも一部の列車は7000系が特急運用から撤退する1999年まで名乗っていた。かつては高速や1000系または1600系による豊川稲荷行き(正月ダイヤの臨時特急のみ)や1600系による国府行きの全車特別車特急(犬山で新鵜沼方面からの列車を増結)なども運転されていた。
- 快速特急・特急とも富岡前駅と善師野駅を通過し、西可児駅からは各駅に停車する(2003年までは可児川駅を通過しており、更に昔は西可児駅も通過していた)。なお、上り列車は特別車の座席が犬山線・名古屋本線での向きに合わせて進行方向逆向きにセットされている。
快速特急・特急については名鉄特急も参照。
- 犬山線・各務原線に直通し、名鉄岐阜駅~新可児駅間に平日のみ朝に新可児駅行、夕方に両方向運行している。特急と同じく、富岡前駅と善師野駅を通過し、西可児駅からは各駅に停車する。かつては犬山線名古屋方面のほかにも御嵩駅や八百津駅まで直通していて、新可児で種別変更することもあった。
- 2005年から快速急行の種別が設定されたが、この種別を名乗って運行する列車は過去に1本もなく現在ではこの種別の設定自体も消滅している(停車駅は急行と同じ)。ただし、犬山からこの種別になる普通が現在も平日の朝に走っている。
- 昼間は毎時4本運転される。うち2本が犬山線を経由して名古屋方面と直通している(大半は犬山駅で種別が変わる)。
- 下りは常滑線・河和線・知多新線へ直通する新可児駅→河和駅間・新可児駅→内海駅間(犬山線・常滑線・河和線・知多新線内は急行)に毎時各1本、上りは中部国際空港から直通する中部国際空港駅→新可児駅間(空港線・常滑線・犬山線内は急行)を毎時2本、それぞれ30分間隔で運行している(新可児で御嵩行きに接続する。一部の時間帯は新可児→空港の列車もある。この場合犬山→名古屋間は準急となる)。平日の夕方は新可児駅発着が御嵩駅発着となる。
- 以前は夕方に常滑線直通の代わりに豊橋駅発着の便があった。現在豊橋行きは存在しないが、本線直通列車は平日の朝に新安城行き(犬山から準急)と豊川稲荷行き(犬山から快速急行)が1本ずつ走っている。
- この他にこの区間内完結の列車を毎時2本運行している(新可児で御嵩行きへの接続なし。1800系や5300系の2両が多い)。この列車は犬山駅で新鵜沼・名鉄岐阜方面発着の準急・急行や快速特急に接続している(夕方以降は時間が変わり一部特別車特急にも接続している)。
[編集] 新可児~御嵩間
- この区間は東濃鉄道→東美鉄道→名鉄東美線→広見線と何度か名称が変化している。単線で、明智駅のみ上下列車の交換が可能である。
- ただし名古屋方面直通列車の多くは交換するものの区間内のみ運転の列車は御嵩駅での折り返し時間を短くしているため殆ど交換を行わない。
- 昭和の頃は特急や急行も走っていた(双方とも途中伏見口(現在の明智)のみ停車)が、現在では普通列車のみの運転である。昼間は毎時2本運転されており、犬山・名古屋方面直通列車に接続している。この区間はホームの有効長が短い(新可児・明智・御嵩は4両まで、顔戸と御嵩口は2両まで)ため、顔戸と御嵩口では4両編成はドアカットを行い後ろ2両の扉が開かない。
- 2003年ダイヤ改正時に名古屋方面との直通列車が大幅に削減されて以来、基本は区間内での折り返し運転となっているが、朝夕に犬山・名古屋方面との直通列車がある。区間内折り返し列車は主に5300系や6000系列などによるツーマンの2両、名古屋方面へ直通する列車は6000系列や3500系列などの4両で運転する。
- 上記のドアカットの関係上、通常は固定編成のみが入線する。かつては7000系や3400系などの旧性能車、キハ30形といったレールバスも多数乗り入れていた。レールバスはかつて新可児~御嵩間や明智~御嵩間で利用者の少ない昼間時間帯を中心に多数運転されていて(1両が多かったが2両編成のときもあった)、晩年は2001年の八百津線廃止まで車両交換と給油のため新可児~明智(~八百津)間を昼間に1往復のみ運行していた。
- 土休日の朝には犬山駅~新可児駅~明智駅の運転が2往復ある。かつては明智駅~御嵩駅のみ運転の列車もあった。
