名探偵コナン ベイカー街の亡霊
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| 名探偵コナン映画作品 | ||
|---|---|---|
| 通番 | 題名 | 公開年 |
| 第1作 | 時計じかけの摩天楼 | 1997年 |
| 第2作 | 14番目の標的 | 1998年 |
| 第3作 | 世紀末の魔術師 | 1999年 |
| 第4作 | 瞳の中の暗殺者 | 2000年 |
| 第5作 | 天国へのカウントダウン | 2001年 |
| 第6作 | ベイカー街の亡霊 | 2002年 |
| 第7作 | 迷宮の十字路 | 2003年 |
| 第8作 | 銀翼の奇術師 | 2004年 |
| 第9作 | 水平線上の陰謀 | 2005年 |
| 第10作 | 探偵たちの鎮魂歌 | 2006年 |
| 第11作 | 紺碧の棺 | 2007年 |
| 第12作 | 戦慄の楽譜 | 2008年 |
| 第13作 | 漆黒の追跡者 | 2009年 |
名探偵コナン ベイカー街の亡霊(めいたんていコナン ベイカーストリートのぼうれい)は2002年4月20日に公開されたテレビアニメ・名探偵コナンの劇場版・第6作である。興行収入は33億8000万円。上映時間は107分。英語名は「Detective Conan: The Phantom of Baker Street」。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。
目次 |
[編集] あらすじ
工藤優作(コナンの父)がシナリオを提供した新型ゲーム機・『コクーン』の披露パーティーに招かれたコナン達。会場で発生した殺人事件の手がかりを求め、コナン達はコクーンが作り出す仮想空間へと入るが、システムは人工頭脳ノアズ・アークに占拠されてしまう。
「日本という国のリセット」を企てる彼は、プレイヤーである子供達が一人もゲームをクリアできなければプレイヤーの脳を破壊すると宣告。コナン達が選んだゲームは、『オールドタイムロンドン』。19世紀末の殺人鬼・切り裂きジャックを追いかける、命がけのゲームに挑む。
一方、現実の会場では優作たちが殺人事件の捜査に乗り出していた。ゲームの世界と現実の世界。ノアズ・アークがゲームに仕掛けた現実の事件の解決に至る真実とは何か?ノアズ・アークはゲーム世界のどこに潜むのか?
現実世界の殺人者は誰なのか?そして、その動機は?これらの謎に立ち向かうため、工藤親子は二つの世界を隔てた「親子による共闘」を開始する。
[編集] 概要
本作は19世紀末ロンドンに存在した、歴史の光と闇・シャーロック・ホームズと切り裂きジャックを大きなテーマにしている。突き詰めれば野沢尚による“シャーロック・ホームズvs切り裂きジャック”と呼ぶ事も可能である。なお本作は、名探偵コナンの都合上日本を離れられない「江戸川コナン」の数少ない(擬似的にしろ)海外でのエピソードである。
野沢尚の得意とする「親子の絆」というテーマと、死を描きながらも生を積極的に肯定し、“絶望を凌駕するべき希望”を描くという手法から「名探偵コナン」にスポットを当てた、意欲作であると同時に冒険作でもあると言える。
しかし、この作品はライトなファン層に高い評価を得るとともに、「プロローグが少年の自殺から始まる」「19世紀の仮想世界に向かうという飛躍した設定」「レギュラーキャラクターも含めた登場人物が擬似的にだが死亡する」「コナンが諦めたり投げやりな姿を見せる(結局はホームズに励まされてやる気を取り戻したが)」「事件解決に伴い首謀者であるノアズ・アークが自らの消滅を宣言し、コナンがそれをあっさりと容認している」「ラブコメ要素が薄い」などといった要素を持つため、古参のファンからは不評を買った(というよりは強い違和感を抱く傾向が強い)作品としても知られる。
