吉尾弘

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吉尾弘(よしお ひろし、1937年昭和12年)4月 - 2000年平成12年)3月13日)は、日本登山家東京都墨田区錦糸町生まれ。第2次RCC同人。日本勤労者山岳連盟名誉会員。

経歴[編集]

エピソード[編集]

  • 元々は普通の勤め人であったが、会社が終わってからトレーニングをするのではどうしても時間が足りないため、会社を辞めて日雇いの肉体労働をするようになったと言う。
  • 金銭や名誉に興味が無く、企業から高価なものを送られても人に与えてしまい、自身は百円ショップで一日中買い物をしていたと言う。また、大登山家と言うそぶりは少しも見せない人であったようだ。
  • 吉尾氏は、60歳近くなってからフリー・クライミングに取り組んでいた。ドリュ登攀時クライミング技術の無さからトップを務めることができなかった。帰国後登山技術向上のためフリークライミングに打ち込んだ。船橋のクライミングジムでトレーニングに打ち込む吉尾氏の姿をよく見かけたものだった。しかし、吉尾氏のような高名なクライマーが、こうした真摯な姿勢を見せることは極めて稀であったと思われる。古の名クライマーも、クライミングジムの極端な前掲壁には手も足も出ないらしく、人前では決して登ろうとしない人が多かったようだが、吉尾氏はそうではなかった。無名のクライマーを先生と崇めて教えを請い、初心者向けのルートから始めて着実にグレードを上げていった。吉尾氏の人柄を現していたと言えるだろう。その姿に、周囲の者はいよいよ吉尾氏に対する尊敬の念を持ったものだった。仕事中の事故での指切断にもかかわらず、フリークライミングに復帰、「僕の指は切れたから強くなったんだよ。」と驚く友人たちをけむに巻いたものだった。結局デシマルグレードで11ノーマルほどまで登っていた。遭難直前クライミングジムで、友人に「最近ようやく岩の気持ちがわかってきたような気がするんだ。」と話していた。

著書[編集]

  • 『垂直に挑む男』(山と渓谷社,1963年)
  • 『岩登りの魅力:初歩から人工登攀まで-その実戦的理論と応用』(ユニ出版,1978年)ISBN 4946387560
  • 『垂直に挑む』(中央公論社,1980年-「垂直に挑む男」の改題に一篇を追加したもの )ISBN 978-4122007178
  • 『雪戦会:随筆集』(吉尾弘,1984年)
  • 吉尾弘著、日本勤労者山岳連盟編集 『垂直の星:吉尾弘遺稿集』(本の泉社,2001年)ISBN 4880233471
  • 『雪戦会恋する心よいつまでも:随筆集』(文芸社,2007年)ISBN 4286038483

関連書籍[編集]

  • 奥山章著 『ザイルを結ぶとき』(山と渓谷社,1973年)ISBN 4-635-04711-3
  • 日本ネパール合同登山隊著 『憧憬の白き女神:初登頂パビール南東壁』(1980年)
  • 佐瀬稔著 『喪われた岩壁:第2次RCCの青春群像』(山と渓谷社,1982年)ISBN 4122034396
  • 高野亮著 『クライマー:登山界の寵児・吉尾弘と若き獅子たちの闘い』(随想舎,1999年)ISBN 4-88748-027-X
  • 「異端の登攀者」刊行委員会編 『異端の登攀者:第二次RCCの軌跡』(山と渓谷社,2002年)ISBN 4-635-17161-2