オートバイ
オートバイとは、エンジンやモーターなどを動力とする原動機を搭載した二輪車[1]である。これと外観的特徴や構造が似ている三輪のものをも含むこともある。バイクあるいはモーターサイクルとも呼ばれる。英語圏ではこれに相当するものをmotorcycle(モーターサイクル)やmotorbike(モーターバイク)と呼ぶのが一般的である。
目次 |
[編集] 概要
2つの車輪を前後に配置してエンジンやモーターといった原動機によって走行する乗り物を指す。自転車に原動機を備えたもので、原動機の動力のみで走行することができるものも含んでこのように呼ぶこともある。エンジン付き二輪車をベースとした三輪車(トライク)もオートバイに含める場合がある。
オートバイという呼び方はアメリカ英語: "autobike"に由来する和製英語である[参 1]。1902年(明治35年)にアメリカからエンジン付き自転車「トーマス」が輸入された当時は英語と同様に「モーターサイクル」と呼ばれていたが、1923年(大正12年)に月刊誌『オートバイ』が発売されて以来、「オートバイ」という呼び方が日本人に広く認知されるようになった[参 2]。
日本では他に「バイク」あるいは「単車」、「自動二輪車」とも呼ばれ、小型のものを指してミニバイクと呼ぶ例もある。「単車」はサイドカーを付けたものを「側車付き」と呼ぶのに対して、サイドカーを付けていないオートバイ単体を指す言葉として用いられていたが、サイドカーが希少なものとなった現在も「単車」という言葉が生き残っている。尚、中国語でも二輪車の意味で単車という言葉がある。
英語で単に"bike"(バイク)と言うと二輪車全般を指すものの、どちらかというと自転車(bicycle)[2]の略語として使われる場合が多く、自動二輪車については「原動機」を意味する"motor"を加えて"motorbike"と呼ばれることが多い。
[編集] 歴史
1863年にフランスの発明家のルイ-ギヨーム・ペローが蒸気機関を動力とする二輪車を考案して特許を取得し、1873年のウィーン万博に出品したものがオートバイの原型と言われている。1885年、ダイムラー・モトーレン・ゲゼルシャフト(現在のダイムラー)により、内燃機関を搭載したオートバイが作られた。1903年、オートバイをウイリアム・ハーレーとアーサー・ダビッドソン(後にハーレーダビッドソン社を創業)が自転車にエンジンを搭載したモペッドを製造した。第一次世界大戦中の技術進歩を経て、1920年代になると、現在のオートバイで一般的となる構造が確立し、社会に浸透していった。その後の第二次世界大戦では、サイドカーを付けて将校の移動手段や、偵察部隊などの機動部隊の装備として採用された。
日本では、1909年(明治42年)の島津楢蔵によるNS号が初の国産車であった。その後、スミス・モーター、インデアン、ハーレーダビッドソンなどの輸入が増える一方、1930年代には宮田製作所(現在の宮田工業)が「アサヒ号」を発売するなど国産化も進んだ。輸入車のうち、ハーレーは三共によって陸王として国産化された。
第二次世界大戦終戦後、日本の軍用機や軍用車を製造していた企業が航空機や自動車の製造を禁じられたため、オートバイを製造販売するようになった。陸軍機で知られる中島飛行機を源流に持つ富士産業(現在の富士重工)のラビットスクーターや、海軍機で知られる三菱を源流に持つ中日本重工(戦後の財閥解体にともなう三菱重工の分社)のシルバーピジョンというスクーターもそうした軍需産業から転身した企業による製品であった。終戦直前には、陸王一社のみがオートバイ製造を続けていた状態から雨後の筍のようにメーカーが乱立したが、ほとんどのメーカーが技術開発と市場競争で遅れをとり、次々と脱落していった。中でも目黒製作所のメグロ、東京発動機のトーハツは人気があり、メグロはメーカーが倒産した後もカワサキに技術が移転した。
本田技研工業は日本陸軍払い下げの軍事無線機用小型エンジンを転用し、自転車用の補助動力エンジン(通称「バタバタ」、カブの前身)を開発し販売したのが、同社における最初のオートバイ事業であった[参 3]。
高度経済成長を果たした日本のオートバイメーカーは、世界各国のメーカーに並んでレースにも進出した。精密加工を得意とする日本の企業は高回転高出力エンジンである並列多気筒エンジンを搭載したオートバイで参戦した。ホンダに続いて、ヤマハ、スズキ、カワサキもレースに参加し、各社の競争によってオートバイは年々高性能化した。同時にタイトルを日本勢で塗りつぶし、市場における優位性を確保した。こうして日本はオートバイ大国となった。
しかし、四輪自動車が実用的な乗り物として普及すると、オートバイは一部の業務用を除いて趣味の乗り物として扱われるようになり、販売台数は頭打ちになった。
1980年代前半になると、ヤマハが業界1位の座をホンダから奪おうとして日本のみならずアメリカをも舞台にしてHY戦争が起きた。この競争のなかでラインナップが増えると共に価格が下落し、さらに1980年代後半からは好景気(バブル景気)も重なり、1990年代前半にかけて日本にバイクブームが訪れた。しかし、このバイクブームから暴走族が全国各地で増え、危険走行や騒音、交通事故が社会問題となった。それによって三ない運動に代表されるような「バイク=危険な乗り物・暴走族」という社会の認識が強くなり、バブル景気の崩壊と共にバイクブームも急速に終息に向かった。
1990年代は東南アジアを中心とする発展途上国の市場が拡大する一方、2000年代には日本国内向け車種の生産も始まっている。
近年の国内需要は、原動機付自転車から四輪車への消費者のシフトや都市部での路上駐車の取り締まり強化や排ガス規制強化にともない、ピーク時に対して1/10という市場の大幅な縮小がおこった。趣味の乗り物としての需要は減少したものの、配達業務での用途は依然として根強い。また、緊急時の機動性が見直されて、救急や消防での利用が新たに着目されている。
[編集] 基本構造
オートバイの構造はその歴史のなかで様々な形態が現れ、変遷してきた。ここでは現在市販されている二輪のオートバイとして一般的なものを示す。したがって、いくつかの車種には例外があり、特に三輪のものについては構造が大きく異なる例もある。
車体構成は前輪操舵、後輪駆動でエンジンは前輪と後輪の間に搭載されるものが一般的である。エンジンは通常、車体フレームに固定されているが、スクーターはリヤサスペンションの構造部材に変速機と共に固定されている車種が多い。クランクシャフトが車体進行方向方向に対して横向きになる配置を採用する車種が大半を占めるが、縦向きの車種も少なくない。トランスミッションはエンジンのクランクケースと一体になったケースに収められている場合が多く、4ストロークエンジンの車種ではエンジンオイルでトランスミッションを潤滑している。クラッチは、エンジンオイルに浸されていて、複数の摩擦面を持つ湿式多板クラッチがほとんどである。トランスミッションから車軸へ動力を伝達する手段にはローラーチェーンを用いる車種が最も多いが、プロペラシャフトや歯付ベルトを採用している車種も少なくない。また、無段変速機を採用しているスクーターは、トランスミッションの出力軸が直接後輪を駆動しているものが多い。サスペンション (オートバイ)は、前輪がテレスコピックフォーク、後輪がスイングアームになっているものがほとんどである。