- 2007年に名鉄がこの区間を廃止する可能性を示し、沿線自治体の可児市や御嵩町に今後の方向性や考えを打診しており、動向が注目される[1][2]。また、この区間の駅にはSFカードシステムを導入しないことが2008年(平成20年)3月27日に正式に発表された。
- 名古屋鉄道が2008年4月25日に発表した同年6月29日のダイヤ改正内容によると、この区間は終日区間内折り返しとなる。また同日明智駅、御嵩駅が無人化され、同区間は新可児駅を除いてすべて無人駅となる。午前10時以降はワンマン運転となり、新可児駅1番線に乗り換え改札口(トランパス対応予定)が設置される。車両は現在西尾線・蒲郡線の西尾~蒲郡間を走っている6000系ワンマン改造車が使われる予定で、乗務員の訓練を兼ねた試運転が行われている。また各駅に乗車位置の案内が設置される予定。この区間がワンマン化されるのは新可児~御嵩間や明智~御嵩間にレールバスが走っていた1985年~1995年以来で、約13年振りとなる。
[編集] 歴史
広見線は新可児駅を境に成り立ちが異なっている。西側は名古屋鉄道(初代)によって開業したが、東側は東濃鉄道(1944年設立の同名の会社とは別)によって軌間762mmの軽便鉄道として開業した。
新多治見~広見間を1918年に開業させていた東濃鉄道は、広見(現在の可児、ただし場所が異なる)~御嵩(現在の御嵩口)間を1920年に延伸開業。のちに新多治見~広見間が国有化され太多線となり、広見~御嵩(当時)間は新会社の東美鉄道が承継した。名古屋鉄道の路線となったのは1943年のことである。
利用客の減少と駅集中管理システムの導入による経費削減のため、学校前駅が2005年1月29日に廃止された。
[編集] 年表
- 1920年(大正9年)8月21日 東濃鉄道が広見~御嵩(現在の御嵩口)間を開業。
- 1925年(大正14年)4月24日 名古屋鉄道が今渡線として犬山口~今渡(現在の日本ライン今渡)間を開業。
- 1926年(大正15年)9月24日 東濃鉄道が東美鉄道へ広見~御嵩(現在の御嵩口)間を譲渡。
- 1928年(昭和3年)10月1日 東美鉄道が全線を1067mm軌間に改軌。国鉄広見(現在の可児)駅の移転に伴い、広見~伏見口(現在の明智)間の線路を移設。広見~伏見口間に前波駅、伏見口~御嵩(現在の御嵩口)間に顔戸駅開業。
- 12月7日 前波~伏見口間に学校前駅開業。
- 1929年(昭和4年)1月22日 名古屋鉄道が今渡~広見(現在の新可児)間を開業。今渡線を広見線と改称。
- 1月22日 東美鉄道が広見~御嵩(現在の御嵩口)間を電化。
- 1930年(昭和5年)2月16日 広見駅を新広見駅に改称。
- 4月30日 東美鉄道 伏見口~兼山間が開業。
- 10月1日 東美鉄道 兼山~八百津間が開業。
- 1931年(昭和6年)4月29日 犬山口~富岡前間に東犬山駅開業。大曽根線(現在の小牧線)乗換駅。
- 1943年(昭和18年)3月1日 名古屋鉄道が東美鉄道を合併。新広見(現在の新可児)~御嵩(現在の御嵩口)間、伏見口~八百津間が東美線となる。
- 11月1日 ライン遊園駅を土田駅に改称。
- 1944年(昭和19年) 前波駅休止。
- 1946年(昭和21年)3月1日 広見線の犬山口~東犬山~富岡前間が廃止、犬山~富岡前間が開業。広見線の起点を犬山駅に変更。
- 1948年(昭和23年)5月16日 東美線の新広見~御嵩(現在の御嵩口)間を広見線に編入。伏見口~八百津間は八百津線となる。
- 1949年(昭和24年)12月1日 土田駅をライン遊園駅に改称。
- 1952年(昭和27年)3月 丸山ダム建設工事線として、丸山水力専用鉄道 八百津~錦織間開業。
- 4月1日 御嵩口~御嵩間が開業し全通。これまでの御嵩駅を御嵩口駅と改称。
- 1953年(昭和28年)7月 丸山水力専用鉄道 錦織~丸山発電所間開業。
- 1954年(昭和29年)6月1日 丸山水力専用鉄道 八百津~丸山発電所間廃止。
- 1965年(昭和40年)3月21日 広見線の新広見~御嵩間と八百津線の架線電圧を1500Vに昇圧。
