台湾高速鉄道

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台湾高速鉄道
台湾高速鉄道路線図
各種表記
繁体字 臺灣高速鐵路
簡体字 台湾高速铁路
拼音 Táiwān Gāosù Tiélù
通用拼音 Táiwān Gāosù Tiélù
注音符号 ㄊㄞˊ ㄨㄢ ㄍㄠ ㄙㄨˋ ㄊ|ㄝˇ ㄌㄨˋ
発音: タイワン ガオスー ティエルー
台湾語 Tâi ôan Ko sok Thih lō͘
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台湾高速鉄道(たいわんこうそくてつどう)は台湾台北高雄とを結ぶ高速鉄道。略称は台湾高鐡高鐡THSRTaiwan High Speed Rail)。

目次

[編集] 概要

台北市台北駅から高雄市左営までの345kmを最高速度300km/h、ノンストップ便では所要時間約1時間30分で結ぶ高速鉄道である。同区間は、最速の在来線特急自強号で所要時間3時間59分を要していた(2007年1月開業当時)。総事業費は4,806億台湾ドル(約1兆8千億円)。日本として新幹線の車両技術を輸出・現地導入した初めての事例である。

当初の開業は2007年1月5日板橋 - 左営間で行われた。もともとの開業予定は2005年10月であったが、饋電工程を巡る欧州理事の介入、韓国ゼネコン(現代建設)の手抜き工事の露見[1]、日欧混合としたシステムの混乱などが工期の遅れや相次ぐトラブルを招き、2006年10月31日に延期された。その後も最終審査の遅れから12月7日に、更に直前の11月29日になって安全上の理由により急遽2007年1月へ再三に渡り延期された。

車輌など日本の新幹線技術(JR東海JR西日本共同)を投入したため、日本のみならず台湾においても「台湾新幹線」と呼ばれることもある。日本の新幹線とシステムは一部異なるが、全体的には一般利用者にとって最大の接点である車両自体が700系の改良型となる700T型である点を中心として、日本の新幹線とほとんど同じに見える(後述の「特徴」を参照)といえる。

2007年1月5日現地時間7時、板橋駅からそれぞれ1番列車が出発し仮営業運転開始。半額運賃の仮営業運転は当初1月14日までとされたが1月31日まで延長された。同年3月2日には台北駅までの正式開業となった。

2011年に中国で発生した温州市鉄道衝突脱線事故に際しては、「日本と同じシステムを採用したので、あのような事故はありえない」と発表されており、新幹線の技術を採用したことの意義を強調した[2]

[編集] 特徴

台灣交通系列
台湾の交通関連項目

交通部
 公路総局
 電信総局
 民用航空局
 国道高速公路局
 台湾鉄路管理局

道路
鉄道
海運
航空

国道(高速道路)
省道県道郷道
港湾
空港

中華郵政

台湾の交通史

台湾のバス交通
台湾高速鉄道
捷運
台鉄捷運化

関係法令:
郵政法中華郵政条例
公路法
鉄路法大衆捷運法
航業法
海商法船舶法
商港法漁港法
民用航空法

関連項目:
台湾糖業鉄道
国光汽車客運
台湾鉄路貨運
台湾バス事業者一覧

その他台湾関係記事

文化 - 経済 - 地理
政治 - 教育 - 軍事
人口 - 言語 - 歴史

決められた開業予定にあわせるため車両方式決定に先立ち、土木構造物などを先行して着手、また後述の経緯により当初は欧州システムを基準に進められたため、分岐器はドイツ製、列車無線はフランス製、車輌などは日本製という、日欧混在システムとなっている。

新幹線との差異は、

  • 自動列車制御装置(デジタルATC)は、単線双方向運転に対応
  • 軌道最小曲線半径は6,250m(新幹線:4,000m[3]
  • 分岐システムはドイツ製(38番分岐器を多用)
  • 軌道はほぼ全線でJR式スラブ軌道を採用(但し分岐器周辺はドイツ製Rheda2000スラブが使用されている)
  • 軌道中心間隔は4,500mm(新幹線:4,300mm[4]
  • トンネル断面積は90m²(新幹線:64m²)
  • 最急勾配は35(新幹線:15‰[5]

なお営業形態の違いとして、BOT方式 (Build-Operate-Transfer) を採用していることが挙げられる。すなわち民間事業者が自ら資金を調達して施設を建設 (Build) し、一定期間管理・運営 (Operate) を行い資金を回収した後、将来的には公共に施設を移管 (Transfer) する計画になっている。日本と同様に国家的事業ながら資金調達の方法や運営の流れが異なる。

