南海8000系電車 (2代)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
南海8000系電車(2代)
南海本線の普通車で運用する8000系
南海本線の普通車で運用する8000系
編成 4両編成
営業最高速度 110 km/h
設計最高速度 120 km/h
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度 3.7 km/h/s(常用最大)
4.0 km/h/s(非常)
編成定員 588名
車両定員 先頭車142名
中間車152名
全長 先頭車20,765mm
中間車20,665 mm
全幅 2,820 mm
全高 先頭車4,140mm
中間車4,050 mm
車体材質 ステンレス
編成質量 127.0t
軌間 1,067(狭軌) mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
編成出力 1,440kW
主電動機 かご形三相誘導電動機
三菱電機製MB-5091A2形
主電動機出力 180kW
歯車比 98:15 (6.53)
駆動装置 WNドライブ
制御装置 VVVFインバータ制御
IGBT素子
日立製作所製VFI-HR-1420Q形
台車 モノリンク式ボルスタレス台車
住友金属工業(現・新日鐵住金)製SS-177M形・SS-177T形
制動方式 三菱MBSA回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ全電気ブレーキ
保安装置 南海型ATS
製造メーカー 東急車輛製造
総合車両製作所横浜事業所

南海8000系電車(なんかい8000けいでんしゃ)は、南海電気鉄道通勤形電車。4両編成13本の計52両が在籍。

登場時のキャッチコピーは、「やさしいがうれしい」。

概要[編集]

本系列は老朽化が進んでいる南海線用の7000系を置き換える目的で導入された。走行機器類の基本設計や車内設備は1000系を踏襲しており、1000系編成との相互連結も可能である。2001年旧8000系が車両機器改造により6200系に編入されたため、車両番号は空き番となっていた8000番台を使用することとなった。

8001編成・8002編成は2007年10月に東急車輛製造で8両が落成し、同年10月30日から10月31日にかけて未装飾の状態で甲種車両輸送が行われた。そして同年11月3日に千代田検車区で開催された「南海電車まつり」において未装飾の状態で公開された。

また、2009年には2次車の8003編成・8004編成も東急車輛製造で8両が落成し、同年3月2日から3月4日にかけて甲種車両輸送が行われた。その後、2010年には8005編成が4両で、2012年には8006編成・8007編成がそれぞれ東急車輛製造で、2013年には8008編成・8009編成が、2014年には8010編成~8013編成が総合車両製作所横浜事業所で落成し、甲種車両輸送が行われた。

8001編成は装飾後の2007年12月4日から、8002編成は未装飾のままで同年12月中旬より、試運転を開始した。同編成は側面に広告ラッピングとして、2008年1月30日まで広告を募集していた。2008年のデビューから約半年間は、通常塗装の上に日立製作所Wooo」の部分ラッピングを施していたが、同年10月には通常塗装に戻されている。8001編成は2008年3月26日、8002編成は同月31日に運行を開始している。2009年3月31日から8003・8004編成が、2010年12月からは8005編成がそれぞれ営業運転を開始している。

運転開始から主に4両編成の普通列車で運用されている他、1000系2両編成との併結による優等列車運用を含めた6両編成での運用もある。

また、2011年9月1日より12000系と連結して特急「サザン」の自由席車両に充当されている[1]。なお、特急「サザン」で運用される場合には車内自動放送による案内がある[2]

本系列には女性専用車両が設定されているが、現時点では8000系単独や1000系4両編成との併結による8両編成に組成される予定がないため、機能はしていない(但し2014年9月から他系列の8両編成が検査入場などで本数が不足するときは稀に本系列による8両編成も組成している)。

車体[編集]

車体は現存車両をベースとしながらも、東日本旅客鉄道(JR東日本)E231系の部品を一部取り入れた東急車輛製造標準の20m級片側4扉のステンレス製軽量構造で、側面と屋根部分の構体は雨樋部分をスポット溶接で接合する設計が採用された。全体は無塗装とし、アクセントとして配されるブルーとオレンジの帯はフィルム張りでなく塗装とした。先頭車前面には1000系と同様に貫通扉が設置されている。前照灯は貫通扉上部に配されている。8003編成・8004編成では貫通扉がグレー塗装となり、さらに8005編成は前面貫通路の窓の大きさが若干大きくなった。

