台北捷運淡水線

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淡水線
高架区間を走る淡水線列車 (路線カラーは行先表示灯の下線の色で表される)
高架区間を走る淡水線列車
(路線カラーは行先表示灯の下線の色で表される)
基本情報
路線網 台北捷運
起点 淡水駅
終点 中正紀念堂駅
駅数 21駅
開業 1997年3月28日
運営者 台北捷運公司
路線諸元
路線距離 23.2 km
軌間 1,435 mm
線路数 複線
電化方式 直流750V 第三軌条方式
最高速度 80 km/h
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淡水線
各種表記
繁体字 淡水線
簡体字 淡水线
拼音 Dànshuǐ Xiàn
通用拼音 Dànshuěi Siàn
注音符号 ㄉㄢˋ ㄕㄨㄟˇ ㄒㄧㄢˋ
発音: タンシュェイシェン
台湾語白話字 Tām chúi sòaⁿ
英文 Tamsui Line
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淡水線(たんすいせん)は、台湾台北市中心部(中正区)から同市北部を縦断し、新北市淡水区へと至る台北捷運路線信義線と直通運転を行っていることから淡水信義線と総称される。

概要[編集]

台北市北部の慢性的な交通渋滞・排気ガスによる環境汚染を改善するために台湾鉄路管理局淡水線を置換する形で設置された路線である。当初は新交通システムが導入される予定だったが、先に開通した文山線で、輸送力不足などの問題が発生したため通常の鉄道方式に変更され、1997年に開通した。

路線の全長は 22.8 km。かつて終点の中正紀念堂からは新店線直通運転を行っており、信義線の開通後は一部の列車が信義線へ直通運転を行っていた。計画では信義線開通と同時に新店線への乗り入れを全面的に中止する予定であったが、今まで乗り換えなしで行けた台北駅周辺へ向かうのに途中駅で乗り換えを強いられることになる新店線沿線住民からの不満が大きく、信義線開通後も新店線直通系統は維持されたが[1]、 2014年11月15日の松山線開業に伴い新店線との直通運転を取りやめ、全ての列車が信義線に直通運転している。

北投駅にて新北投駅へ向かう新北投支線へ分岐するが、直通運転は行われていない。

路線データ[編集]

運転[編集]

全ての列車が信義線との直通運転を実施している。2013年11月現在、運行時間は6:00から24:30頃までで、淡水駅 - 中正紀念堂駅 - 信義線象山駅間の列車と、北投駅 - 中正紀念堂駅 - 信義線大安駅間の列車が、全て各駅停車で運転されている。北投駅以南は概ね4~5分間隔(平日のラッシュ時は3分間隔)で、23:00以降は運転本数が漸減する。全ての駅のホーム上と改札周辺に、行先別に次の列車到着までの残り時間を刻々と示す案内表示が設けられている。

設備[編集]

淡水線の第三軌条

民権西路駅以南は地下駅、円山駅以北は地上または高架駅である。右側通行(台鉄台湾高速鉄道は左側通行)・標準軌(軌間1435mm)・第三軌条方式(直流 750 V)・ワンマン運転など、主にアメリカ合衆国地下鉄を模した形の鉄道である。

各駅でホームゲートの設置や、車椅子に対応したバリアフリー化が進められている。改札内には一部に新聞自動販売機がある以外、売店や飲料などの自動販売機は無い。駅構内や列車内での飲食は法令により禁じられており、違反者は罰金の対象となる。携帯電話の電波はトンネル内を走行中の列車からも十分通話が可能なように中継されているが、「通話は小声で行ってください(輕聲細語と書かれている)」との案内が行われている。

改札内の施設に於ける企業の宣伝広告は、キャンペーンなどに伴って排除され、台北捷運の広告または公共広告のみとなることがある。

車両[編集]

C301型C381型が、全て6両編成で運行されている。1両の長さが 23.5 m、車両幅は 3.2 m、一編成の乗車定員は1,914名あるため、列車長は日本のJR在来線の通勤型電車のほぼ7両分、乗車定員では12両分以上に相当する。

車両基地復興崗駅付近の沿線に北投機廠中国語版が設けられている。

歴史[編集]

2001年の台風水没被害[編集]

表記の日時は全て現地時間(UTC+8)。全線地上高架の木柵線(現・文山線)を除く高運量規格の各路線は地下を通過する都心部で軒並み被災、復旧には1ヶ月を要した[3](p125)

当日まで[編集]

  • 9月15日 - 12:00に捷運公司は台北駅にある交九の運行管制室内に対策本部(災害應變中心)を設置[3](p122)
  • 9月16日 - 22:00に昆陽駅から本部への「南港地区の道路冠水が甚大」報告により昆陽駅で止水板稼働、留置列車の北投機廠中国語版および新店機廠中国語版への避難を決定[3](p122)
  • 9月17日[3](pp122-124)
    • 4:50 - 南港線後山碑駅ホームで浸水が始まり、5:55には軌道面が冠水も捷運公司は市政府駅以西と淡水線を含む他路線全線での始発からの運行を決定。
    • 6:00 - 南港機廠から昆陽・後山碑2駅への水の流入止まらず。市政府駅以西と他路線全線での始発からの運行を開始。
    • 8:00 - 木柵線以外の高運量全路線で運休を決定。
    • 8:53 - 台北駅5号出口から地下への流入が始まり、6分でコンコースが浸水。駅上方の工事現場の仮設壁が崩壊、板南線ホームが冠水。9:10には地下2階改札口も浸水。
    • 13:00 - 台北駅地下街工事現場の浸水が止まる。
    • 16:20 - 台北駅地下3階と4階の冠水で淡水線ホーム同じフロアにあった捷運管制室も水没。事前に運行管理に関わる機器類は地上階へ避難が完了していた。
    • 18:00 - 中山駅冠水。
    • 18:25 - 雙連駅冠水。
    • 19:50 - 台大医院駅冠水。
  • 9月18日 - 7:30、中正紀念堂駅冠水。