[編集] 経緯

契約獲得にあたって、フランスドイツによる欧州連合と組む台湾高鉄と、日本連合と組む中華高鉄とが競合したが、プッシュプル方式を提示した欧州連合の方がコストが安価であったこと、台湾側も対中関係を重視するクリントン政権下で戦闘機などが購入出来なかったため代わりにフランスから購入せざるをえず、フランスとの繋がりを維持する必要があったことなどから、台湾高鉄は契約を獲得し、軌道と機関車はドイツ製、客車はフランス製で設計が進められていた。

しかしアメリカF-16戦闘機の売却に同意したこと、ICEが死者約101名・負傷者約80名という脱線事故エシェデ事故)を起こしたこと、1999年9月21日台湾大地震が発生したが、欧州方式は地震に対する防御策が十分ではなかったことなどから、日本側が盛り返し始める。最終的に台湾政府は、台湾高鉄の協力先を早期地震検知警報装置(ユレダス)を導入していた日本連合に切り替えることに決定、最終的に車輌は日本、配電・制御は欧州、土木工事は国際入札という玉虫色の決着に終わった。このため欧州連合は、台湾高鉄に違約金を請求した。

事態が紛糾したのは、欧州と日本を推すグループが、それぞれ政治家と結びついた結果、民進党国民党の政争が鉄道の場に持ち込まれたのが一因とされる。大まかに言えば民進党は日本と、国民党は欧州と結びつきが強く、契約成立時には国民党が与党であり、日本が契約に成功した時は民進党が与党であった。台湾では鉄道建設は政治と強く結びついており、技術力の優劣だけでは契約できない事情がある。

以上の経緯にもかかわらず、欧州連合のコンサルティング契約、および、欧州連合が作成した仕様書はそのままであった。このことはスケジュールのみならず、全体的な足かせとなっている部分が否めないとの評価が日本の高速鉄道専門家からも出ている(事実、自動券売機はフランス製であったが、開業当日にトラブルを起こすなどの問題を起こしている)。また、試運転列車の運転士として、JR西日本出身の元新幹線運転士5名が起用され、営業運転での運転技術指導も当初はJR東海が行う予定だったが、JR東海は日欧混在システムを理由に指導責任が持てないと通告。これでは開業時に運転士が不足すると判断した台湾高鉄公司は、妥協策として、高速鉄道の運転経験が豊富なフランスTGVドイツICE出身者38名を運転士に起用し、台湾人運転手に対する運転技術指導も彼らが行うという体制が採られた。

また、地下線路の台北 - 板橋間のトンネル工事も遅れ、2007年1月5日の開業に間に合わなかった。それ以外の中間駅についても、多くは中心市街地から離れたところに立地しているにもかかわらず、乗り換え交通手段の整備や営業準備が遅れている箇所がある。

[編集] 年表

[編集] 車輌

  • 増備車
    • 当初は700T型を2008年と2010年に8編成ずつ、2018年に5編成の増備が予定されていたが、開業が遅れたことにより、この日程もずれている。
    • 2008年11月20日、台湾高鐵は3年後の2011年以降に新型車両の投入[6]を表明した。運行本数と輸送人員の増加傾向から予備編成の確保とさらなるサービス向上を狙ったものとしているが、内装については台湾メーカーの参入も匂わせるなど、若干の変更があるとみられる。

