協同飼料事件

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最高裁判所判例
事件名  証券取引法違反、商法違反
事件番号 昭和63(あ)1102
平成6年7月20日
判例集 刑集第48巻5号201頁
裁判要旨
 一 証券取引法(昭和六三年法律第七五号による改正前のもの)一二五条二項一号後段は、有価証券の相場を変動させるべき一連の売買取引等のすべてを違法とするものではなく、人為的な操作を加えて相場を変動させるにもかかわらず、投資者にその相場が自然の需給関係により形成されるものであると誤認させて有価証券市場における有価証券の売買取引に誘い込む目的をもってする、相場を変動させる可能性のある売買取引等を禁止するものである。
二 証券取引法(昭和六三年法律第七五号による改正前のもの)一二五条二項一号後段違反の罪及び同条三項違反の罪は、刑法六五条一項にいう身分によって構成すべき犯罪ではない。
第三小法廷
裁判長 千種秀夫
陪席裁判官 園部逸夫可部恒雄大野正男尾崎行信
意見
多数意見 全員一致
参照法条
証券取引法80条2項,証券取引法(昭和63年法律75号による改正前のもの)107条,証券取引法(昭和63年法律75号による改正前のもの)125条2項1号後段,証券取引法(昭和63年法律75号による改正前のもの)125条3項,証券取引法(昭和56年法律62号による改正前のもの)197条2号,刑法65条1項
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協同飼料事件(きょうどうしりょうじけん)とは大手飼料メーカー協同飼料の株を巡る事件。

協同飼料の副社長と経理部長が、証券会社支店長ら5人と共謀し、増資の際に約710万株を買い付けて株価をつりあげ、株価の高値維持のため公募直前まで買い支えた[1]

しかし、この株価操作が世間に発覚し、1973年3月に法人「協同飼料」と協同飼料副社長と同社経理部長と証券会社支店長ら5人の計7人が証券取引法違反と商法違反で起訴された[2]。三証券会社の法人としての処分は起訴猶予となった[3]

1994年7月、最高裁は変動操作罪、安定操作罪、自己株式取得罪を認め、7人全員の有罪が確定した[3]。最高裁の株価操作に関する重要判例となった[3]

脚注[編集]

  1. ^ 渡辺文幸「検事総長」(中公新書)164-165頁
  2. ^ 渡辺文幸「検事総長」(中公新書)164頁
  3. ^ a b c 渡辺文幸「検事総長」(中公新書)165頁

関連項目[編集]