主な批判としては、「人生にリセットボタンは無い」という、「ベイカー街」における作品のメインテーマであった重々しい現実感が、仮想世界パートのいかにもゲーム的な擬似死亡(ゲームオーバー)展開の挿入のせいで薄れてしまったことや、原作の登場人物元来の性格が大きくねじ曲げられていることなどがある。前者は作品の痛々しさを失くすだけではなく、物語冒頭の少年の自殺や殺人事件に対する重々しいイメージを劣化させているという意見がある。また後者の点に対する意見としては、「憧れていたものに近づくと子供のようにはしゃぎまわるコナン(新一)の性格からして、仮想世界内のホームズ宅で特に感情を表さなかったことは考えにくい(ホームズの部屋に入るなり、安楽椅子に座ってホームズの真似に興じていたが)」というものや、灰原哀が作中で見せた過激なぶりっ子ぶりについて(この点は「天国へのカウントダウン」にて既にキャラクター設定となっている。「探偵たちの鎮魂歌」でもこの表現が使われている)や、両親の別居を深刻な問題として受け止めている蘭が、別居を初対面の子供にバカにされた事に対する天然ボケ気味の回答はありえないというものなど、これに該当する問題は作中で数多く存在している。
だが、古参のコナンファンの中にも、この映画を支持する層が少なからず存在する事や、公開から5年近くが経過した今でも、ファンの中で賛否の論争が根深い事から、この映画を取り巻く事情は、決して単純ではない。原作者青山剛昌がこの作品に対して寄せたコメントが他の劇場版作品にくらべて極端に短く、多くを語ろうとしない点からも、この映画を取り巻く複雑な事情が少なからず伺えるが、青山が公開以前に東京ムービーのプレス紙「アニメール」に寄せたコメントにて工藤有希子のアイリーンとしての登場について快活に語っていた事や、ムック「劇場版名探偵コナン 10yearsシネマガイド」にて、野沢との電話での打ち合わせ・変更希望の相談のエピソードについて語っていた点からすると、他の劇場版作品と同様、映画の筋についてある程度口出しをしていた様である。また、脚本の野沢尚も「キネマ旬報」2002年4月上旬号、角川書店「DVD&ビデオでーた」2002年10月号におけるインタビューで、原作コミックスや劇場版作品を観賞していたエピソードを述べていたり、「ベイカー街の亡霊」の脚本を手がける数年前から、自らの小説『眠れぬ夜を抱いて』やドラマ『リミット もしも、わが子が…』脚本内に「名探偵コナン」のグッズ等を小道具として登場させていたりと、少なからず「名探偵コナン」を好意的に扱っていた事は確かなようだ。
異色作であると評される本作ではあるが、アニメファンの間では映画としての完成度を高く評価する向きもある。後の『名探偵コナン 水平線上の陰謀』でも取り入れられる二重(デュアル)サスペンス的な要素を現実世界とゲーム世界、シンドラーとヒロキ、大人と子供、過去と未来、工藤優作と江戸川コナン等の対比によって上手く描き出し、どちらを重視するでも無く、ほぼ平行して進行する二つのストーリーや周到に張られた伏線とその回収。壮大なB'zの楽曲と共にエンディングで流れる美しいロンドンの実写背景等から本作品をアニメ映画の傑作の一つに数えるファンも少なくは無い。また、何かと批判の聞かれる「新一の好きだといったホームズの言葉が、蘭に自己犠牲を決意させる」というエピソードは、野沢の手によるものではなく、映画スタッフにより追加されたものである事が「キネマ旬報」2002年4月上旬号のインタビューで判明している。
2002年の年間邦画ランキングでは2位になり、2006年のアニメ公式サイト上で行われた映画『名探偵コナン』リクエスト企画で第3位になった。またアニメ歴代興行収入25位である(2009年現在)。
この作品以降から東京キー局の日本テレビも劇場版コナンの制作に参加するようになった。また、この回以降は多少の意味の誤差はあるものの、外来語に漢字の当て字を付けた言葉が作品のタイトルに含まれるようになった(街=ストリート、十字路=クロスロードなど)。
[編集] 登場人物
[編集] メインキャラクター
- 江戸川コナン:高山みなみ
- 工藤新一:山口勝平
- 毛利蘭:山崎和佳奈
- 毛利小五郎:神谷明
- 小嶋元太:高木渉
- 吉田歩美:岩居由希子
- 円谷光彦:大谷育江
- 阿笠博士:緒方賢一
- 灰原哀:林原めぐみ
- 目暮十三:茶風林