[編集] 駅一覧

  • 現在施設が未供用または未完成の駅(南港・苗栗・彰化・雲林・高雄の各駅)は、背景色を灰色で示した。
駅名 中国語駅名
正体字
英語駅名 駅間
距離
(km)
累計
営業距離
(km)
接続路線 駅から
市中心部までの
所要時間
所在地
南港駅 [* 1] 南港車站 Nangang -3.270
[* 2]
9.174 台湾鉄路管理局:縦貫線
台北捷運:南港線
  台北市 南港区
台北駅 [* 3] 台北車站 Taipei 5.904
[* 2]
0.0 台湾鉄路管理局:縦貫線
台北捷運:淡水線・南港線
桃園機場捷運
0分 中正区
板橋駅 [* 3] 板橋車站 Banciao 7.216 7.216 台湾鉄路管理局:縦貫線
台北捷運:板橋線・環状線
0分 新北市 板橋区
桃園駅 [* 3] 桃園車站 Taoyuan 29.165 36.381 桃園捷運藍線 台鉄桃園駅 バスで約30分
台鉄中壢駅 バスで約20分
桃園県
新竹駅 新竹車站 Hsinchu 29.894 66.275 台湾鉄路管理局:六家線六家駅 台鉄新竹駅 区間車で約15分 新竹県 竹北市
苗栗駅 [* 4] 苗栗車站 Miaoli 32.686 98.961 台湾鉄路管理局:台中線(山線)豊富駅   苗栗県 後龍鎮
台中駅 台中車站 Taichung 60.868 159.829 台湾鉄路管理局:縦貫線(新烏日駅
台中捷運烏日文心北屯線
台鉄台中駅 区間車で約10分
台鉄彰化駅 区間車で約10分
台中市 烏日区
彰化駅 [* 4] 彰化車站 Changhua 28.153 187.982 台湾鉄路管理局:縦貫線(新田中駅)開業予定   彰化県 田中鎮
雲林駅 [* 4] 雲林車站 Yunlin 24.594 212.576     雲林県 虎尾鎮
嘉義駅 嘉義車站 Chiayi 33.104 245.680 嘉義BRT 台鉄嘉義駅 BRTで約30分 嘉義県 太保市
台南駅 台南車站 Tainan 62.276 307.956 台湾鉄路管理局:沙崙線(沙崙駅) 台鉄台南駅 区間車で21分
台南市 帰仁区
左営駅 左營車站 Zuoying 31.328 339.284 台湾鉄路管理局:縦貫線(新左営駅)
高雄捷運:紅線(左営駅)
高雄駅 捷運で約9分 高雄市 左営区
高雄駅 [* 5] 高雄車站 Kaohsiung     台湾鉄路管理局:縦貫線・屏東線
高雄捷運:紅線・臨港軽軌
  三民区
  1. ^ 南港駅は2012年度開業予定。
  2. ^ a b 台北駅東方の松山地区にある地下トンネル出口を起点としているため。
  3. ^ a b c 台北駅、板橋駅、桃園駅は地下駅。
  4. ^ a b c 苗栗駅、彰化駅、雲林駅は将来駅(待避線・安全側線のみでプラットホーム設備はなし)。2014年度開業予定。
  5. ^ 高雄駅は開業日未定。
台湾高速鉄道全駅配線図

[編集] 営業

[編集] 運行形態

現段階では列車の愛称はなく数字のみである。

  • 2007年
    開業当初、及び台北駅の正式開業時における運行本数は台北・板橋 - 左営間で1日17往復、加えて台北・板橋 - 台中間の区間運転が2往復だった。本来の計画では1日88往復の予定であったが、運転士を含む乗務員の育成が遅れているための措置として計画より減らして運行を開始することになった。開業時の運転士は全員がフランス人であった。
    台北駅正式開業時点での台北 - 左営間の所要時間は100分(途中板橋・台中のみ停車、1日3本)と130分(各駅停車、1時間間隔の運行)、運賃は1,490台湾ドル(普通車)と2,440台湾ドル(ビジネス車)だった(全車指定席)。運行時間は6時50分(台北発の左営行) - 22時40分(左営からの台北着)。
  • 2008年
    曜日別ダイヤを導入。
    2008年3月現在の運行本数は、金曜・月曜は60往復、平日火曜-木曜は57往復、週末は63往復である(台北 - 台中間の区間運転を含む)。
    台北 - 左営間の所要時間は96分(途中板橋・台中のみ停車、ほぼ毎時2本運行)と108分(桃園・新竹通過もしくは嘉義・台南通過の直達快車、1日数本運行)、120分(各駅停車、ほぼ毎時2本運行)。
    月曜日から木曜日までの運賃は1,190台湾ドル(普通車指定席)と1,560台湾ドル(ビジネス車)及び1,070台湾ドル(自由席)、週末・祝日・連休前日の運賃は1,490台湾ドル(指定席)と1,950台湾ドル(ビジネス車)及び1,340台湾ドル(自由席)である(2008年3月31日より適用)。運行時間は6時30分(台北発の左営行) - 23時30分(左営からの台北着)。
  • 2009年
    2008年12月改正後のダイヤは、金曜・月曜は67往復、平日火曜-木曜は65往復、週末71往復である(台北 - 台中間・左營 - 台中間の区間運転を含む)。
    年初に経営危機や不況の影響で固定費を削減するために減便措置が取られたが、半年ほどで底打ち状態から回復しつつある。
    「双色割引」導入により、ピーク時間帯は割引なし、閑散時は列車・曜日により15%割引の1265台湾ドル、もしくは35%割引の965台湾ドル(普通車指定席)となる。自由席は終日一律7%割引の1385元、ビジネス車(JRのグリーン車相当)は終日一律20%割引の1950台湾ドルとなっている。
  • 2010年
    国内経済や自社の経営が回復傾向にあり、前年度の減便体制から徐々に増発が重ねられている。年初改正後のダイヤは、月曜59往復、火曜58往復、金曜68.5往復、土曜66.5往復、休日71.5往復である。
    7月改正以降、IC乗車券導入に伴い「双色割引」は廃止、自由席料金に回数券と定期券が設定されている。
    台北-左營間の料金は自由席(普通乗車券)で終日3%割引の1445台湾ドル、8回分の自由席IC回数券で10055台湾ドル(1回あたり約1256元)、30日間の自由席IC定期券で42480台湾ドル(1日1片道あたり708台湾ドル)、指定席は暫定措置として夏季以降指定便のみ1割引を継続、ビジネス車は引き続き一律20%割引の1950台湾ドルとなっている。
  • 2011年
    週単位での定期列車運行本数は915本を維持したまま、多客期の増便が積極的に行われた。
    1月から普通車指定席向けに「早鳥割引」と称した事前購入割引を導入し、15日前までの購入で3割引、8日前までの購入で1割引となっている。1列車あたりの割当数や、時間帯・曜日により対象外の便もあるが、割引率縮小となった自由席より安くなるケースもある。
    接続する台鐡路線の開通によるアクセス改善や、数々の営業施策により、上半期で黒字を計上。年間利用客数も前年比12.7%増と力強い成長をみせた。
    繁忙期に停車駅を「台北-板橋-台中-台南-左営」に絞った直達快車(列車番号は1300番台)の運行がなされた。
    スマートフォン(iOS、Android)での予約・乗車ができるサービス「台灣高鐵 T Express 」(1人用、普通車指定席のみ)や、悠遊カードの一種で記名式ポストペイの「悠遊聯名カード」による自由席乗車サービスが秋以降順次始まるなど、利便性を向上させている。
    車内での弁当販売を廃止(パン類の軽食に置き換え)し、代わりに駅構内には台湾鐡路局のキオスク「臺鐵便當(台鉄弁当)」を展開させている。

