南洋群島の警察

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南洋諸島の警察(なんようしょとうのけいさつ)は、日本統治時代南洋諸島委任統治する南洋庁が設置した警察である。

トラック島現地人による巡警(中央・右)

他の外地と比べて人口が少ない地域であるため、警察組織も小規模であった。民情も良く、内地から赴任した者は「暇で暇でしょうがなかった。現地の子供に唱歌を教えるのが日課だった。釣りだけは上手くなった」などと述べていた。

南洋庁警察では、長らく独自の教育機関を有さなかったため、警察官の任用に際しては、他地域の現職または元警察官を採用し、特別な実務研修を行うことなく、そのまま任務に就かせる状態であった。1939年(昭和14年)になって警察練習所が設置され、ようやく教育・研修体制が整うことになった。

南洋庁警察では、日本の警察の紋章として有名な旭日章ではなく、南洋庁と共通の「椰子葉桜花章」という独自の意匠の紋章を使用していた。

1945年(昭和20年)8月の終戦により、南洋庁は解体され、南洋庁警察は太平洋諸島信託統治領の警察に引き継がれた。

沿革[編集]

  • 1921年(大正11年) 南洋庁を設置。内務部警務課を置く。
  • 1924年(大正14年) 部制を廃止。警務課を置く。
  • 1936年(昭和11年) 部制を復活。内務部警務課を置く。
  • 1939年(昭和14年) 南洋庁警察練習所を置く。
  • 1943年(昭和18年) 内政部警務課を置く。

警察官署[編集]

南洋庁警察では、独立した「警察署」は置かれず、各支庁に警務係(係長は警部)として存在した。

1931年(昭和6年)時点

  • サイパン支庁警務係
  • ヤップ支庁警務係
  • パラオ支庁警務係
  • トラック支庁警務係
  • ポナペ支庁警務係
  • ヤルート支庁警務係

参考文献[編集]

  • 外務省条約局法規課『委任統治領南洋群島 前編』外務省、1962年
  • 外務省条約局法規課『委任統治領南洋群島 後編』外務省、1963年

関連項目[編集]