- 白鳥任三郎:井上和彦
- 千葉刑事:千葉一伸
- 鈴木園子:松井菜桜子
- 工藤優作:田中秀幸
※以上の人物は名探偵コナンの登場人物を参照。
[編集] オリジナルキャラクター
- ノアズ・アーク:折笠愛
- ヒロキ・サワダの手によって制作された、1年で人間の5年分成長する人工頭脳。
- 本編の二年前に製作されたため、現在は死亡当時のヒロキと同じ年齢。ヒロキの手によって一般の電話回線から逃亡し、密かに成長を続けていた。パーティー会場で披露された最新体感ゲーム機『コクーン』を乗っ取り、「日本という国のリセット」を目的に騒ぎを引き起こす。名前は旧約聖書のノアの方舟に由来。
[編集] 現実世界のキャラクター
- トマス・シンドラー(52歳):津嘉山正種
- シンドラーカンパニー社長。IT産業界の帝王。父親と別れ、母親を亡くしたサワダ・ヒロキを養子として引き取っていた。
- サワダ・ヒロキ(10歳):折笠愛
- マサチューセッツ工科大学に在籍する天才少年。DNA探査プログラムや、人工頭脳「ノアズ・アーク」を発明した。二年前、マンションの屋上から飛び降りて自殺するが、その理由は不明瞭。また、死の直前、自らの分身とも言える人工頭脳「ノアズ・アーク」を一般の電話回線に逃がした。
- 樫村忠彬(39歳):平田広明
- コクーン開発責任者で、階級は主任。サワダ・ヒロキの父親であり、工藤優作とは大学時代の悪友。
- 諸星登志夫:堀部隆一
- 警視副総監。
- 諸星秀樹(12歳):緒方恵美
- コクーン参加者。諸星登志夫の孫。
- 江守哲之助:依田英助
- 財閥系銀行頭取。
- 江守晃(11歳):愛河里花子
- コクーン参加者。江守哲之助の孫。
- 滝沢進也(11歳):高乃麗
- コクーン参加者。与党政治家の息子。
- 菊川清一郎(11歳):斎賀みつき
- コクーン参加者。狂言師の息子。女のような言葉遣いで話す。
[編集] 仮想世界のキャラクター
以下の人物は19世紀末のロンドンを舞台にした仮想世界「オールドタイム・ロンドン」に登場したキャラクター。
- 実在の連続殺人犯。
- 通称、JTR(Jack The Ripper)。
- コナン・ドイルが著したシャーロック・ホームズシリーズの主人公の私立探偵。
- 容姿は工藤優作に似せたらしい(優作の遊び心)。
- ホームズの相棒。
- 本作では写真のみでの登場。容姿は阿笠博士に酷似。
- ホームズたちの下宿の女主人。
- 大犯罪者。言わずと知れたホームズの宿敵。この映画ではコナン達との出会いの3年後にライヘンバッハの滝でホームズと対決し、命を落とす(事実そうであるのに変わりない)。
- ロンドンの裏の顔で、通称、犯罪界のナポレオン。ジャック・ザ・リッパーを傀儡としていた。
- 舞台女優。
- ホームズがたった一人愛したと言われている。容姿・性格は工藤有希子に酷似(ホームズ同様、優作の遊び心)。モリアーティ教授に命を狙われる。
- モリアーティ教授の腹心。
- ロンドン第二の危険人物と呼ばれる。
- モラン大佐のポーカー仲間:中嶋聡彦
- トランプクラブでモラン大佐らとポーカーをしていた人物。
- ロンドン警視庁の警部。
- ホームズの親友。本作では名前のみの登場。
- ハニー・チャールストン
- JTR事件、第2の被害者。
- モデルは切り裂きジャック第二の被害者であるアニー・チャップマン。
- 謎の浮浪者:宝亀克寿
- アコーディオンを弾く謎の男。ゲームのデータとして存在しないはずの人物。その正体はホームズであり、お助けキャラとしてコナン達の前に現れる。ちなみにホームズは変装の名人であり、原作では浮浪者の姿に変装して探偵活動を行っていたエピソードも存在する。
[編集] その他のキャラクター
- 清水:村井かずさ
- コクーン完成披露パーティーを中継していたレポーター。
[編集] 時代考証
作中に登場する仮想ゲーム「オールドタイム・ロンドン」は、史実の切り裂きジャック事件とシャーロック・ホームズシリーズの設定、時系列をリンクさせ1888年9月30日のロンドンを模したパラレルワールドが舞台となっている。
[編集] 切り裂きジャック事件・史実との相違点
