古代蓮の里

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古代蓮の里
古代蓮池(2011年7月)
分類 風致公園[1]
所在地
座標 北緯36度7分55.4秒 東経139度30分0.3秒 / 北緯36.132056度 東経139.500083度 / 36.132056; 139.500083座標: 北緯36度7分55.4秒 東経139度30分0.3秒 / 北緯36.132056度 東経139.500083度 / 36.132056; 139.500083
面積 14.0 ha[1]
開園 1995年
運営者 行田市
設備・遊具 古代蓮会館
公式サイト 古代蓮会館
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古代蓮の里(こだいはすのさと)は、埼玉県行田市にある公園を兼ねる施設である。

概要[編集]

ふるさと創生事業 の一環とし[2]行田市天然記念物であり市の花である「古代蓮(行田蓮)」をシンボルとする公園。古代蓮は、公共施設(小針クリーンセンター)建設工事の際に種子が掘削地ので自然発芽し1973年(昭和48年)に開花したものである。出土した地層の遺物や木片の放射性炭素年代測定から約1400年から3000年前のものと推定されたため[2]古代蓮と呼ばれるようになった(ただし、種子を直接測定したものではなく、ずっと新しい時代の種子が発芽した可能性も否定できない。なお、現在[いつ?]種子を直接測定した最も古い古代蓮は中国の約1,300年前のものである[要出典]。)。古代蓮の里は、その古代蓮の自生する付近(旧小針沼)に「古代蓮の里」として1992年平成4年)から2000年(平成12年)にかけて整備された(公園の開園は1995年(平成7年)[2])。2001年(平成13年)4月22日には、園内に「古代蓮会館」が開館した。「古代蓮会館」には高さ50 m展望タワーがあり、その展望タワーは「行田タワー」とも呼ばれている。

田んぼアート事業[編集]

田んぼアート事業(2015年度)

2008年度より、「田んぼアート米づくり体験事業推進協議会」を設立し、古代蓮の里の東側に隣接する水田(約2.8 ha)で「田んぼアート事業」に取り組んでいる[3]。年度によっては複数個所田んぼアートが制作される場合がある。この田んぼアートは古代蓮会館の展望タワーよりその全貌を望むことができる。使用されている稲は2017年現在では背景部分を占める緑の「彩のかがやき」をはじめ、白い部分の「ゆきあそび」、赤い部分の「べにあそび」、オレンジ色の部分の「あかねあそび」、黒の「むらさき905」など9種類の稲が使用されている[4]。稲の生長と共に絵が次第に黄金色に変化し、10月頃には背景部分が刈り取られてレリーフ調となる。2015年9月8日にギネス世界記録の認定を受けた[5]。ギネス世界記録認定後は行田市の知名度が向上し、この月の来場者は前年の4倍以上となった。2017年度は10周年を記念し、新たに南側の隣接する水田(約1.0 ha)にも田んぼアートが描かれている[6][7]。また、冬場は田んぼアートの稲わらを使用した日本最大級の「わらアート」も2014年度より敷地内で実施されている[8][9]

作品テーマ[編集]

2010年 - 2012年の「のぼうの城」関係、および2017年の「陸王」を除き、絵柄には市の花の「行田蓮」があしらわれている。基本的に東会場で開催されるが、2017年より南会場が設定され、こちらは不定期で開催されている。