[編集] 運行本数の推移

ダイヤ改正日 1日の
最大運行本数
(上下計)
1週間の
運行本数
(上下計)
曜日ごとの運転本数
火・水・木 日・祝
2007年1月5日 38   266   - - - - -
2007年3月31日 50   350   - - - - -
2007年6月1日 62   434   - - - - -
2007年7月27日 74 [7] 518   - - - - -
2007年9月14日 91 [8] 637   - - - - -
2007年11月9日 113 [9] 791   - - - - -
2008年1月18日 126 [10] 834   120 114 120 126 126
2008年5月16日 127   836   120 114 121 126 127
2008年7月4日 140 [11] 928   132 128 132 140 140
2008年12月1日 142 [12] 942   134 130 134 142 142
2009年3月16日 134 [13] 816   106 106 128 130 134
2009年7月1日 137 [14] 863   116 116 132 130 137
2010年1月8日 143 [15] 879   118 116 137 133 143
2010年7月1日 146 [16] 892   120 118 137 135 146
2010年7月12日 146 [17] 907 [18] 123 121 140 135 146
2010年10月1日 146   915 [19] 127 125 144 139 146

[編集] 号数(車次)の振り方

基本は下りは奇数・上りは偶数の3桁で100番台と200番台は板橋・台中停車の最速達列車、300番台は板橋-台中間通過運転、399号は板橋・新竹通過運転、600番台と700番台は各駅停車、500番台は台北-台中・左營-台中区間運転の各駅停車となっている。 曜日限定の準定期列車は4桁となり、1***となる。季節・臨時列車は2***と上1桁に2が付加される。なお、下3桁は定期列車同様停車パターンに準じる。

[編集] 停車駅パターン

[編集] 2010年9月現在

種別 番台 始発駅 台北 板橋 桃園 新竹 台中 嘉義 台南 左営 終着駅
直達車 100-299 台北 - - - - 左営
直達快車 300番台 台北 - - 左営
399 台北 - - 左営
各駅停車 600-799 台北 左営
区間車 500-549 台北 台中
550-599 台中 左営

● : 停車、■ : 一部の列車が通過、- :通過、▼ : この駅のうち1駅に停車、▲ : この駅のうち0 - 1駅に停車、◆ : 臨時列車

[編集] 2007年1月(仮営業開始)当時

種別 番台 始発駅 台北 板橋 桃園 新竹 台中 嘉義 台南 左営 終着駅
直達車 100-199 板橋 - - - - 左営
各駅停車 400-499 板橋 左営
区間車 500-599 板橋 台中

