収入印紙

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
印紙から転送)
移動: 案内検索
聖徳太子を描く収入印紙(1948年発行)

収入印紙(しゅうにゅういんし)とは、国庫収入となる租税手数料その他の収納金の徴収のために、財務省が発行する証票である。日本においては略して印紙と呼ばれる場合が多い。

概要[編集]

用途は印紙税納付、政府に対する各種許可申請の際の手数料(所管官庁の窓口で直接手続きする際には現金納付出来る)、罰金訴訟費用、不動産登記における登録免許税の支払いなど。また、各種国家試験司法試験、司法書士試験、測量士測量士補試験、土地家屋調査士試験、公認会計士試験、税理士試験等)の受験手数料の支払いに利用されるが、外部委託により実施されている国家試験(電気主任技術者無線従事者工事担任者等)では、試験合格後の免状等の交付申請の際に用いられる。

額面は1・2・5・10・20・30・40・50・60・80・100・120・200・300・400・500・600・1,000・2,000・3,000・4,000・5,000・6,000・8,000・10,000・20,000・30,000・40,000・50,000・60,000・100,000円の31種類発行されている。手数料の額と同じになるように1円から用意されており、最高額は10万円である。

印紙税納付のための印紙を誤って貼付した場合は、剥がさずに誤納付として所轄の税務署に還付を請求することとなっている。一方、諸手数料の支払いのための印紙を誤って書類に貼った場合は還付の対象とはならない。また、手数料の支払いの場合、貼付する印紙の金額が納入すべき額と相違していると、不足の場合はもちろん多過ぎる場合も「書類不備」の扱いとなるため、やむを得ず手数料よりも多めの金額を貼る場合は、申請者が書類に「過納承諾」と朱記捺印しておく必要がある(但し余剰額は返戻されない)。

収入印紙は、郵便局法務局登記所)の他に「収入印紙売りさばき所」の指定を受けた店(郵便マークの下向き棒の左側に「切手 はがき」、右側に「収入印紙」と書かれた看板を掲げている)で購入することができる。一部のコンビニエンスストアでも販売している。

収入印紙以外の印紙等[編集]

外観上は収入印紙に似ている各種の印紙が存在するが、それぞれの印紙は収納先や目的が異なり相互に互換性はなく、指定されている種類の印紙を貼付する必要がある。

収入証紙
道府県への手数料などの納付に際して用いられる「収入証紙」がある(東京都のみ2011年3月31日で通用停止)。収納先が違う為双方に互換性はなく(印紙は財務省、証紙は都道府県会計管理者)、「収入印紙」を都道府県への、「収入証紙」を国への支払いに用いる事は出来ない。身近な例としては、日本国内での旅券の発給は国の法定受託事務として都道府県が行っているため、旅券発給申請書には、国の収入印紙及び都道府県の収入証紙を、それぞれ指定された額だけ貼付することが定められており、一方で他方を代用することは出来ない。
特許印紙
特許実用新案登録、意匠登録、商標登録等に際して特許庁に各種料金を納付するために、特許印紙が用いられる。収入印紙を代わりに使用することはできない。
自動車検査登録印紙
車検や各種登録申請の際に、国に手数料を納付するためのもの。2008年1月4日から手数料の納付は、自動車検査登録印紙自動車審査証紙自動車検査独立行政法人の証紙)との2種類によることとなり、相互に流用することができない。
自動車重量税印紙
車検の際に、自動車重量税印紙を所定の用紙に貼付けて自動車重量税を納税するために用いられる。
雇用保険印紙
雇用保険法における、日雇労働被保険者が所有する手帳に印紙を貼ることによって保険料を納付するために用いられる。日雇いの項目も参照。
健康保険印紙
健康保険法における、日雇特例被保険者が所有する手帳に印紙を貼ることによって保険料を納付するために用いられる。日雇健康保険の項目も参照。
退職金共済証紙
中小企業退職金共済法における、特定業種退職金共済被共済者が所有する手帳に証紙を貼ることによって掛金を納付するために用いられる。建設業退職金共済(建退共)、清酒製造業退職金共済(清退共)、林業退職金共済(林退共)がある。勤労者退職金共済機構の項目も参照。
登記印紙
2010年度まで、登記事項証明書等の請求の際などの手数料の支払いには、「登記印紙」が使用されていた。これはこの手数料が、法務省管轄する登記特別会計の歳入だったためである。廃止され一般会計に組み込まれたため、2011年4月1日以降は収入印紙での支払いとなった。既に発行された登記印紙は当面は有効である。

消印[編集]

消印済の収入印紙

課税文書に収入印紙を貼付してから文書と印紙にまたがって押印(割印)または署名するという行為(印紙税法上は「印紙を消す」という)を消印という。課税文書に貼付した収入印紙を剥がして再利用する脱税行為を防止するため、法令で印紙を消す方法が規定されている。

印紙税法第8条(印紙による納付等)
2 課税文書の作成者は、前項の規定により当該課税文書に印紙をはり付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない。
印紙税法施行令第5条(印紙を消す方法)
課税文書の作成者は、法第八条第二項の規定により印紙を消す場合には、自己又はその代理人(法人の代表者を含む。)、使用人その他の従業者の印章又は署名で消さなければならない。
消印せずに申請する場合
各種の申請様式で「印紙は消印しないこと」と記載する場合があり、その場合は申請者が消印してはならない。これは申請書を受理した官公庁などにおいて、担当官吏が印紙による料金の納付の事実を確認してから職務で消印するためである。

法的保護[編集]

印紙犯罪処罰法
印紙犯罪処罰法(明治42年4月28日法律第39号)は、行使の目的をもって政府の発行する印紙を偽造・変造する行為等を処罰する。
印紙等模造取締法
印紙等模造取締法(昭和22年12月16日法律第189号)により、政府の発行する印紙に紛らわしい外観を有する物を製造・輸入・販売・頒布・使用した者は、1年以下の懲役又は5万円以下の罰金に処せられる(同法1条1項、2条)。ただし、使用目的を定めて財務大臣の許可を受けたものの製造・輸入・販売・頒布・使用には適用されない(同法1条2項)。

収入印紙と消費税[編集]

収入印紙は納税のための証紙であり、それ自体が「物」の形態をとっている。[要出典]そのため、消費税法上、収入印紙の取引も課税の対象とはなるが、郵便局やその他の売り渡し場所で行われた取引については消費税が課されない(同法別表第一 四号イ)。逆を返せば、それ以外の場所(金券ショップなど)での取引については、収入印紙であっても消費税が課されることとなる[1]

脚注[編集]

  1. ^ 消費税法基本通達 6-4-1 国税庁、2013年10月3日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]