  • 2008年 - 『行田ハス』[10]
    事業開始初年度は約20 a(0.2 ha)の面積でスタートした[11]。市の花である「行田蓮」の花を、田んぼの1区画に幅50 mに満たないスペースで描いた[4]
  • 2009年 - 『市制60周年』
    約60 a(0.6 ha)の面積に拡張された[12]。昨年に引き続き、市の花の「行田蓮」をモチーフとした。「古代ハスの里」の文字も入れられたが、ハッキリと浮かび上がらなかった。
  • 2010年 - 『のぼうの城
    約130 a(1.3 ha)の面積に拡張された。オノ・ナツメ作画の小説「のぼうの城」のブックカバーの絵の「成田長親(のぼう様)」とそのタイトル、および忍城をモチーフとした。同名の映画のPRも兼ねていた。なお、忍城の絵の方は公募により採用されたものである[13]
  • 2011年 - 『のぼうの城』
    現在とほぼ同じ面積(約2.8 ha)に拡張[11]。昨年に引き続きオノ・ナツメ作画の「成田長親」と「石田三成」(横顔のみ)を対峙するように描いた。東日本大震災をうけて、急遽、「がんばろう 日本」の文字が入れられた[14]。ギネスの申請を検討したが、絵柄の割合が38 %と基準の40 %に満たなかったため、申請を断念した。
  • 2012年 - 『のぼうの城』
    昨年に引き続き「成田長親」と「石田三成」の絵に加え、忍城と丸墓山を描いた。絵柄の割合が50 %強に引き上げられたものの、ギネスの申請基準がこの年変更され、背景の割合が40 %以下(絵柄の割合が60 %以上)となったため、申請を断念した[14]
  • 2013年 - 『古代蓮の精』
    絵柄の割合が73.2 %に引き上げられた。行田蓮の上に立つ羽衣を着た女性を描いた。ギネスに初申請したが8月1日の審査の結果、生育不良の理由により認定とはならなかった[11]
  • 2014年 - 『古(いにしえ)の行田』
    稲荷山古墳を背景に金錯銘鉄剣を掲げる古人や酒巻14号墳出土埴輪(重要文化財)を描いた。大雨により田んぼが被害を受けたため、ギネスの申請を断念した[14]
  • 2015年 - 『未来へつなぐ古(いにしえ)の軌跡』
    ギネス世界記録に認定[14][15]宇宙遊泳する子どもたちやはやぶさ2がアニメ調に表現されている。
ドラゴンクエスト田んぼアート(2016年度)
  • 2016年 - 『ドラゴンクエスト
    同作の30周年を記念し、Ⅰのパッケージデザインをモチーフとした[10]。作者の一人の堀井雄二も田植えイベントに参加した。
  • 2017年
  • 2018年 - 『大いなる翼とナスカの地上絵
    翼を広げる「コンドル」や、ナスカの地上絵の代表と言える「コンドル」や「ハチドリ」を描いた。制作の際は「ペルー大使館」からの後援も受けた。
  • 2019年
  • 2020年 - なし(コロナ禍の影響により中止)
    この年は田んぼアートの場所に横縞模様で稲が植えられた[17]
  • 2021年 - 『田んぼに甦るジャポニスム 〜浮世絵と歌舞伎〜』
    葛飾北斎の「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏」と歌舞伎の「梅王丸」を描いた。「日本博2.0」のロゴマークも入れられた。
  • 2022年 - 『アオアシ
    主要キャラクターの3人(青井葦人」と「福田達也」と「一条花」)を描いた。
  • 2023年 - 『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』
    主要キャラクターの2人(「麻実麗」と「壇ノ浦百美」)を描き、中央に映画のタイトルロゴを配した。映画のキャストの加藤諒益若つばさも田植えイベントに参加した[18]
わらアート(2016年)
わらアート

田んぼアートの終了後、その稲わらを利用してわらアートが制作され、古代蓮会館の南側の敷地にて翌年3月末頃まで展示される。大きい方のわらアートはその中に入ることができる。2017年の「ヤマタノオロチ」を最後に終了し、2018年以降は「古代蓮の里イルミネーション」と称したイルミネーションが実施されている。

施設[編集]

営業日[編集]

  • 公園および駐車場 - 休業日無し
  • 古代蓮会館・売店・うどん店
    • 月曜日(祝日の場合は営業)
    • 祝日の翌日(土・日曜日の場合は営業)
    • 年末年始
    • 蓮の開花期(6月下旬-8月上旬)は無休で営業

所在地[編集]

交通[編集]

周辺[編集]

その他[編集]

  • 園内の一部に国有地が含まれている[21]
  • 当園の近傍に位置する小針クリーンセンター敷地内に古代蓮自生地がある[22]
  • 東松山市と「花の交流」事業を行い、東松山市から送られた牡丹が園内に植栽されている。
  • 映画『翔んで埼玉 〜琵琶湖より愛をこめて〜』内において、埼玉県内唯一のタワー[23]として古代蓮会館付属の展望タワーが登場している。劇中では実は弾道弾迎撃ミサイルであったという設定が付け加えられており、大阪府が発射した通天閣型ミサイルを迎撃するために打ち上げられた。