● : 停車、■ : 一部の列車が通過、- :通過、▼ : この駅のうち1駅に停車、▲ : この駅のうち0 - 1駅に停車、◆ : 臨時列車

[編集] 自由席

台湾では自由座と称され、10-12号車に設定されている(一部列車は9号車を含め4両)。開業当初は全車指定席(対号座)であったが、料金面でのテコ入れを兼ねて2007年11月より導入。当初は10-12号車の3両だったが、その後乗客の急増により9号車も自由席化された。料金面の効果もあり、その後も需要は旺盛で、始発駅から満席に近い列車が多い。2008年4月現在で高鐵公司内部では自由席の5両化も検討していたという。しかし、割引運賃の拡大とともに(列車によっては、指定席のほうが安くなっている)、2009年夏季ダイヤより2両に減車され、金-日曜日は全車指定席になった。2010年7月1日のダイヤ改正より、回数券と定期券が設定されたため、再び元の3両に戻された(2010年7月以降、朝ラッシュ時のみ一部4両)。各車両端部の前後1列は優先席博愛座)となっている。

片道・往復とも指定当日有効で、乗車駅改札入場時から3時間30分が有効期間となる。2008年の旧正月期間は全車指定席に戻された。

混雑時には車内検札ができておらず、キセル行為が発覚したときはメディアで大きく報道された。 また、2008年の清明節輸送では、あまりの混雑に車掌判断で7-8号車も自由席として開放され、指定席客の顰蹙を買った。

  • 標準車(普通車)全車自由席
    2007年11月までの全車指定席の制度下では、台風による運休・遅延時に限り、当日有効のチケット所持者を対象として指定列車の指定車両以外への乗車を認めていた。
    2008年3月以降、総統選挙に伴う帰省ラッシュで初めて標準車全車自由席の臨時列車が設定された。清明節期間中の4月6日には該当する3本の列車で通路・デッキにまで立ち客が溢れて乗車率150%を記録し、急遽台中駅始発の臨時を増発するなど、一定の効果をみせた。また、その後も沿線でのイベントや、混雑がみられる時間帯に臨時列車として随時設定されている。

[編集] 収益

累積赤字は2009年6月末で資本金の66%に当たる702億台湾元(約1,950億円)[20]。 2007年度の営業赤字が294億元と振るわなかったが、これは主に開業前からの資金調達に苦しんだ結果としての利払い負担や莫大な減価償却費計上によるものであった。2008年の営業赤字は約250億台湾元。損益分岐点は乗客数が1日平均約8万2,000人で、2年目でようやく平日でもこの水準に届くようになった。単月度ではあるが2008年3月に収支均衡、同4月に黒字転換を果たしている。しかし、利用者数は計画の半分以下の1日約8万人にとどまり[20]、出資者のリーマン・ブラザーズ(香港法人)が破綻するなど、金融危機の影響で利息軽減案や増資案が進展せず、累積赤字が資本金(約1,050億台湾元)の6割を超えるようになった。経営難に陥った台湾高速鉄道は、開業1年半にして、政府の管理下に置かれて再建されることとなった[20]

結局2010年1月8日、金融機関との協議が決着し、3,863億元の低利借り換えが成立[21]。ひとまずこの危機は収束することとなった。

2011年上半期の連結決算で初めて黒字を達成した。[22](半期単位では実質的に2010年下半期から)


年度別の運輸収入は以下のとおりである。

  • 2007年:139億元
  • 2008年:230億元
  • 2009年:233億元
  • 2010年:276億元
  • 2011年:322億元[23]

[編集] 利用実態

年間利用客数

  • 2007年:1,555万人
  • 2008年:3,058万人
  • 2009年:3,234万人
  • 2010年:3,694万人
  • 2011年:4,163万人

累積利用客数

  • 2007年5月28日:500万人(144日目)
  • 2007年9月18日:1,000万人(257日目)
  • 2007年12月21日:1,500万人(351日目)
  • 2008年3月7日:2,000万人(428日目)
  • 2008年7月5日:3,000万人(548日目)
  • 2008年10月23日:4,000万人(658日目)
  • 2009年2月13日:5,000万人(771日目)
  • 2010年8月3日:1億人(1,307日目)
  • 2011年12月5日:1億5,000万人(1,796日目)