- 劇中でジャック・ザ・リッパーの2番目の被害者とされた「ハニー・チャールストン」の殺害日時9月8日の土曜日は、切り裂きジャック事件2人目の犠牲者アニー・チャップマンの殺害日時と同じ。ハニーの設定と同じく、アニーにも息子が居る(en:Annie_Chapman#Marriage and children)が、彼は3人姉弟の末っ子の先天性障害児で切り裂きジャック事件の時点では8歳だった。
- 1888年9月30日の日曜日には、エリザベス・ストライド(エリザベス・ギュスターフスドッター)、キャサリン・エドウッズという女性がそれぞれホワイトチャペル地区の裏路地(バックス・ロウ)と、マイター・スクウェア(劇中ではマイター・ストリート)で切り裂きジャックに殺害されている。エリザベスの死亡推定時刻は9月30日の0時50分から1時の間とされている。ビッグベンが示す時刻がプレイヤーの人数と連動している点や、その初期時刻が0時50分に設定された理由はここから由来しているものと思われる。
- 劇中で工藤優作が触れた、『ノアズ・アークにシナリオを書き換えられる前の結末』は、「不治の病に冒された貴族」というキーワードからアルバート・ヴィクター (クラレンス公)犯人説と思われる。
- 劇中でアイリーンが歌ったオペラは『トスカ』(劇中で使われた曲目は『歌に生き、愛に生き』)だが、トスカの初公演は切り裂きジャック事件から12年後の1900年の出来事。
- 劇中の機関車、スターリング・シングル(en:GNR Stirling 4-2-2 1870年)については、実物が現存している。(GNR Stirling 4-2-2についてはきかんしゃトーマスの人形劇オリジナル蒸気機関車の項に日本語での説明と写真が掲載されているので、そちらも参照のこと)
[編集] シャーロック・ホームズ作品との相違点
- 劇中でハドスン夫人が口にした、「ベイカー街遊撃隊が大手柄を挙げたこの前の事件」は1888年9月21日から9月28日に起きたとされる 「四つの署名」事件。
- 劇中でベイカー街の自宅にホームズが居ない理由として紹介された「バスカヴィル家の犬」事件が起きたのは1888年9月25日から10月20日の期間。
[編集] キャッチフレーズ
- 「待ってろ・・・絶対、また逢えっから・・・」
[編集] スタッフ
- 原作:青山剛昌
- 監督:こだま兼嗣
- 脚本:野沢尚
- 企画:諏訪道彦
- 音楽:大野克夫
- 絵コンテ:こだま兼嗣
- 演出:原田奈奈
- 演出助手:矢野篤
- ストーリーエディター:飯岡順一
- キャラクターデザイン、総作画監督:須藤昌朋
- アクション作画監督、レイアウトチェッカー:清水義治
- 作画監督:山中純子
- 作画監督補:牟田清司
- デザインワークス:堀内博之、宍戸久美子、佐野隆史
- 原画:牟田清司、大塚健、大城勝、芝美奈子、吉田徹、とみながまり、青山剛昌ほか
- 動画チェッカー:大谷久美子
- 色彩設計:西香代子
- 美術監督:渋谷幸弘
- 背景:Y.A.P石垣プロダクション
- 撮影監督:野村隆
- メインタイトルCGアニメーション:西山仁
- 音響制作:AUDIO PLANNING U
- 音響監督:小林克良
- 音響効果制作:サウンド・エフェクト
- 音響効果:横山正和
- 音響効果助手:横山亜紀
- 1stミキサー:田中章喜
- 2ndミキサー:山本寿
- アシスタントミキサー:大城久典、内山敬章、田口信孝、金子俊也
- レコーディングスタジオ:APU MEGURO STUDIO
- タイトル:田上淑子
- タイトルロゴデザイン:ベイブリッジ・スタジオ
- リスワーク:マキ・プロ
- 製作担当:奥田誠治
- 現像:東京現像所
- アニメーションプロデューサー:小島哲
- アソシエントプロデューサー:浅井認
- プロデューサー:諏訪道彦、吉岡昌仁
- アニメーション制作:東京ムービー
[編集] 主題歌
[編集] 「名探偵コナン ベイカー街の亡霊」製作委員会
[編集] 関連項目
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