運転操作は、右のグリップがスロットル、右のレバーが前ブレーキ、左レバーがクラッチ、右ペダルが後ブレーキ、左ペダルがシフトチェンジという構成が現在では一般的である。オートマチックトランスミッションのスクーターではペダルがなく、左レバーが後ブレーキとなっている場合がほとんどである。古いものではブレーキペダルが左側、シフトペダルが右側の車種や、燃料タンクの左脇に手で操作するシフトレバーがある車種も多かった。
[編集] 用途と種類
オートバイの形態により様々な種類に分類できる。主にメーカーがターゲットにする用途を基にした分類となるが、ユーザーや雑誌などによってさらに細分化されたり、メーカーの分類とは異なる使い方をされる例も少なくない。したがって、ここに列記するものは必ずしも普遍的なものではない。
- オンロードタイプ
- オートバイメーカーの総合カタログなどにも用いられる大分類で、ロードスポーツとも呼ばれる。舗装路を快適に走行できるように工夫されたタイプのオートバイを総称してこのように分類され、最も車種構成の幅広い分類である。
- ヨーロピアン
- 最も基本的なオートバイの形態で、古くからヨーロッパで普及してきた形であることから、他の形態のものと特に区別して呼ぶときにこのような呼び方をする場合がある。比較的乗車姿勢が前傾していてスポーツ性が高いことからスポーツタイプと呼ぶ例もある。後述のレーサーレプリカが流行した時代には、カウルがないものを総称したネイキッド と呼ぶ分類も生まれた。近年ではスーパースポーツに近い乗車姿勢や性能を持つものをストリートファイターとも呼ぶことがある。
- アメリカン
- 北米大陸の郊外のように真っ直ぐな道を長く移動する利用環境のなかで、アメリカ合衆国を中心に発達したタイプを日本ではこのように呼び、オートバイメーカーの分類にも用いられている。英語圏ではクルーザーと呼ばれる。
-
詳細は「クルーザー (オートバイ)」を参照
- スーパースポーツ
- かつてはレーサーレプリカと呼ばれた分類で、SSと略されることもある。高速旋回に適した乗車姿勢と軽量な車体によりスポーツ走行に向いているが、強い前傾姿勢となるために長距離走行では疲れやすい。
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詳細は「スーパースポーツ」を参照
- メガスポーツ
- 外観はスーパースポーツに近いが、大排気量のエンジンと比較的大柄な車体を持ったものをこのように呼ぶ場合がある。2000年代初頭まではメーカー各社のフラッグシップとして扱われていた。快適性やコーナリング性能もさることながら、いわゆる最高速度を重視したのが特徴である。1990年代後半 - 2000年代初頭にホンダ・スズキ・カワサキの間で最高速競争が始まったため、欧州で300km/hの速度自主規制が始まり今に至る。
- ツアラー
- 長距離のツーリングで快適に乗車することに主眼を置いたものがこのように呼ばれて分類される。ヨーロピアンタイプをベースにしたものとアメリカンタイプをベースにしたものがあるが、総じて乗員が走行風を受けにくい大柄のカウルや扱いやすい出力特性のエンジン、直進安定性の高い車体特性を持っているのが特徴である。さらに細分化してハイスピードツアラーやスポーツツアラーと呼ぶ例もある。
- ストリートバイク
- 取り回しが楽で、市街地で乗りやすいものをこのように分類する場合もある。小排気量のものや無段変速機を搭載したものなどがこの分類で呼ばれる例が多い。スカチューンやラットバイク、スクーターのローダウンのように、乗りやすさや性能よりも外観を重視した改造を施されたものを指す場合もあり、こうした改造はストリートカスタムなど呼ばれる。
- オールドルック
- レトロとも呼ばれ、スポークホイールや空冷エンジンなど、旧車が持つ外観的特徴を持つものをこのように分類する。本当の旧車は設計や製造そのものが古いのに対し、オールドルックは昔の(オールド)オートバイを模した外観(ルック)の意匠を持つだけで、部品は新しい設計のものが搭載されている。
- オフロードタイプ
- 舗装道路以外を(も)走ることを前提に設計されたものを「オフロードタイプ」や「オフロード車」などと呼ぶ。総じて大径のスポークホイールや長いストロークを持つサスペンション、軽量で細身の車体を持っているのが特徴である。軽量化のためにバッテリーやセルモーターを廃したものもある。かつてはスクランブラーとも呼ばれていた。
- デュアルパーパス
- オフロードタイプのうち、保安部品を備えたものをメーカーの大分類ではこのように呼ぶ。なかでも大排気量のエンジンとハーフカウルを搭載したものを、近年ではアドヴェンチャーと呼ぶ例が多い。アフリカやオーストラリアに見られる広大で平坦な砂漠地帯でのラリー競技で従来から使用されている車両のイメージを踏襲しながら、一般ユーザー向けに舗装路や市街地でも快適で使いやすい設計とした製品が多い。
- モトクロッサー
- モトクロスと呼ばれる、林間や岩場などに設けられたコースでの競技に特化したもので、公道走行に必要な保安部品を持たないものがほとんどである。
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詳細は「モトクロッサー」を参照
- エンデューロレーサー
- オフロードの耐久レースに特化したオートバイを指す。モトクロスバイクに近いが、長時間の走行でも疲れにくい特性を持っている。公道走行できるようになっているものが多く、前述のデュアルパーパスとクロスオーバーする特徴が多い。
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詳細は「エンデューロ」を参照
- トライアルバイク
- 岩場や沢、崖、あるいは人工の障害物などを走破する技術を競う競技に特化したオートバイを指す。車体は非常に軽くて細身で、燃料タンクも非常に小さい。シートを持たない車両もある。かつては保安基準を備えて公道走行できる国産車が市販されていた。
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詳細は「トライアル (オートバイ)」を参照
- モタード、ターミネーター