[編集] 営業上の競合など

[編集] 航空便との競合

2000年前後の台北-高雄間の航空路線は、4社(遠東(ファー・イースタン)航空華信航空(マンダリン・エアー)立榮航空(ユニ・エアー)復興航空(トランスアジア航空)で1日50往復程度、年間800万人以上(2都市間の利用客数では東京-札幌、東京-福岡に次ぐ)の輸送実績があったが、台湾高速鉄道の開業を控え、徐々に減便していた。

高鐵開業後の2008年5月に国内線大手の遠東航空が経営破綻するなど、最も影響を受けた国内の交通機関である。最近では高速バス同様、割引運賃を値上げする事業者が出ている。

  • 台北-高雄線
    高鐵開業前年の2006年は台北-高雄線は265万1120人の輸送実績があった[24]
    高鐵が開業すると、4社計24往復体制で高鐵との集客戦が始まった。一時は4社の共通シャトル運賃を設定したり(後に廃止)、割引運賃を高鐵のスタンダード・クラス(普通車指定席)とほぼ同額に設定(普通運賃で2200元前後を1400元前後)したにもかかわらず、原油高もあって減少傾向は止まらず、8月までで搭乗率40%台にまで落ち込んだ。
    秋からは最安で1,090元まで値下げし、搭乗率をほぼ90%に回復させた社もあり、高鐵側の成長を一時的にでも止めることに成功したが、終始高鐵の利便性に押され気味であった(ただし、定員200人以下の小型機主体のため、日本における大型旅客機と新幹線の競合とは単純に比較できるものではない)。
    結局、2007年の実績は133万5717人とほぼ半減した。2008年3月1日に4社のうち、2往復を運航していた立榮航空が撤退。
    同年7月1日、復興航空が国際線扱いの経由便(澳門-高雄-台北線)を残して撤退。
    2008年夏以降、華信航空が減便を繰り返しながらも、週3往復運航していたが、2009年6月からは週5往復に増便された(現在は毎日1往復に増便)。
    2010年5月1日、復興航空が毎日1往復で再参入、現在に至る。
  • 台北-台南線
    前年度の106万1387人から51万1670人と半減。2008年3月1日に1往復を運航していた遠東航空が撤退。
    同年8月1日、復興航空の撤退で路線が消滅。
  • 台北-嘉義線
    2007年8月16日に唯一運航していた立榮航空が撤退したため路線が消滅。
  • 台北-台中線
    2007年4月29日に台北-台中線(華信航空)が撤退し、この区間の空路は消滅。
    最盛期には2社で19往復体制だったが、2006年末で1日2往復に過ぎず、搭乗率も2割以下だった。
  • その他西海岸線
    台北 - 恆春屏東線では開業直後の2007年3月1日で復興航空が廃止、現在は立榮航空のみが運航している。

[編集] 在来線(台鐵・台湾鐵路局)との競合

高鐵が民営なのに対し、台鐵は国営なので、当然並行路線で競合がある。台鐵の西部幹線(台北 - 台中 - 高雄)ではほぼ全面的に競合するが、台鐵側はむしろ高速バスの脅威に晒されていた。

自強号で台北-高雄が4時間 - 4時間半、台北-台中では2時間強と所要時間では長距離になるほど不利であるが、高鐵側が元々市街地から離れた駅が多く、開業遅れ及びやや高めの料金設定で臨んだこともあり、台鐵側から高鐵側への転移は予想を下回っていた。料金面では台北-高雄(左営)では845元の自強号に対し、高鐵は1,490元(普通車指定席)。

しかし、2007年11月に高鐵側が自由席を設定し、同時に2割引の販促を展開すると、料金が高鐵側が自強号より安くなる区間が発生(台北-新竹など)し、数度にわたる高鐵の増発もあって、高雄駅では売上減がそれまでの7%から16%に拡大。

2007年の実績は輸送人員・旅客収入ともに増加を確保したものの、高鐵開業を見据えて展開していた捷運化が功を奏したとの見方が強く、実際に200km以上での長距離輸送分野ではマイナス成長となった。

2008年になると、春節期間に東部幹線で活躍中の太魯閣号を西部幹線の台中・彰化・員林まで達する臨時列車を2往復設定するなどで応戦した。この列車は台北-台中を90分台で結んだため、新烏日駅経由で高鐵の各駅停車と乗り継ぐよりも速いケースがあり、台北-員林間でも6割以上の乗車率を記録するなど、健闘をみせた。しかし、帰省シーズンの西部幹線全体の輸送量は高鐵側が1年前より約3倍に増発したこともあり、4%ほど減少した。