車体幅・車体長は南海の在来車と同一であるが、客用扉の中心間隔は4,820mmに変更された。車体幅は2,820mmである。窓配置はdD2D2D2D1(d:乗務員扉、D:客用扉)または1D2D2D2D1であるが、客用扉間は客室側から見て右側が固定窓で左側が下降窓、車端部は固定窓としている。また、車端部の窓は1000系に比較すると横幅が狭くなっている。窓ガラスには紫外線 (UV) カットガラスを使用するが、客室側窓の巻き上げカーテンは存置されている。

前面および側面の種別・行先表示器は南海では初めてフルカラーLED・白色LEDが採用された。側面表示器は日本語英語を3秒サイクルで交互表示する。なお、特急「サザン」で運用される場合は前面もスペースの関係から種別表示側が日本語と英語による交互表示となり、側面では行先の横に(自由席)と案内される。英語では上段に行先、下段に「Non-reserved」と表示される。7000系・7100系では「サザン」の横に南十字星の星マークが配されるが、本系列では星マークの代わりに縦書きで「特急」の種別を表示する。さらに、側面では関西空港行きに接続する場合は関西空港接続(泉佐野乗り換え)が行先と交互に表示される。

車内[編集]

定員着席促進のためのスタンションポールなど、車内には大型の手すりが多数設置されている。貫通路幅を775mmに拡張することや床面の高さを1000系の1,170mmから1,150mmに低くすることでホームとの段差を縮小するなどのバリアフリー推進が図られている。編成定員は588名である。

難燃性基準の改正により従来の樹脂製の蛍光灯カバーが使用できなくなったことに対して、カバーを廃止したため、客室内蛍光灯を露出した直接照明とし、本数も削減している(片側8本、両側合わせて16本で7000系などとほぼ同じ配置)。網棚はパイプで天井中央部の素材は繊維強化プラスチック (FRP) 製に変更された。ラインデリア(補助送風機)整風板は1000系のような車体全長への設置とは異なり、要所要所に設置されたタイプに変更された。8008編成からは、LED照明が採用され、8008編成と8010編成以降では直接照明、8009編成では間接照明となっている。 バリアフリー対応として貫通路幅を775mmに拡張し、座席は車端部も含めてすべて片持ち式ロングシートで、南海では2000系1 - 4次車以来のオールロングシート車となった。座席端部の仕切りは大型FRP製である。座席モケットは茶色であるが、優先座席は青色として識別を図っている。1人あたりの座席幅は従来の455mmから460mmへと拡大した。クッション材はSバネ入りポリエステル綿である。7人掛け座席の中間部には2本ずつスタンションポールを設置した(1両につき中間車14本、先頭車両のみ12本)。

つり革についても優先座席部分については他の部分の白色に対し、オレンジ色を採用することで識別を図っているが、つり革の形は従来車と同じ○型になっている。

客用扉の室内側は化粧板を廃止し、ステンレス無塗装仕上げとされた。戸当たり部には黄色のマーキングテープが高さいっぱいに貼付されるとともに、床面部分は黄色とされた。またドアチャイムとドア開閉ランプも装備されている。車内案内表示器はLED1段スクロール式で、各車両に4基が千鳥配置で設置されている。車両間の貫通扉もステンレス製無塗装仕上げであり、傾斜式戸閉方式機構の引き戸を採用した。

運転台主幹制御器は1000系と同等の横軸2ハンドル式デスクタイプで、計器類は1000系6次車に準じたアナログ式である。

冷房装置は冷凍能力23.26kW (20,000kcal/h) の集約分散式CU-732を各車2基搭載する。これは2300系と同一だが、冷媒代替フロンを採用した点が異なる。冬期の暖房補助用として電気ヒーターを組み込んでいる。 

走行機器など[編集]