- スーパーモタードという競技に特化したオートバイを指す。日本ではレース開催の背景事情により、どちらかというと舗装路での性能に主眼を置いたものをターミネーターと呼ぶ例もあるが具体的な境界線はない。モタードは市街地の走行にも適した車体特性を持つことから、レースに参加しない一般ユーザーも従来のデュアルパーパスをモタード風に改造したり、保安部品を装備したモタード風の車種がメーカーから市販されたりと、前述のストリートバイクとして広く流行した。モタードタイプとトライアルバイクの折衷的なデザインを持ち、これらのバイクで可能なパフォーマンス走行に主眼をおいたエクストリームと呼ばれるタイプが近年市販されている。
- フラットトラッカー、ダートトラッカー
- アメリカで発祥したダートトラックレースに特化したオートバイを指す。単気筒のエンジンを搭載したスリムで低めの車体で、サスペンションストロークは少なく、ダウンフェンダーで後部に大きなゼッケンプレートを持つ外観が特徴である。こうした外観的特徴を持ちながら保安部品を備えた車種も国産メーカーから市販されていたことがある。
- ビジネスバイク
- 配達業務や顧客訪問に利用されることを主眼に設計された車種をこのように分類する。多くは原付もしくは小型自動二輪車で、高い耐久性と低燃費が特徴である。多くの場合はホンダのスーパーカブに似た外観を持つ車種であるが、スクーター型のものもある。
- 宅配バイク
- ビジネスバイクのなかでもピザなどの宅配に最適化されたものが広く普及してこのように呼ばれるようになった。屋根付きの三輪スクーターが元来の形態で現行の市販車ではホンダ・ジャイロキャノピーが代表格となっている。1985年2月15日より道路交通法上はミニカーの扱いで[参 4]、ヘルメット着用と法定速度30km/hが適用されないことから、1985年に日本初の宅配ピザであるドミノ・ピザが創業する際に、ヒガ・インダストリーズがオリジナルで設計したのが始まりであった。1980年代後半から登録台数の増加に伴って事故も激増したことを受け、運行上の特性が二輪車に類似しているなどの理由から、1991年1月1日から道路交通法上の扱いが原動機付自転車に変更された[参 4]。後部には宅配商品を乗せるトランクが付いている。現在では屋根付き三輪スクーターに限らず、似たような形態のものを呼ぶ場合も多い。
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詳細は「ミニカー (車両)」を参照
- ミニバイク、ファミリーバイク
- 小型のオートバイを総称してこのように呼ぶ。ミニバイクという呼び方は行政や報道で用いられる場合が多い。ファミリーバイクはメーカーによる製品の分類とする場合や、保険会社が125cc以下のオートバイを指してこのように呼ぶ。
- スクーター
- 乗車時に車体をまたぐ必要が無く、両足をそろえて乗ることができるオートバイを指す。かつては125cc以下のものがほとんどであったが、近年は大排気量のものが増えてきている。また、多くはオートマチックトランスミッションを採用しており、その簡単さから販売台数が多い。このため、自動二輪の免許制度にオートマ(AT)限定が新設された。最近は電動スクーターも市販されている。
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詳細は「スクーター」を参照
- モペッド(moped)
- 自転車のように足でこぐこともエンジンの動力で走ることもできる二輪車を指す。日本では訛ってモペットとも呼ばれる。原動機を指すモーター(motor)とペダル(pedal)のかばん語でモペッド(moped)と呼ばれるようになった。無免許で運転可能なフランスやイタリアの製品が多いが、現在の日本ではエンジンの動作状態にかかわらず原動機付自転車の扱いとなるため普及していない。
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詳細は「モペッド」を参照
- サイドカー付き
- オートバイの車体に平行して取り付ける追加の車体をサイドカーまたは側車と呼ぶ。
詳細は「サイドカー」を参照
- レースベース車
- オンロードレースやオフロードレースに関わらず、レース走行用の車両で一般向けに市販される完成車を指し、コンペティションとも呼ばれる。保安部品を備えず、登録書類は発行されないのが一般的である。レギュレーションに基づいて製造販売される物もある(ホモロゲーション)。輸入車両については通関証明書類を提示し保安部品を備えれば、正規に車両登録することが可能で公道走行も行える場合がある。このことから、日本でも販売している競技用車両を海外から輸入(いわゆる逆輸入)して公道走行仕様にする業者もある。
- コミューター
- 通勤や通学の交通手段として用いられているオートバイをこのように呼ぶ場合がある。英語の"commuter(通勤者、通学者)"を由来としていて、特にオートバイを指す言葉ではないが、後述の経済的な利点などから、通勤・通学の足としてオートバイを利用するユーザーは多い。
- バイク便
- オートバイを使って書類などの小さな荷物を運ぶ業務を指す。車種を問わず、市販されている車両の後席部分に荷物箱をユーザー(事業主)が取り付けている例がほとんどである。狭い道や渋滞の多い市街地での配送でも比較的配達時間が短いことから大都市圏で多く見られる。
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詳細は「バイク便」を参照
- 緊急自動車
- オートバイを緊急自動車として使う場合もある。古くから警察庁が白バイとして採用しているが、近年では消防庁が消防バイクや救急バイクとして採用するようになった。消防バイクはポンプ車が入れない狭隘地で初期消火を担当し、救急バイクは渋滞の先にある事故現場へいち早く駆けつけて救命率を高めるなど、オートバイの小型で機動性の高い特性を利用している。
- 軍用車
- 陸上自衛隊の情報小隊などではオートバイを偵察、連絡用に使用している。災害時には、崩落地帯やがれきの山を突破して連絡したり救助活動を行うことができる。
[編集] オートバイの事故
オートバイ特有の車体構造により、事故の形態や発生する傷害は独特の性質を具える。
オートバイは自動車一般に比べると、乗員が車体構造で覆われておらず、接地面積が狭く制動に利用できる力が小さい。特に二輪車は静止状態においてスタンドなしでは自立できない。その他にも特有の性質により自動車一般とは異なる危険性を持っている。運転免許教習をはじめとする安全運転講習では、オートバイ特有の特性を理解して危険を自覚すれば、事故の確率を下げることができると指導されている。
乗員が車体構造によって覆われていないことは、衝突の際に乗員が直接対象物に衝突する危険性があるほか、車上から放り出された乗員が二重、三重の衝突に巻き込まれやすい。
