合気

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合気(あいき)とは、武術、武道の用語。

合気道大東流においては相手の身体の自由を奪う技術。

合気道や大東流の合気[編集]

近現代に合気道等で現在有名な合気は、大東流合気柔術武田惣角によって明治時代から衆目の前に現れた。合気道大東流の極意とされ、「体格の良い男が小柄な老人に触れた瞬間投げ飛ばされる」、「数人がかりでおさえつけられた状態から、全員をあっという間に倒す」などの現象が代表的なイメージになっている。

大東流では、技を行う上での根幹的技法群のいくつかを指して「合気」と名付けて、それを探求する傾向があるが、大東流から派生した合気道においては、合気は精神的な意味合いを持つ言葉として使用されることがある。合気道開祖の植芝盛平は、合気とは敵を破る術ではなく世界と和合する道であるとし、森羅万象の活動と調和することが合気道の極意であるとした。「合気は愛である」という彼の言葉もよく知られている。

合気道では技の源となる力等に関して呼吸力という表現がよく用いられる。

合気の真偽[編集]

合気の技にはやらせ疑惑がつきものである。演武で見せる技は時に超人的なものに見えるので、"本当にこのような技が可能なのか疑わしい。技をかけられる側が演技で自分から跳んで「達人の神技」を演出しているのではないか"という疑惑である。このような疑問に関しては、論点をいくつかに分けて論じることが可能である。合気は一概にインチキである、本物である、とは言いにくいものである。

力の出し方とする立場

吉田始史は「合気の手前にある技術」として体の表面ではなく背中の力を使うことを主張している。[1]

接触の方法とする立場

倉部誠は接触部分から力を検知できないように働かせることで相手が抵抗できないと主張している。[2] 吉福康郎は「触覚情報を操る技術」とし、相手に気付かれないよう体勢を変えて技をかけていると主張している。[3]

その他の要因とする立場

保江邦夫は、力学的に合気道の技を解析しながら「合気」はそれらとは別の現象であると主張しており[4]筋電計の計測結果から合気を「自分の生体電流で相手の神経を麻痺させる」技であるという仮説を唱えている。[5][6] 木村達雄は非物質的な活動のスイッチを入れるものと主張している。[7]

参考文献[編集]

  • 『幻の神技 大東流合気柔術』 岡本正剛監修 高木一行編 学研
  • 『透明な力』 木村達雄著 講談社
  • 『武田惣角と大東流合気柔術』 合気ニュース
  • 『武産合気 植芝盛平先生口述』高橋英雄編著 白光出版
  • 『合気道修行』 塩田剛三 竹内書店新社
  • 『合気道 極意の秘密』 吉丸慶雪 ベースボールマガジン社
  • 『孤塁の名人』 津本陽 文藝春秋

脚注[編集]

  1. ^ 吉田始史 『コツでできる!合気道―運動基礎理論に学ぶ、武道のコツ』BABジャパン 2008 ISBN 4862203663
  2. ^ 倉部誠 『誰でも体感できる、だから習得できる! できる! 合気術』BABジャパン 2012 ISBN 4862206867
  3. ^ 吉福康郎 『武術「奥義」の科学―最強の身体技法』講談社 2010 ISBN 4062576880
  4. ^ 保江邦夫 『物理学で合気に迫る 身体「崩し」の構造 BABジャパン 2011 ISBN 4862205844
  5. ^ 保江邦夫 『武道vs.物理学』、講談社プラスアルファ新書、2007 ISBN 4062724758
  6. ^ これに対し長野峻也は脱力することで相手が体を支えられなくなっていると分析している。『『合気開眼』を読んで』
  7. ^ 吉福康郎 『武術の科学 ルールに縛られない戦闘術の秘密』ソフトバンククリエイティブ  2013 ISBN 4797369027