吉見義明

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吉見 義明 (よしみ よしあき、1946年 - )は、日本の歴史学者中央大学商学部教授。専攻は日本史、所属学会は日本史研究会(1977-)、歴史学研究会(1976-)など[1]日本の戦争責任資料センター代表。

日本の戦争責任問題、戦時下の民衆社会やその戦争体験受容の歴史などを研究対象としており、特に従軍慰安婦や、日本軍による毒ガス戦などの研究で知られる。慰安婦問題では慰安婦は日本による性奴隷制度という立場から、積極的な活動を行っている。

目次

略歴

慰安婦問題との関わり

吉見は従軍慰安婦論争において、軍政策としての強制連行があったと主張する人物である。吉見が慰安婦問題で脚光を浴びたのは、防衛庁防衛研究所図書館で閲覧した慰安婦に関する資料をコピーして朝日新聞の記者に渡したことにはじまる。

朝日新聞は宮沢喜一首相の韓国訪問5日前というタイミングで、1992年平成4年)1月11日、1面トップで「慰安所の経営に当たり軍が関与、大発見資料」として大々的に報道。この一件で吉見は慰安婦問題の第一人者となった。この記事の説明や同日の社説には「朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した」「その数は8万とも20万ともいわれる」とし、吉見も紙面上で「軍の関与は明白であり、謝罪と補償を」というコメントを寄せた。

この資料は実際には「陸支密大日記」に閉じ込まれていた「軍慰安所従業婦等募集に関する件」(昭和13年3月4日、陸軍省兵務局兵務課起案、北支那方面軍及び中支那派遣軍参謀長宛)というもので、内容は「内地にて民間業者が誘拐まがいの方法で慰安婦を募集することの疑いで官警の取調べを受けたり、みだりに軍の名を使って慰安婦募集をする民間業者がいるので、そういうことのないよう軍と地元官警でしっかり管理するように」というものであった。この資料が示す「関与」とは、朝日新聞が報道するような「関与」とは全く意味合いが違うものであったとする批判がでた。小林よしのり高橋史朗は、「悪質な業者が不統制に募集し「強制連行」しないよう軍が関与していたことを示しているもので「良い関与」である」(高橋史朗『新しい日本の歴史が始まる』)等と批判した。

これらの批判に対して吉見は、(1)通達の主旨は派遣軍が業者を管理すべしというものであり取り締まりの励行ではない、(2)朝鮮や台湾でこのような書類が見つかっていない事を、小林よしのりらは知らず、朝鮮や台湾でもこの通達が出ていると考えているから、そうした考え方をするのだ、と反論している[2]。最近では日本の戦争責任資料センターのホームページなどでも反論を出している。なお、『朝まで生テレビ』において、強制連行を裏付ける物理的な証拠が旧植民地にて発見されていないことを認め、また外務省が非公開としている資料から発見される可能性があることを述べている。

この朝日新聞の報道以降、元慰安婦の訴訟、日韓間の政治問題化、教科書問題などに従い慰安婦問題が取り上げられる事となり、吉見はこれらの動きに応じてその後も慰安婦関係の研究を続け、著作・発言を行っており、現在は『日本軍慰安婦問題の立法解決を求める緊急120万人署名』の賛同人などを務めている[3]

また、慰安婦の強制連行を認める立場の論客の中でも、文書史料などからその証明を行なおうとするオーソドックスの歴史学のアプローチを採用する吉見に対して、上野千鶴子などの論者から「公文書史料は支配者側の記録であり、抑圧された『弱者』の側の現実が史料から見出すことはできない」など、研究手法自体について批判がなされ、論争が展開された[4]

2007年(平成19年)4月17日林博史との共同記者会見で、「慰安所は事実上組織的な'性奴隷'だ。慰安婦たちは強圧による拉致誘拐で募集され、監禁された」とし、「安倍総理は狭義の強制性という言葉を動員して強制動員を否認しているが、中国の山西省での裁判資料やフィリピンの女性たちの証言、オランダ政府の資料などを見れば、日本軍や官吏による強制動員が行われたことは明らかだ」と述べ、「安倍総理と政府は、慰安婦の強制動員に伴い、女性の尊厳性を無視したことに対し、明確な立場を示して法的責任を負わなければならない」と要求した。 [5] 2009年(平成21年)3月、吉見は西野瑠美子林博史らと共同で戦争と女性の人権博物館の呼びかけ人となった[6]

著作

単著

共著

編纂史料

  • 『資料日本現代史(4)翼賛選挙1』(大月書店, 1981年
  • 『資料日本現代史(5)翼賛選挙2』(大月書店, 1981年)
  • 『資料日本現代史(10)日中戦争期の国民動員1』(大月書店, 1984年
  • 『資料日本現代史(11)日中戦争期の国民動員2』(大月書店, 1984年)
  • 『十五年戦争極秘資料集 第18集 毒ガス戦関係資料』(不二出版, 1989年
  • 『従軍慰安婦資料集』(大月書店, 1992年)
  • 『十五年戦争極秘資料集 補巻2 毒ガス戦関係資料2』(不二出版, 1997年)

脚注

  1. ^ 中央大学 研究者情報データベース
  2. ^ 『「従軍慰安婦」をめぐる30のウソと真実』、大月書店、1997年
  3. ^ [1]
  4. ^ 上野輝将「『ポスト構造主義』と歴史学――『従軍慰安婦』問題をめぐる上野千鶴子・吉見義明の論争を素材に」『日本史研究』509号(2005年1月)。この論争に関するより平易なまとめとしては、小田中直樹『歴史学ってなんだ?』(PHP研究所[PHP新書]、2004年)の第2章がある。
  5. ^ 日本の心臓部で広がった「慰安婦」問題糾弾の声
  6. ^ 「戦争と女性の人権博物館」日本建設委員会/WHR日本建設委呼びかけ人 [2]

関連項目

外部リンク

  • 中央大学研究者情報データベース[3]