二輪車は停車時に乗員が足で支える必要があり、停車中にバランスを崩して転倒し、事故に至る事例もある。走行中の二輪車はジャイロ効果によって自立しているが、速度が低いときはジャイロ効果が小さく不安定なため、ふらつきによる事故が発生する事例がある。比較的軽度のスリップでバランスを崩して転倒しやすく、高い速度で走行していて転倒する場合が多いことから、事故に至った場合は最も危険な転倒である。そのため、教習や講習では滑りやすい路面状況について特に指導している。スリップしやすい路面状況は次のようなものがある。
- 路肩などの砂や砂利
- 板状の路上落下物
- 工事現場の路面に敷かれる鉄板や鉄製のマンホール、側溝蓋、橋梁の継ぎ目(特に濡れていると極端に滑りやすい)
- 未舗装道路
- オイル類の飛散
- 路面標示
オートバイは他の交通に比べて車体が小さいため見落とされやすい上、遠近感に錯覚を生じて実際よりも遠くにあると認識されたり、実際の速度より遅く感じられることが多い。渋滞の列の左側を直進するオートバイや交差点で直進中のオートバイと右折車両の衝突事故(いわゆる右直事故)の多くは相手車両の運転者がオートバイを見落したことによるものである。特に夜間は、前照灯の照度が低い車種も多いことから、見落とされやすい傾向にある。
一方で、自動車一般よりも天候の悪化が安全な運行に大きく影響を及ぼすことも特徴である。自動車一般は車両にワイパーや曇り止め装置を装備しているのが通常であるが、ヘルメットシールドやゴーグルでこれらを備えた製品は希である。加えて夜間の雨天時は、シールドなどに付いた雨粒に対向車のライトが乱反射するため、視界が極めて悪くなる。あるいは、身体が濡れたり冷えたりすることで運転者の注意力や運動能力が低下して事故の危険性を増加する。
このほか、進路変更や追い越しの際のオートバイの機敏な動きを周囲の運転者が予測できないという点が事故原因の一つとして挙げられる事例や、渋滞のすり抜け中に停車車両がドアを開いて衝突する事例もある。
[編集] 事故による外傷の特徴
効果的な安全装備の開発と普及のために、オートバイ事故による外傷の特徴は広く研究されている。しかし、先進国のほとんどにおいてオートバイは圧倒的に少数派の交通手段であるから、疫学的に記述した研究は少ないのが現状である。
衝突事故では乗員が投げ出されて対象物に直接衝突することが多く、頭部外傷による死亡が最も高い。ヘルメット着用が義務化されていなかった時代は、頭部外傷による死亡が6割を占め[参 5]、現在の日本を含めて義務化された国・地域でも、依然として頭部の損傷は死亡原因の4割である[参 6]。特に初心運転者ほど頭部(顔面を含む)の損傷によって死亡する率が高い[参 7]。
次いで多いのが体幹の損傷による死亡であり、ことに胸部外傷による死亡が多い。Krausら[参 8]の研究によると、一本の肋骨が2箇所以上骨折するとフレイルチェストと呼ばれる症状を起こして呼吸困難になったり、肋骨や胸骨の骨折により心停止時に有効な心臓マッサージをすることができない場合があるほか、折れた肋骨が胸郭内臓器や腹腔内臓器を傷つけられる危険性がある。例えば肺を傷つけると緊張性気胸や開放性気胸を起こす。或いは心臓や大動脈を傷つければ失血性ショックによる死亡率が非常に高くなる。また、肝臓や脾臓を傷つけた場合も緊急の開腹手術が必要な重傷となる。このことから、同研究では、胸部プロテクターの普及を図ることを推奨している。
一方、四肢の外傷だけで死に至ることは少ない[3]が、膝や肘などは軽微な転倒でも骨折などの骨格傷害を負う場合が多い。
[編集] 社会的対策
オートバイによる事故では頭部への負傷する確率が高いことから、多くの国と地域では法規によって乗車中のヘルメット着用が義務づけられている。
詳細は「ヘルメット (オートバイ)」を参照
被視認性を改善するために、多くの国ではエンジン始動中はオートバイのヘッドライトが点灯する構造であることを法規やメーカーの自主規制によって定めている。日本においても、1980年代から前照灯の昼間点灯が推奨されるようになった。これに応えてヘッドライトスイッチ廃止のメーカー自主規制が1993年より始まり、1998年に道路運送車両法により法規化された。
オートバイメーカーは、より安全なオートバイを目指しての開発を進めている。たとえば、本田技研工業はオートバイにエアバッグを装備[4]し、ドイツのBMWはオートバイにシートベルトを装備して[5]、衝突時に乗員が空中にはね飛ばされることを抑止、あるいは低減できる車種を販売した。
オートバイ用品の改良も行われていて、例えば、ヘルメットは事故の際頚椎にできるだけ力をかけずに脱がせられる手段を設け[6]、ジャケットは革ツナギのほかにも新素材によるパッド付きのものや、エアバッグを内蔵したものが販売されている。肘、肩、膝のプロテクターは普及率が低く、胸部のプロテクターを着用しているユーザーはほとんどいなかったが、白バイ隊に配備されている物が民生発売されて認知度が上がりつつある[参 9]。日本ではプロテクターの販売に規格はないが、ヨーロッパではCEマークを取得しないと販売できないようになっている。
このほかにも、行政、オートバイのメーカーや業界団体、オートバイ雑誌などによってユーザーに対する啓発活動が行われている。オートバイ愛好家の団体にも、自主的なイベントなどを通じて啓発活動を行っているところがある。こういった活動には、単に「事故を起こさない」「事故にあわない」といった予防策だけではなく、救護技術の習得などの対応策も含んだ講習を行う例もある[7]。
[編集] 日本の事故統計
日本でのオートバイ利用者の増加とオートバイの性能の向上に伴い、1989年には2575人の死者が出るに及んだ。「第2次交通戦争」と言われた。社会的にもオートバイ事故への対策が注目されるようになり、様々な対策が打たれたおかげで、オートバイ事故による死亡者数は1989年以降減少し続け、2006年には1119人となった。(これは第2次交通戦争と言われた1989年(2575人)の半数以下、第1次交通戦争と言われた1964年(3762人)の3分の1以下である[参 10]。)
日本脊髄基金の統計(1990-1992)によると、日本の脊髄損傷事故の原因のうち、約14%がオートバイによる事故である(四輪事故は約20%)。死亡率は高くないものの、救命救急士や医師は頚椎の保護を重要視する。これは初め無症状であっても頚部を動かすことによって脊髄損傷を誘発し、重度の傷害を負ってしまうことがあるからである。
[編集] 高速道路の通行条件
大部分の国では、一定の排気量以上の(あるいは超過する)自動二輪車が、高速道路を通行できる。基準は国により異なる。[8][9]
[編集] 高速道路の通行が可能な国
アイスランド - 50cc以上
アメリカ合衆国 - 50cc以上
インド - 350cc以上(スクーターは100cc - 150cc以上の場合に限って通行が可能)
ウルグアイ - 全排気量
欧州連合
アイルランド - 50cc以上