2月25日からは彰化-花蓮の太魯閣号を好評につき定期列車化(後日、員林まで延伸)したが、1日1往復にすぎず、高鐵との本格的な競合とは言いがたい。 5月15日のダイヤ改正では、2次車の投入により、太魯閣号の本数がほぼ倍増され、西部幹線でも彰化 - 基隆間運転の列車が新設されたが、主力の自強号は途中停車駅を増やしたことで、所要時間が大幅に増加した。

2009年6月、台北-高雄間を845元から599元、台北・松山-台中・彰化間を375元から299元(限定便のみ)にした割引を開始。

[編集] 国道客運(高速バス)との競合

高速バスは台北-高雄で5時間、500 - 600元程度。 国光汽車客運統聯客運和欣客運阿羅哈客運などの大手4社以外にも中小事業者の運行も多い。 事業者によっては24時間運行もなされている。 西海岸に2本の高速道路があり、大都市間だけでなく中小都市も高頻度かつドア・ツー・ドアで結び、また料金格差もあり、高鐵開業後もしばらくは影響を受けずにいた。むしろ同業者同士の競争が熾烈である。しかし自由席設定後に台鐵と同様、長距離便で最大3割減となる運行事業者もあった。また、ここ最近の原油高にも関わらず、一部では台北-台中が100元台、台北-台南が200元台、台北-高雄が300元台を打ち出すなど、価格破壊が熾烈を極めている。

[編集] トラブル・課題

  • 台北駅の配線構造上、最小運行時隔を6分以下にすることが不可能なため、発着本数の容量が上下線合計で1時間あたり10本までになっている。これを解決するには南港(汐止)駅までの延伸、もしくは既に繋がっている台北駅東側の復興北路までの間に引き上げ線が必要だが、台鐵の松山機廠(整備工場)と本線(西部幹線)を結ぶ引き込み線が高鐵の複線線路と平面交差するため、この箇所の工事がストップしていた[25]。しかし、ようやく2012年6月に台鐵の松山機廠が移転・明け渡される見通しとなり、高鐵大増発の前提となる南港駅延伸に向け大きく前進する事となった[26]
  • 乗り心地に対する酷評(台中以南の揺れが問題視されている。上述した手抜き工事の区間に該当。)[27]
  • 開業の前から頻発した脱線事故(所定と異なる線路に進入するのを防ぐための脱線装置が働いたもので、本線走行中の脱線ではない。)
  • 市街地から離れた駅が多い。特に台南の場合、台南市中心部からは高鐵駅より台南空港のほうが近いという有様。
  • 洗車機が日本製ではなく、一部箇所で手洗いを要するため、車両の汚れが目立つ[28]
  • 分岐器の故障が多い[29]
  • 自動改札機が乗客の流動を悪化させる(挿入方向が決まっており、かつ裏向きに入れなければならない。日本製の場合は、札幌市営地下鉄(裏向きを拒絶する)など一部事業者を除き裏表・向きは関係ない。