主回路システムは日立製作所製のIGBT素子によるVVVFインバータ制御装置、VFI-HR-1420Q形である。

回生ブレーキおよび全電気ブレーキ機能を有し、両先頭車に各1基搭載される。1基のインバータ装置で4個の電動機を駆動する速度センサレスベクトル制御1C4M方式である。

主電動機三菱電機かご形三相誘導電動機MB-5091-A2形で、定格出力は180kWである。

パンタグラフはシングルアーム式の東洋電機製造製PT-7144-B形で、両先頭車の難波寄りに各1基搭載される。

冷房装置などのサービス機器に電力を供給する補助電源装置はPWM制御2レベルIGBT静止形インバータを採用し、難波寄り先頭車のモハ8001形と中間付随車サハ8851形に搭載されている。

台車住友金属工業(現・新日鐵住金)製SS177M形(電動台車)およびSS177T形(付随台車)モノリンク式ボルスタレス台車で、ホイールベースは2,100mmである。基礎ブレーキ装置は従来通勤車のシリンダー式から片押し式ユニットブレーキに変更された。

また、一部に空転防止のため、セラミック噴射装置が取り付けられている。

ブレーキシステムは遅れ込め制御を有する回生併用電気指令空気式であり、1000系と共通である。

空気圧縮機は南海で初めてスクリュー式を採用し、和歌山市・関西空港寄りのモハ8101形と中間付随車のサハ8801形に搭載される。

編成[編集]

 
← 難波
和歌山市 →
 
形式 モハ8001
(Mc1)
サハ8801
(T1)
サハ8851
(T2)
モハ8101
(Mc2)
製造年
機器類 CONT, SIV CP SIV CONT, CP
車両番号 8001 8801 8851 8101 2007年
8002 8802 8852 8102
8003 8803 8853 8103 2009年
8004 8804 8854 8104
8005 8805 8855 8105 2010年
8006 8806 8856 8106 2012年
8007 8807 8857 8107
8008 8808 8858 8108 2013年
8009 8809 8859 8109
8010 8810 8860 8110 2014年
8011 8811 8861 8111
8012 8812 8862 8112
8013 8813 8863 8113
備考     弱冷車  

凡例 

  • CONT:主制御器 (1C4M)
  • SIV:補助電源装置(静止形インバータ)75kVA
  • CP:空気圧縮機

今後の予定[編集]

新3か年経営計画堅進126計画について(平成20年度 - 22年度) (PDF) (南海電気鉄道公式ニュースリリース)では、2010年度までに省エネ型鉄道車両42両を製造予定とある。これは8000系と12000系の合計である。[要出典]

2008年度には8両が製造された。これらの編成は2009年3月2日から3月4日にかけて、横須賀線根岸線東海道本線城東貨物線(おおさか東線)関西本線和歌山線紀勢本線を経由した甲種輸送和歌山市駅に搬入された。陸送を用いない、また同駅を経由した新型車両の輸送は1000系1051編成以来8年ぶりとなる。

2013年度は16両が導入されている[3]。そのうち前半の4両編成2本8両が、2014年3月4日から3月6日にかけて、後半の4両編成2本8両が同年3月18日から20日にかけて総合車両製作所横浜事業所より和歌山市まで甲種輸送された[4]

2014年度は20両の製造が予定されている。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ イカロス出版『私鉄特急年鑑 2011 - 2012』2011年発行
  2. ^ 英語放送もあり。南海におけるワンマン列車以外での通勤車での車内自動放送の使用は、初めてである。なお、放送内容は停車駅・次駅案内・乗換案内で、これに加えて車掌による接続等の案内が補足される。
  3. ^ 南海電鉄、年度内に省エネ車両16両導入-22億円投資 - 日刊工業新聞
  4. ^ 甲種鉄道車両輸送計画表 - 交通新聞社 鉄道ダイヤ情報 No.359 p.124

参考文献[編集]

  • 南海電気鉄道(株)鉄道営業本部車両部車両課 福原栄二「新車ガイド 南海電気鉄道8000系」『鉄道ファン』2008年4月号(通巻564号)p.62 - 66、交友社

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

公式外