イギリス - 50cc以上
イタリア - 150cc以上
オーストリア - 51cc以上
オランダ - 51cc以上
ギリシャ - 全排気量
スウェーデン - 50cc以上
スペイン - 51cc以上
スロバキア - 50cc以上
スロベニア - 51cc以上
チェコ - 50cc以上
デンマーク - 50cc以上
ドイツ - 51cc以上
ハンガリー - 50cc以上
フィンランド - 50cc以上
フランス - 51cc以上
ブルガリア - 50cc以上
ベルギー - 51cc以上
ポーランド - 51cc以上
ポルトガル - 51cc以上
ルーマニア - 50cc以上
ルクセンブルク - 50cc以上
ガイアナ - 全排気量
ガーナ - 50cc以上
カナダ - 50cc以上
コスタリカ - 50cc以上
コロンビア - 51cc以上
ジャマイカ - 51cc以上
シンガポール - 51cc以上
スイス - 50cc以上
スリナム - 51cc以上
チリ - 51cc以上
ドミニカ国 - 51cc以上
トルコ - 350cc以上
日本 - 125cc超過(1965年から2005年まで二人乗り通行を禁止したことがある。)
ニュージーランド - 50cc以上
ノルウェー - 50cc以上
パキスタン - 51cc以上
パナマ - 51cc以上
バングラデシュ - 51cc以上
ブラジル - 51cc以上
ベトナム - 50cc以上
ペルー - 51cc以上
ボリビア - 全排気量
マレーシア - 51cc以上
南アフリカ共和国 - 51cc以上
メキシコ - 50cc以上
ロシア - 51cc以上
香港 - 125cc以上
[編集] 高速道路の通行を禁止する国
インドネシア - 通行を禁止した年度は未詳
韓国 - 1972年から通行を禁止、1991年に法令化(1972年以前には250cc以上の自動二輪車は通行が可能、緊急自動車と指定された自動二輪車(白バイなど)は通行可能)
ベネズエラ - 通行を禁止した年度は未詳
[編集] 高速道路の通行を禁止したが現在は通行が可能な国
アルゼンチン - 通行可能な排気量は未詳(通行を禁止した年度と解禁を年度は未詳)
グアテマラ - 350cc以上(通行を禁止した年度と解禁を年度は未詳)
タイ - 通行可能な排気量は未詳(通行を禁止した年度と解禁を年度は未詳、一部地域は通行を禁止)
台湾 - 550cc以上(通行を禁止した年度は未詳、2007年から一部区間は解禁)
中国 - 通行可能な排気量は未詳(通行を禁止した年度と解禁を年度は未詳、一部地域は通行を禁止)
ニカラグア - 350cc以上(通行を禁止した年度と解禁を年度は未詳)
フィリピン - 400cc以上(1968年から通行を禁止、2006年に解禁)
[編集] 日本における法規と社会背景
[編集] 法規上の区分
日本では道路交通法および道路運送車両法にて排気量に応じた区分が定められており、その区分により運転免許などの取り扱いが異なる。オートバイに関する法制度は度々変わっており、以下は2011年現在のものである。
| 排気量 | 50cc以下 | 50cc超 90cc以下 |
90cc超 125cc以下 |
125cc超 250cc以下 |
250cc超 400cc以下 |
400cc超 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 道路交通法 (車両区分) |
|||||||
| 道路交通法 (運転免許区分) |
大型二輪免許
|
||||||
|
普通二輪免許
|
|||||||
|
普通二輪免許(小型限定)
|
|||||||
| 原付免許 または普通免許等 |
|||||||
| 道路運送車両法 (ナンバープレート色) |
原動機付自転車[10]
|
軽自動車 (軽二輪自動車) [白] |
小型自動車(小型二輪自動車) [白+緑枠] |
||||
| 第一種[市町村により異なる] | 第二種乙[市町村により異なる] | 第二種甲[市町村により異なる] | |||||
| 高速道路の通行 |
不可
|
可(法定最高速度100km/h)
|
|||||
| 定期点検(整備) |
不要(制度がない)
|
必要
|
|||||
| 車検 |
不要(制度がない)
|
必要
|
|||||
| 一般道の法定最高速度 |
30km/h
|
60km/h
|
|||||
| 二人乗り |
不可
|
可(同乗者用の座席がないものは不可)
|
|||||
| 二段階右折 |
義務
|
禁止
|
|||||
| 最大積載量 |
30kg
|
60kg
|
|||||
モーターを原動機とする車両は定格出力により区分され、600W以下が原付第一種、800W以下が原付第二種乙、1000W以下が原付第二種甲、1000W超が軽二輪自動車となり、運転免許もこの区分に応じたものが適用される。
トライクは普通自動車の扱いであるため普通免許等が必要となるが、2009年9月1日より対象車種に限り、排気量に相応した二輪免許が必要となる[参 11]。
上述の表に示すナンバープレートの色は自家用の場合で、バイク便などの事業用は文字と地の色が入れ代わる(緑ナンバー)。125cc以下は自家用と事業用の区別はないが、警察などが保有する公用車には非課税標識として、一般の課税標識とは区別されたナンバープレートが交付される。形状や色は市区町村によって違う場合があり、第一種だから白とか第二種だから黄色や桃色とは限らず、一種でも桃色を採用している市町村もあり色だけで排気量を判断することはできない。課税標識は青文字の場合が多く、非課税標識は赤文字となる場合が多い。以前は郵便バイクも非課税だったが、民営化に伴い課税となった。
道路標識等における「自二輪」と言う表記は、大型自動二輪車および普通自動二輪車を意味している。
原動機を停止した状態で押して歩く場合は歩行者として扱われる。ただし、側車付き(トライクを含む)や、他の車両を牽引している場合は除外される。
[編集] AT限定免許
AT車に限定した普通自動二輪・大型自動二輪(650cc以下)のAT限定免許が2005年6月1日から施行されている。
免許の規定によるAT車(AT二輪車)とは、「オートマチック・トランスミッションその他のクラッチ操作を要しない機構がとられており、クラッチの操作装置を有しない自動二輪車」とされており、スクーターが主流だが、スーパーカブ110のような「クラッチレバーのないMT車」も運転できる。 AT限定大型自動二輪免許の条件欄には「0.650リットル以下のAT車に限る」と表記される。この免許区分が設定された時点では650ccを超えるスクーターが事実上存在しなかったため「AT限定大型二輪」は650cc以下限定とされ、ボスホス車などそれ以上の排気量を持つAT車に乗る場合は限定なしの大型二輪免許が必要となる。