以上のトラブル・課題があり、今後の動向が注目される。

[編集] 参考文献

  • 齋藤雅男 『高速鉄路 建設のあゆみ Ilha Formosa 麗しき島―台湾』、鉄道ジャーナル(連載)、鉄道ジャーナル社

[編集] 脚注

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  1. ^ (中国語)親民黨立委批高鐵苗栗段施工不良
  2. ^ 「うちは日本製ですから」台湾新幹線、安全性を強調, 朝日新聞, (2011-07-25), http://www.asahi.com/international/update/0725/TKY201107250623.html 2011年9月24日閲覧。 
  3. ^ 東海道新幹線のみ最小曲線半径は2,500m(大都市駅近辺(新橋駅周辺など)では最小400mの曲線あり)。台北 - 板橋間の地下線除く、地下線では最小曲線半径310m
  4. ^ 東海道新幹線のみ軌道中心間隔は4,200mm
  5. ^ 現在は九州新幹線などに見られる様にブレーキ装置等の条件付きで35‰まで許容
  6. ^ 台湾新幹線が来年にはさらなる増便と新車両の発注を予定
  7. ^ (中国語) 台灣高鐵7月27日起增班為每日單向37班並延長售票時間。”. THSRC. (11 July 2007). http://www.thsrc.com.tw/tw/about/news/news_content.asp?id=144 2007年7月13日閲覧。 
  8. ^ (中国語) 台灣高鐵自9月14日起進行增班:北上46班、南下45班之詳細資訊”. THSRC. (3 September 2007). http://www.thsrc.com.tw/tw/about/news/news_content.asp?id=164 2007年10月30日閲覧。 
  9. ^ (中国語) 台灣高鐵11月9日起增班至雙向113班,提供旅客更多元、便捷的行程選擇。”. THSRC. (31 October 2007). http://www.thsrc.com.tw/tw/about/news/news_content.asp?id=186 2008年9月6日閲覧。 
  10. ^ (中国語) 台灣高鐵公司2008年1月18日起將再度增班,並配合尖峰日、離峰日之不同旅運需求,首度訂定彈性化時刻表,提供旅客更密集、多元的高速鐵路運輸服務。”. THSRC. (27 December 2007). http://www.thsrc.com.tw/tw/about/news/news_content.asp?id=207 2008年9月6日閲覧。 
  11. ^ “THSRC to increase service; revenues lag”. The China Post. (31 May 2008). http://www.chinapost.com.tw/taiwan/%20business/2008/05/31/158867/THSRC%2Dto.htm 2008年9月6日閲覧。 
  12. ^ (中国語) 台灣高鐵12月1日起每天增開2班次”. THSRC. (28 November 2008). http://www.thsrc.com.tw/tw/about/news/news_content.asp?id=352 2008年12月7日閲覧。 
  13. ^ (中国語) 高鐵16日起調整營運班表 平日全面擴大優惠”. THSRC. (12 March 2009). http://www.thsrc.com.tw/tw/about/news/news_content.asp?id=389 2009年3月15日閲覧。 
  14. ^ (中国語) 高鐵暑期疏運計畫明(7月1日)正式展開,並推出標準車廂對號座「4人同行 1人免費」及商務車廂「玩樂高鐵 精選假期」優惠。”. THSRC. (30 June 2009). http://www.thsrc.com.tw/tc/about/ab_news_detail.asp?type=1&PKey={4AA9C47D-EC4A-4E9B-94DE-9C060C7B7DE6} 2009年9月7日閲覧。 
    (中国語) 台灣高鐵9月1日起,將繼續沿用現行暑期疏運班表,每週提供863班次列車,其中701班次適用藍橘雙色優惠,優惠車次比例81.2%。”. THSRC. (25 August 2009). http://www.thsrc.com.tw/tc/about/ab_news_detail.asp?type=1&PKey={6086B2EE-7043-4543-8060-49E63A13FEE2} 2009年9月7日閲覧。 
  15. ^ (中国語) 旅運持續成長,台灣高鐵週五至週一增班”. THSRC. (31 December 2009). http://www.thsrc.com.tw/tc/about/ab_news_detail.asp?type=1&PKey={3620F20B-B62B-49B0-864A-EA7667AE71E1} 2010年1月3日閲覧。 
  16. ^ [15] (PDF)
    (中国語) 高鐵營運服務新制 7月1日正式啟用 夏日暑期優惠同步實施”. THSRC. (30 June 2010). http://www.thsrc.com.tw/tc/about/ab_news_detail.asp?type=1&PKey={4B1FC897-085A-4F20-AD84-55B173E96048} 2010年8月5日閲覧。 
  17. ^ [16] (PDF)
  18. ^ (中国語) 高鐵7月12日至9月30日,週一至週五 每天加開3班列車”. THSRC. (8 July 2010). http://www.thsrc.com.tw/tc/about/ab_news_detail.asp?type=1&PKey={EC981012-4326-4D9C-9679-E0190375FEDA} 2010年8月5日閲覧。 
  19. ^ (中国語) 高鐵10/1起增班 502車次9/20起增加自由座車廂”. THSRC. (15 September 2010). http://www.thsrc.com.tw/tc/about/ab_news_detail.asp?type=1&PKey={DA554CC4-6FB5-4193-A683-B38CA4E6A496} 2010年9月15日閲覧。 
  20. ^ a b c 大谷麻由美 「台湾新幹線 政府管理下で再建--開業1年半 累積赤字2000億円」 毎日新聞、2009年10月16日付朝刊、8面。
  21. ^ (中国語)高鐵新聯貸 添變數
  22. ^ 台湾高速鉄道に 初めての黒字
  23. ^ 【公告】台灣高鐵 2011年12月營收27.579億元 年增6.03%
  24. ^ (中国語)高鐵效應擴大 國內航線何時止血未知數
  25. ^ (中国語)高鐵局:南港專案不是關鍵,汐止基地兩年多未開工,才是問題
  26. ^ (中国語)台鐵台北機廠1年搬遷完成
  27. ^ 台湾ニュース局の報道
  28. ^ (中国語)混血洗車機失效 高鐵改人工洗車
  29. ^ (中国語)高鐵史上最大誤點 馬英九受害 機器異常+停電 延誤近一小時

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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