双数形

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双数形(そうすうけい 英:dual)また両数形(りょうすうけい)は、印欧語またその他の言語において、語形の変化によってとりうる名詞の諸種の形のうち、名詞が二つのものを表す場合にとる形。またはその二つのものを表す名詞が主語である場合に、その名詞に呼応してとる動詞の形。

印欧語[編集]

印欧語では、一般に名詞は性、数、格の三つの属性を持ち、数と格によって形を変える。そのとき数について、言語によっては名詞が1つのものを表す単数形、名詞が2つのものを表す双数形、単数・双数以上(3つ以上)のものを表す複数形という3つのパターンがある。また双数形のない言語もある。

印欧祖語[編集]

インドアーリア語派(ヴェーダ語)、イラン語派(アヴェスタ語)、ギリシア語派(古代ギリシア語)、スラブ語派(古代教会スラブ語)などに双数形がある。偶然の一致とするには双数形を持つ言語が多いため、印欧祖語には名詞に双数形が存在し、ある言語では双数形が残り、ある言語では消えたと解釈されている。

ギリシア語派[編集]

古代ギリシア語では、アルカイック期および古典期には双数形が用いられたが、コイネー時代以後双数形が失われ、現代ギリシア語には双数形はない。

イタリック語派[編集]

ラテン語をはじめイタリック語派では双数形はその名残りを持つ一部の語を除けば、古くから失われており、単数形と複数形しかない。

ゲルマン語派[編集]

ゲルマン語派では古くは部分的に双数形が存在した。ゴート語では1・2人称代名詞に双数形があり、動詞にも双数形が存在した。西ゲルマン語と北ゲルマン語では人称代名詞に双数形が残るのみで、動詞には双数形はなくなっていた。時代がくだるとそれも失われ、現代語では基本的に双数形を持たない。

バルト語派[編集]

リトアニア語においては標準語では廃語に近い状態であるが双数形がある。

スラブ語派[編集]

古代教会スラブ語の文献に双数形が見られる。そのためスラブ祖語にも双数形が存在したと断定されている。その後時代がくだるうちに多くの地方で双数形が失われ、現代語ではスロベニア語ソルブ語のみ双数形を持つ。

ウラル語[編集]

ウラル語族の中にはサーミ語、およびサモイェード語派の言語では、人称代名詞、所有接辞、動詞の活用に双数形があり、ウラル祖語にも同様の双数形があったとみられている。

セム語[編集]

アラビア語のフスハーは現代アラビア語においても双数形が用いられている。人称代名詞では独立形や結合形ともに、二人称男性双数、二人称女性双数、三人称男性双数、三人称女性双数がある。動詞の活用においても、二人称男性双数、二人称女性双数、三人称男性双数、三人称女性双数がある。名詞や形容詞にも単数形や複数形とともに双数形がある。