AT車限定の二輪免許を取得させようとする自動車教習所および運転免許試験場は、クラッチの付いた大型・中型・小型、大型スクーター、中型スクーター、小型スクーターを用意する必要があり、スクーター購入の追加設備投資が必要となる。
原動機付自転車(原付、50cc以下)については、日本の法律上ATとMTの区分が存在しないため、AT限定免許は存在しない。
[編集] 経緯
自動車のAT限定免許が1991年に作られてからも、オートバイ(自動二輪)についてはAT車が普及していった後もしばらくは限定なしの免許が続いていた。
しかしオートバイのAT限定免許導入には要望があり、例えば2002年3月14日に、ヤマハ発動機の長谷川武彦会長(2002年当時)が警察庁宛に「二輪車のオートマチック車限定免許の導入について」という要望書を提出している。 その要望書によれば、日本国内の二輪車出荷台数は、小型自動二輪(または原付二種、51 - 125cc)で90%以上、軽二輪(126 - 250cc)クラスでも約35%であったとされ[11]、自動二輪車全体の出荷台数に占めるAT車の割合は約6割[12]にもなっていた。
これらを受けて警察庁はまず「道路交通法施行規則等の改正試案」[12]を作成し、一般から意見を募った。その後2004年(平成16年)5月に発表された「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令[13]」の中に「AT限定二輪免許の導入」が盛り込まれ、翌2005年6月より実施された。
[編集] 区分
AT限定免許の区分は下記の通りである。なお、参考として通常(AT限定なし)の免許区分も併記する。
| 排気量 | 50cc以下 | 50超125cc以下 | 125超400cc以下 | 400超650cc以下 | 650cc超 |
|---|---|---|---|---|---|
| AT限定なし免許 |
原付
|
普通自動二輪(小型限定) |
普通自動二輪
|
大型自動二輪
|
|
| AT限定免許 |
-(4輪AT限定でも可)
|
普通自動二輪
(小型AT限定) |
普通自動二輪
(AT限定) |
大型自動二輪
(AT限定) |
-
|
| 技能試験 | 技能試験無し | 90 - 125ccの車両で教習・試験が行われる(AT限定はスクーター) | 300 - 400ccの車両で教習・試験が行われる(AT限定はスクーター) | 600 - 650ccのATスクーターで教習・試験が行われる |
おおよそ750ccのMT車で教習・試験が行われる
|
| MTに乗るには | 技能試験無しでMTに乗れる |
AT限定解除審査に合格が必要(または教習所で下表< >の時限「技能教習の教習時間の基準」受講)
|
二輪全車両の運転可
|
||
[編集] 運転免許教習時間の基準
- 数字の前に「学科」がついているものは学科教習、数字のみは技能教習の時間
- < >部分は限定解除審査となり、免許センター(試験場)で免許証は新規に発行されず、限定解除の裏書となる。
- ---部分は、上位免許であり、所持免許で運転できるので、試験を受けることは出来ない。
| 現在の→ 所持免許 |
免許なし 原付 |
普通(中型・大型・大特) 四輪 |
AT小型 限定 |
小型 限定 |
AT普通 二輪 |
普通 二輪 |
AT大型 二輪 |
大型 二輪 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 受ける免許↓ | 学科26 | 学科1 | 学科0 | 学科0 | 学科0 | 学科0 | 学科0 | |
| AT小型限定 | 9 | 8 | --- | --- | --- | --- | --- | --- |
| 小型限定 | 12 | 10 | <4> | --- | 不明[注釈 1] | --- | 不明[注釈 1] | --- |
| AT普通二輪 | 15 | 13 | <5> | <3> | --- | --- | --- | --- |
| 普通二輪 | 19 | 17 | <8> | <5> | <5>[注釈 2] | --- | 不明[注釈 1] | --- |
| AT大型二輪 | 29 | 24 | 18 | 17 | 10 | 9 | --- | --- |
| 大型二輪 | 36 | 31 | 24 | 20 | 16 | 12 | <8>[注釈 3] | --- |
- ^ a b c 審査であるが、時限数が不明(段階的免許取得の順番として想定外のため)。
- ^ 普通二輪の限定解除で、AT限定普通二輪所持の場合、5時間が基準であるが、ATでない小型限定二輪免許所持の場合3時間となる。
- ^ 大型二輪の限定解除で、AT限定大型二輪所持の場合、8時間が基準であるが、ATでない普通二輪(又はATでない小型限定普通二輪)所持の場合は5時間となる。
- 所持免許がないか、原付免許、小型特殊のみの場合は、学科が26時間必要
- 普通(中型・大型・大特)四輪免許所持であれば、学科が1時間必要
- AT小型限定、小型限定以上の二輪免許があれば学科は不要
[編集] 二人乗り
日本では二人乗りでの運行には運転経験に基づいた条件が法規で定められており、一般道では大型二輪免許または普通二輪免許を受けていた期間が1年以上、高速道路では20歳以上で大型二輪免許または普通二輪免許を受けていた期間が合算3年以上が経過しないと二人乗り運行は認められない(側車付き二輪車を除く)。また、首都高速の一部など[参 12]では二人乗りが禁じられている。高速道路では側車付き二輪車を除き、二人乗りが禁止という状況が長年続いていたが、メーカーや業界団体のロビー活動を通じて、2005年4月1日より解禁された。
[編集] リサイクル
日本では二輪車は使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法)の対象外であるが、日本の大手4社が自主的な取り組みとして、2004年10月1日から二輪車のリサイクルを行っている[参 13]。
[編集] 排出ガス
日本では過去二輪車は、自動車排出ガス規制の対象外であったが、原付一種と軽二輪は1998年の新型車から、原付二種は1999年の新型車から平成10年度排出ガス規制の対象とされ、2008年9月には平成18年度排出ガス規制により輸入車も含む全車両に対して数値の強化が行われた。国土交通省によれば「世界で最も厳しいレベル」という[参 14]。
結果として四輪車と同様に、小排気量車で多く使われていた2サイクルエンジンが廃止され、キャブレターを廃して電子制御式燃料噴射装置を採用することにより車両価格が高騰するといった現象が起きている。
なお次期規制は、日本も加わっている「国連の車両等の世界技術規則協定」における二輪自動車の排出ガス測定法(WMTC = the World-wide Motorcycle Test Cycle)を基準として実施されることになり、2012年10月1日(輸入車は2013年9月1日)より適用される[参 15](第一種原動機付自転車の大半を除く) 。