表中の★は地上からの浸水もあった場所

状況 淡水 剣潭 圓山 民西 雙連 中山 ★台北 医院 中正紀 中和・新店線→ 管制
冠水時刻 なし 18:25 18:00 8:53 19:50 9/18 7:30 - 8:53
軌道面冠水水位(m) なし 3.5 2.7 9.9 0.5 0.5 - 4.7
再開日 9月19日 9月21日 10月1日 線内9月19日(直通10月1日) 2002年3月7日[注 1]
- 10月4日 - 10月27日 - 線内9月19日(直通10月7日)

復旧[編集]

  • 9月19日 - 淡水~剣潭間と直通先だった中和線と新店線で本数を減らして手動運転により運行再開[3](p129)
  • 9月21日 - 剣潭~民権西路間で本数を減らして運行再開[3](p129)
  • 9月27日 - 淡水線剣潭以北および新店線でのATO運転再開[3](p129)
  • 10月1日 - 10:00より新店線への直通を再開。雙連駅と台北駅は通過[3](p128)
  • 10月4日 - 雙連駅営業再開、13:00より中和線ATO運転再開[3](p128)
  • 10月7日 - 中和線との直通を再開[3](p129)
  • 10月27日 - 淡水線台北駅の営業再開。構内は手動運転[3](p130)
  • 2002年3月7日 - 台北駅の信号が完全復旧、全線でATO運転に戻る[3](pp130-131)

駅一覧[編集]

(注意:斜字体は建設中または計画中の路線)

駅番号 駅名 接続路線・備考 所在地
日本語 繁体字中国語 英語
R28 淡水駅 淡水站 Tamsui 新北捷運淡海軽軌藍海線 新北市 淡水区
R27 紅樹林駅 紅樹林站 Hongshulin 新北捷運:淡海軽軌緑山線
R26 竹囲駅 竹圍站 Zhuwei  
R25 関渡駅 關渡站 Guandu   台北市 北投区
R24 忠義駅 忠義站 Zhongyi  
R23 復興崗駅 復興崗站 Fuxinggang  
R22 北投駅 北投站 Beitou 淡水信義線新北投方面(新北投支線)
R21 奇岩駅 奇岩站 Qiyan  
R20 唭哩岸駅 唭哩岸站 Qilian  
R19 石牌駅
(栄総)
石牌站
(榮總)
Shipai
(Veterans General Hospital)
 
R18 明徳駅 明德站 Mingde  
R17 芝山駅 芝山站 Zhishan   士林区
R16 士林駅 士林站 Shilin 環状線(Y26)
R15 剣潭駅 劍潭站 Jiantan  
R14 圓山駅 圓山站 Yuanshan   中山区
大同区
R13 民権西路駅 民權西路站 Minquan West Road 中和新蘆線(O11)
R12 双連駅
(馬偕紀念医院)
雙連站
(馬偕紀念醫院)
Shuanglian
(Mackay Memorial Hospital)
 
R11 中山駅 中山站 Zhongshan 松山新店線(G14)
R10 台北車站駅 台北車站 Taipei Main Station 板南線(BL12)
台湾鉄路管理局縱貫線
台湾高速鉄路公司台湾高速鉄道
桃園捷運 機場線桃捷台北車站:A1)
中正区
R09 台大医院駅 台大醫院站 National Taiwan University Hospital  
R08 中正紀念堂駅
(南門)
中正紀念堂站
(南門)
Chiang Kai-Shek Memorial Hall
(Nanmen)
松山新店線(G10)・万大樹林線(LG01)
信義線象山駅まで直通運転(淡水信義線として一体運行)

脚注[編集]

註釈[編集]

  1. ^ 台北駅の信号設備故障により手動運転で仮復旧、ATO使用再開日を指す[3](pp130-131)

出典[編集]

  1. ^ http://blog.taiwannews.jp/?p=12088
  2. ^ a b c (繁体字中国語)黃秀政 (2014). 續修臺北市志 卷二 土地志 城市發展篇. 臺北市文獻委員會. p. 84. ISBN 9789860427660. https://tm.ncl.edu.tw/article?u=006_104_000082 
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o (繁体字中国語)徐榮崇 (2015年12月). 續修臺北市志 卷五 交通志 捷運篇 第二章 捷運系統技術與工程興建 第四節 臺北捷運工程興建 五、捷運重大事件紀錄 (三)災害與更新. 臺北市文獻委員會. pp. 頁121-132. ISBN 9789860469875. https://tm.ncl.edu.tw/article?u=006_104_000157 
  4. ^ (繁体字中国語)捷運信義線即將通車 轉乘與優惠措施報你知”. the News Lens (2013年11月18日). 2019年8月24日閲覧。
  5. ^ (繁体字中国語)“重要紀事”. 臺北捷運公司2017年報 (台北捷運公司): 頁70. (2018年9月). ISSN 23094052. https://www-ws.gov.taipei/Download.ashx?u=LzAwMS9VcGxvYWQvNDA1L2NrZmlsZS8wZmZlODg0MC1jNTQ0LTRkZjEtODhjMS1jZDFjNjVhMmI3NDQucGRm&n=MjAxNyBBbm51YWwgUmVwb3J0LnBkZg%3d%3d&icon=.pdf 2019年8月24日閲覧。. 

外部リンク[編集]