- 1967年(昭和42年)8月17日 犬山~富岡前間が複線化。
- 1968年(昭和43年)3月8日 富岡前~善師野間が複線化。
- 12月7日 今渡~古市場信号場間が複線化。
- 1969年(昭和44年)3月16日 善師野~春里信号場間が複線化。愛岐駅・帷子駅・春里駅を統合し西可児駅を設置。
- 1970年(昭和45年)3月6日 春里信号場~新広見間が複線化。春里信号場廃止。
- 1982年(昭和57年)4月1日 可児市の市制施行に伴い、新広見駅を新可児駅に、伏見口駅を明智駅に改称。
- 11月15日 貨物営業を廃止。
- 1984年(昭和59年)9月23日 八百津線の電気運転廃止。レールバス化。
- 1985年(昭和60年)3月14日 新可児~御嵩間の一部列車にもレールバス投入。
- 2001年(平成13年)10月1日 八百津線 明智~八百津間が廃止。
- 2003年(平成15年)3月27日 平日昼間と休日の犬山線~御嵩直通を廃止。新可児で多くの列車が系統分割される。
- 2005年(平成17年)1月29日 新可児~明智間の学校前駅廃止。
- 2007年(平成19年)8月8日 富岡前駅~新可児駅間にトランパス導入。
[編集] 駅一覧
- 普通列車は各駅に停車。
- 快速急行は広見線内で快速急行として運転される列車がないため省略(2007年6月30日改正版でも記載なし。なお停車駅は急行と同じ)。
| 駅名 | 営業キロ | 急行 | 特急 | 快速特急 | 接続路線 | 所在地 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 犬山駅 | 0.0 | ● | ● | ● | 名古屋鉄道:犬山線・小牧線 (犬山線は名鉄名古屋方面直通あり) |
愛知県 | 犬山市 |
| 富岡前駅 | 1.9 | | | | | | | |||
| 善師野駅 | 4.0 | | | | | | | |||
| 西可児駅 | 7.7 | ● | ● | ● | 岐阜県 | 可児市 | |
| 可児川駅 | 9.7 | ● | ● | ● | |||
| 日本ライン今渡駅 | 12.2 | ● | ● | ● | |||
| 新可児駅 | 14.9 | ● | ● | ● | 東海旅客鉄道:太多線(可児駅) | ||
| 明智駅 | 18.4 | ||||||
| 顔戸駅 | 20.0 | 可児郡御嵩町 | |||||
| 御嵩口駅 | 21.7 | ||||||
| 御嵩駅 | 22.3 | ||||||
●:全ての列車が停車 |:通過
[編集] かつて存在していた駅
廃止区間の駅は後の節を参照。
- 愛岐駅(善師野駅~帷子駅間) - 1969年3月16日 帷子駅・春里駅と統合され西可児駅となる。
- 帷子駅(愛岐駅~西可児駅間) - 1969年3月16日 愛岐駅・春里駅と統合され西可児駅となる。
- 春里駅(西可児駅~可児川駅間) - 1969年3月16日 愛岐駅・帷子駅と統合され西可児駅となる。
- 前波駅(新可児駅~学校前駅間) - 1944年休止、1969年4月5日廃止
- 学校前駅(前波駅~明智駅間) - 2005年1月29日廃止
[編集] 廃止区間
[編集] 過去の接続路線
[編集] 脚注
- ^ 広見線存廃で名鉄が打診 - 「鉄」記者ブログ - 岐阜新聞Web 2007年12月12日
- ^ 「廃線? 御嵩町民に不安 名鉄広見線の末端区間」中日新聞 2008年1月27日
[編集] 関連項目
|
|
|
|---|---|
| 営業中の路線 | ■名古屋本線■羽島線■竹鼻線■尾西線■津島線 ■犬山線■各務原線■広見線■モンキーパークモノレール線■小牧線■瀬戸線 ■築港線■常滑線■空港線■河和線■知多新線 ■豊田線■■三河線■西尾線■蒲郡線■豊川線 |
| 廃止路線 | 岐阜市内線 鏡島線 高富線 揖斐線 谷汲線 美濃町線 田神線 起線 清洲線 一宮線 岩倉支線 八百津線 勝川線 安城支線 (旧)西尾線 平坂支線 岡崎市内線 福岡線 挙母線 小坂井支線 渥美線 |
| 未成線 | 鷹来線 |
| 営業譲渡路線 | 渥美線(豊橋鉄道に譲渡) |