[編集] 騒音規制
日本では騒音規制法によってオートバイの騒音が規制されていて、具体的な許容限度や測定方法は環境省や国土交通省からの告示によって示される。最新のものは「自動車騒音の大きさの許容限度」(平成12年2月21日 環境庁告示12号)ならびに「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示の一部を改正する告示」(平成20年12月26日 国土交通省告示第1532号)によるもので、平成22年度4月以降に製造される車両に適用されることから「平成22年規制」などと呼ばれる。平成22年規制では加速騒音規制値の上限が82dB(原動機付自転車は79dB)に設定され、マフラーを交換する場合は基準を満たしているか確認を受けることになる。なおマフラーについては性能確認や欧州基準適合などのマークがあれば基準を満たした扱いを受けるが、マークがないものについても公的機関で構造確認と共に騒音検査を受け加速騒音規制の基準を満たしていれば使用できる[参 16][14]。
日本のオートバイにおける騒音規制による数値は世界一厳しいものである[15]。試験方法の違いから一概に比較することはできないが、具体的に新車における加速騒音を欧州と比較すると原付一種で4デシベル、自動二輪で4-7デシベル厳しい[16]。このことから国産車の国内販売すら妨げられ、国外でしか販売されない車両がある。また規制の強化にあたり、日本国外のメーカーから車両を輸入する正規ディーラーも、最大出力を減少させた車両を『日本仕様』として発売するケースが増えている[17][18]。
なお次期規制として、騒音規制も排出ガス規制同様に世界基準への移行が検討されている[参 17]。
[編集] 三ない運動
1990年代以前、若年層にオートバイが普及するとともに無謀な運転による死亡事故が急増し、暴走族のようなオートバイを使った反社会的な行動をとる集団が増えた。このことから、オートバイそのものが社会問題と位置づけられる社会的背景が強まり、高等学校を中心とする教育現場では「オートバイを買わない・乗らない・免許を取らない」とする『三ない運動』が発生した。
しかし、理不尽な抑圧に対する反発から非行に走る例や、表だって免許取得や車両購入ができないことから盗難車を無免許で乗り回して事故を起こす例が指摘され、1990年頃から三ない運動の問題点が注目されるようになった。現在では安全教育を徹底することを前提としてオートバイを容認する教育機関が増えてきている。
[編集] ライダーの高年齢化
日本では1990年代半ばごろにバイクブームが沈静化し、少子化が社会現象として取り上げられるようになって以来、若年層のライダーが減少傾向にある一方で、中高年のライダーは増加する傾向にある[19]。こうした中高年ライダーの増加のなかで、若い頃に一度オートバイに乗ることをやめて再び乗るようになった例を「リターンライダー」と呼んだり、中高年になってから初めて乗り始めた例を「遅咲きライダー」と呼んだりする例が、メディアやユーザーを中心に広がっている。ライダーの高齢化が進行している。
[編集] 駐車場問題
ヨーロッパ各国ではオートバイの普及率が日本より少ないにもかかわらず、都市部の道路脇にオートバイ専用の駐車場所が設けられている例が少なくない[参 18]。これに対して日本では、2006年の駐車場法改正[20]まで原動機付自転車以外[21]のオートバイ用駐車場の整備が義務づけられておらず、オートバイ用駐車場はほとんど無かった。四輪車用の駐車場や自転車駐輪場を利用しようとしても、様々な理由により管理者等に断られる場合が多かった[参 19][参 20][参 21]。駐車場法改正によりオートバイも駐車場整備の対象となったが、その適用は施行後に計画あるいは作られた施設などが対象で、駐車場不足は未だに解消できていない。例えば、2005年に実施された日本二輪車協会(NMCA)の調査によると、民間駐車場の78.6%がオートバイの駐車は"お断り"で、オートバイ専用駐車枠を設けている民間駐車場は500件中28件(5.6%)にとどまっている[参 22]。また、東京都道路整備保全公社の2006年時点での調査によれば、東京都心22区におけるオートバイの駐車実態が1万3000台に対して、その駐車供給量は約1000台分しかない[参 23]。
こうした実情の背景には駐車場法の不備だけでなく、オートバイは占有面積が少なく邪魔になりにくい上、悪質な場合でない限り駐車違反の取締りから実質的に除外されることが多く、オートバイ用駐車場の必要性が軽んじられてきたことも起因していた。ところが、2002年の交通バリアフリー法施行から、特に歩道上に駐車されたオートバイに対する取締りが徐々に目立つようになり[参 24]、2006年6月1日の道路交通法改正[22]からオートバイの駐車違反も四輪車と同様に厳しく取締るようになって、オートバイ用駐車場の不足が改めて深刻なものとして顕在化した。警視庁や警察庁が公開する首都圏におけるオートバイの駐車違反摘発件数によると、法改正直前の2005年までは緩やかに推移していたのに対し、2006年は2倍を超え、2007年には5倍以上の26万6806件となっている。[参 25]こうした傾向は全国的にも同様で、改正道路交通法施行前の2005年にの摘発件数は全国で約11万件だったのに対し、2006年には改正道路交通法施行後の半年間(6月から12月まで)だけで約23万4千件、翌2007年には1年間で約52万1千件と急増している[参 26][参 27]。一方で、四輪車を含めた全体での摘発件数は、2007年に全国で300万4383件、前年比105万595件(53.8%)の増加であり[参 28]、オートバイの摘発件数だけが急速に増加していることがわかる。
このオートバイ用駐車場の深刻な不足は駐車監視員制度の導入以前から指摘されていた[参 29]が、2009年5月現在もあまり改善されないまま継続中である[要出典]。
[編集] 参考文献
- ^ 富塚清『日本のオートバイの歴史。- 二輪車メーカーの興亡の記録。』三樹書房、2001年3月10日 新訂版初版発行、ISBN 978-4895222686 (p7)
- ^ 大久保力『百年のマン島 - TTレースと日本人』三栄書房、2008年、ISBN 978-4-7796-0407-2 (p179, p180)
- ^ 富塚清「日本のオートバイの歴史」
- ^ a b 交企発第434号交指発第590号 (PDF) 石川県警察 平成2年12月26日
- ^ Sarkar S, Peek C, Kraus JF. "Fatal injuries in motorcycle riders according to helmet use." J Trauma. 1995 Feb;38(2):242-5. PMID 7869444