脚注[編集]

  1. ^ a b (再評価)国営常陸海浜公園” (PDF). 国土交通省 関東地方整備局. p. 10 (2014年11月27日). 2021年10月25日閲覧。
  2. ^ a b c “天声人語”. 朝日新聞 朝刊13版 (朝日新聞社): p. 1. (2017年7月17日) 
  3. ^ 田んぼアート米づくり体験事業 (PDF) - 総務省
  4. ^ a b やた 香歩里 (2017年8月30日). “ギネスが認めた大スケール!埼玉県行田市の田んぼアート”. ORICON NEWS (オリコン). https://www.oricon.co.jp/article/291331/ 
  5. ^ 行田市、世界一へ!!「世界最大の田んぼアート(Largest rice field mosaic)」|ギネス世界記録 町おこしスペシャル・インタビュー”. Guinness World Records (2016年2月16日). 2017年12月5日閲覧。
  6. ^ “主演・役所広司さんクッキリ ドラマ「陸王」、行田の田んぼアートに”. 埼玉新聞 (埼玉新聞社). (2017年7月29日). http://www.saitama-np.co.jp/news/2017/07/29/09_.html 2017年10月15日閲覧。 
  7. ^ “行田の田んぼに「陸王」現る 地元舞台のドラマPR”. 東京新聞 (中日新聞社). (2017年7月16日). http://www.tokyo-np.co.jp/article/saitama/list/201707/CK2017071602000132.html 2017年10月15日閲覧。 
  8. ^ 「田んぼアート」in行田 - 行田市. 2017年10月15日閲覧。
  9. ^ 特集 田んぼアートのその次は…「わらアート」だ!! (市報ぎょうだ2015年2月号)” (PDF). 行田市役所. pp. 2-5 (2015年2月1日). 2017年10月15日閲覧。
  10. ^ a b 田んぼアート平成28年度の取組”. 行田市役所. 2023年12月18日閲覧。
  11. ^ a b c 世界最大級、最高傑作を体感しよう。」『市報ぎょうだ平成25年9月号』第807号、行田市、2013年9月1日、1-3頁。 
  12. ^ 平成21年度の取組”. 行田市役所 (2015年10月7日). 2020年1月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月29日閲覧。
  13. ^ 平成22年度の取組た”. 行田市役所 (2015年8月12日). 2017年4月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年12月29日閲覧。
  14. ^ a b c d 行田市、世界一へ!!「世界最大の田んぼアート(Largest rice field mosaic)」|ギネス世界記録 町おこしスペシャル・インタビュー”. Guinness World Records Limited (2016年2月16日). 2023年12月22日閲覧。
  15. ^ ギネス世界記録 挑戦者たちVol.2 世界最大の田んぼアート田んぼアート米づくり体験事業推進協議会/埼玉県行田市” (PDF). 農林水産省. 2023年12月18日閲覧。
  16. ^ a b 2017「田んぼアート」in行田”. 行田市役所. 2023年12月29日閲覧。
  17. ^ 2020「田んぼアート」in行田”. 行田市 (2022年1月20日). 2023年12月27日閲覧。
  18. ^ 2023「田んぼアート」in行田”. 行田市 (2023年12月8日). 2023年12月27日閲覧。
  19. ^ 古代蓮の里 「日本一巨大なわらアート」”. NPO法人わらアートJAPAN. 2023年12月27日閲覧。
  20. ^ 埼玉県にキングスライムとスライムがあらわれた! ドラクエのわらアートが巨大&高クオリティー”. ねとらぼ(アイティメディア) (2016年12月13日). 2023年12月27日閲覧。
  21. ^ 古代蓮の里(古代蓮会館)公式発行物(2012年版)より。
  22. ^ 古代蓮自生地 - 行田市教育委員会
  23. ^ 県内の展望タワーに類する構造物は他にもあり、越谷市の東埼玉資源環境組合の「リユース展望台」(高さ80 m)や、東松山市の埼玉県平和資料館の展望塔(高さ40 m)などがある。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]