- ^ 平成18年中の交通事故の発生状況について
- ^ Stella J, Cooke C, Sprivulis P. "Most head injury related motorcycle crash deaths are related to poor riding practices." Emerg Med (Fremantle). 2002 Mar;14(1):58-61. PMID 11993836
- ^ Kraus JF, Peek-Asa C, Cryer HG. "Incidence, severity, and patterns of intrathoracic and intra-abdominal injuries in motorcycle crashes." J Trauma. 2002 Mar;52(3):548-53. PMID 11901334
- ^ 月刊オートバイ 2008年1月号「ライダーの「胸部」保護を考える」pp.203-210
- ^ (交通安全の模範例となる二輪車 - 二輪車の利用環境改善と安全走行のために | JAMAGAZINE 2007年5月号より)
- ^ 三輪バイク:9月から要二輪免許 ヘルメット着用も 毎日jp・毎日新聞 2009年6月11日
- ^ 首都高速道路における二人乗り規制範囲
- ^ 自動車リサイクル促進センター内の二輪車のリサイクルについて
- ^ 二輪車の排出ガス基準を強化しました(国土交通省)
- ^ 国土交通省・二輪自動車等の排出ガス測定方法(WMTC)を導入しました - 2010年10月28日公示
- ^ 自動車等のマフラー(消音器)に対する騒音対策の強化について(pdfファイル) (国土交通省)
- ^ 排ガス・騒音規制に世界基準が導入されるようになります。 - NMCA日本二輪車協会・お知らせ2011年7月30日
- ^ 欧州各都市に見られる二輪車駐車事情 | JAMAGAZINE 2006年7月号
- ^ 都市交通における二輪車の役割に関する研究 | JAMAGAZINE 2005年6月号-表2「二輪駐車場における自動二輪車の受け入れ状況」
- ^ 問題解決へ動き出すか、二輪車駐車問題 | JAMAGAZINE 2006年7月号-「社会から今までまともに扱われなかったバイクの存在」
- ^ 問題解決へ動き出すか、二輪車駐車問題 | JAMAGAZINE 2006年7月号-「法の狭間に落ち込んでいた自動二輪の駐車問題」
- ^ 二輪車駐車環境の向上をめざして(調査報告書)
- ^ 問題解決へ動き出すか、二輪車駐車問題 | JAMAGAZINE 2006年7月号-「早急に考えられるべき、附置義務駐車場の増加」
- ^ 問題解決へ動き出すか、二輪車駐車問題 | JAMAGAZINE 2006年7月号-「やがて交通バリアフリー法に行き当たる」
- ^ 10年で68倍 東京都の二輪車駐車違反 | Response. (Web魚拓)
- ^ asahi.com:二輪の駐車違反急増、過去最多 規制強化と駐輪場不足 -関西 (Web魚拓)
- ^ 二輪の駐車違反、過去最高52万1千台 駐輪場不足響く(Web魚拓)
- ^ 平成19年中の交通死亡事故の特徴及び 道路交通法違反取締り状況について - 警察庁
- ^ 国会質問会議録 2004.04.08 道路交通法改正案への質疑 - 民主党 松井孝治 公式HP
[編集] 脚注
- ^ 「ガソリン機関による動力で走る二輪車」(出典:大辞泉)
- ^ "bi"は「2」を意味する接頭辞で"cycle"は「輪」輪を示す。いずれもラテン語に由来する。
- ^ 重篤なものとしては大腿部の動脈を損傷した場合などがある
- ^ 2006年から、北米生産のアメリカンツアラー「ゴールドウィング」を皮切りに装備された。
- ^ C1に装備して発売し、ヨーロッパの一部の国ではヘルメット着用義務の例外として扱われる車種となった。
- ^ ヘルメットリムーバーまたエアジャッキの要領でヘルメットを頭から抜くツールも開発されており、ヘルメットリムーバーにおいてはロードレースなどの競技会で義務化されつつある。
- ^ European Agenda for Motorcycle Safety (PDF)
- ^ 世界二輪車概況2005年版(ホンダ)
- ^ 주요국별 고속도로 진입 여부(主要国別高速道路の進入可否、韓国語)大林(テリム)自動車(2005年)
- ^ ナンバープレートの色は自治体によって異なる場合がある。
- ^ 日本自動車工業会 JAMAGAZINE 2002年4月号
- ^ a b 道路交通法施行規則等の改正試案
- ^ 道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令
- ^ 二輪の生産終了が止まらない〜排出ガス規制・騒音規制の影響 - 日経トレンディネット2009年4月28日
- ^ 二輪の生産終了が止まらない〜排出ガス規制・騒音規制の影響 - 日経トレンディネット2009年4月28日
- ^ 日本自動車工業会・JAMAGAZINE 2008年12月号
- ^ 二輪の生産終了が止まらない〜排出ガス規制・騒音規制の影響 - 日経トレンディネット2009年4月28日
- ^ [1] -ドゥカティジャパンは日本仕様の諸元における騒音規制の影響を公表している。
- ^ 2005年での平均年齢は42.7歳(自工会調べ)
- ^ 5月31日公布、11月30日施行
- ^ 原動機付自転車は自転車法によって自転車と共に駐車場所(駐輪場)の整備が、早い時期から義務づけられていた。
- ^ 駐車監視員制度の導入による駐車違反取締り業務の一部を民間業者へ委託した。
[編集] 関連項目
- 自動車
- スクーター
- オート三輪
- トライク
- 特定自動二輪車
- 全地形対応車
- モペット
- サイドカー
- オートバイ用品
- 自転車
- サスペンション
- フレーム (オートバイ)
- 単気筒エンジン
- ポケットバイク
- 書類チューン
- モーターサイクル・ダイアリーズ
- 三ない運動
- トレールバイク
- オートバイ製造者の一覧 - スクーター製造者の一覧
- オートバイ用オイル
- オートバイ競技
[編集] 外部リンク
- 日本二輪車協会 (NMCA)
- 国際モーターサイクリズム連盟 (FIM)
- 日本モーターサイクルスポーツ協会 (MFJ)
- 全国二輪車用品連合会(JMCA)
- 全国二輪車安全普及協会(二普協)
- 全国オートバイ協同組合連合会
- 自動車リサイクル促進センター 二輪車リサイクルについて
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