十三人の刺客
| 十三人の刺客 | |
|---|---|
| 監督 | 工藤栄一 |
| 脚本 | 池上金男 |
| 出演者 | 片岡千恵蔵 里見浩太朗 嵐寛寿郎 内田良平 |
| 音楽 | 伊福部昭 |
| 撮影 | 鈴木重平 |
| 編集 | 宮本信太郎 |
| 配給 | 東映 |
| 公開 | |
| 上映時間 | 125分 |
| 製作国 | |
| 言語 | 日本語 |
| allcinema | |
| キネマ旬報 | |
| IMDb | |
『十三人の刺客』(じゅうさんにんのしかく)は、東映京都撮影所製作、工藤栄一監督、片岡千恵蔵主演により、1963年(昭和38年)12月7日に封切られた日本映画の時代劇である。実録タッチの作風による集団抗争時代劇として有名で、約30分に及ぶクライマックスの13人対53騎の殺陣シーンは、時代劇映画史上最長とされた[1]。
2010年には同名のリメイク映画が公開され、また本作の脚本を元にした同名の小説が刊行されるなど、さまざまなリメイク作品や関連作品が生まれている。
目次 |
[編集] あらすじ
弘化元年(1844年)、明石藩江戸家老間宮図書が、筆頭老中土井利位邸の門前で訴状と共に自決した。これがきっかけとなり、明石藩主松平斉韶の異常性格と暴虐ぶりが幕閣の知るところとなったが、将軍徳川家慶の弟である斉韶を幕閣は容易に処罰できかねていた。しかし、事情を知らない将軍が斉韶を老中に抜擢する意向を示したことから、老中土井は暴君斉韶の密かなる排除を決意する。利位の命を受けた旗本島田新左衛門は13人の暗殺部隊を編成し、参勤交代により帰国途上の斉韶一行を中山道落合宿で待ち構え、襲撃する。
[編集] スタッフ
- 監督:工藤栄一
- 企画:玉木潤一郎、天尾完次
- 脚本:池上金男(池宮彰一郎)
- 撮影:鈴木重平
- 音楽:伊福部昭
- 美術:井川徳道
- 装置:西川春樹
- 装飾:川本宗春
- 録音:小金丸輝貴
- 照明:増田悦章
- 編集:宮本信太郎
- 語り手:芥川隆行
[編集] キャスト
- 刺客
- 島田新左衛門(直参旗本):片岡千恵蔵
- 島田新六郎:里見浩太朗
- 倉永左平太(与力):嵐寛寿郎
- 三橋軍太夫(倉永配下):阿部九州男
- 樋口源内(三橋配下):加賀邦男
- 堀井弥八(三橋配下):汐路章
- 日置八十吉(倉永配下):春日俊二
- 大竹茂助(倉永配下):片岡栄二郎
- 石塚利平(倉永配下):和崎俊哉
- 平山九十郎(島田家食客):西村晃
- 佐原平蔵(浪人):水島道太郎
- 小倉庄次郎(九十郎の弟子):沢村精四郎
- 木賀小弥太(木曽落合宿郷士):山城新伍
- 明石藩
- 松平左兵衛督斉韶(藩主):菅貫太郎
- 鬼頭半兵衛:内田良平
- 浅川十太夫:原田甲子郎
- 丹羽隼人:北龍二
- 小泉頼母:明石潮
- 出口源四郎:有川正治
- 仙田角馬:小田部通麿
- 間宮図書(江戸家老):高松錦之助
- 間宮織部:神木真寿雄
- 間宮小浪:高橋漣
- 大野多仲:堀正夫
- 幕府
- 尾張藩
- その他
[編集] 特色
集団抗争時代劇は1963年7月に封切られた『十七人の忍者』(長谷川安人監督)によって生まれ、その年の暮れに公開された『十三人の刺客』によってジャンルとして確立されたといわれている。この両作品とも、天尾完次の企画によるものである。ただし集団抗争時代劇という言葉は、時代劇映画全般に適用されるものではなく、あくまでも東映京都撮影所で作られる時代劇のみに用いられたものである。集団抗争時代劇の特色としては、まず史実に基づいたリアリズム・タッチであること、モノクロ映像によってそのリアリズムを引き立てること、そして権力闘争の結果として集団による乱闘劇がクライマックスに用意されることが挙げられる。
本作の場合、「明石藩主松平斉韶暗殺」はフィクションではあるものの、その根底には徳川家斉の大御所時代が招いた弊害という史実が据えられている。こうした集団抗争時代劇が生まれた背景には、今井正監督の『武士道残酷物語』や、松竹作品で小林正樹監督『切腹』などのリアリズム時代劇のヒットがあった。また、テレビの登場によって映画界全体が衰退する中で、スターを大量に抱える撮影所が彼らを有効活用するために『忠臣蔵』のようなオールスターキャストによる集団劇を模索した結果であるという説もある。
クライマックスである、罠を仕掛けられた木曽落合宿での13人対53人の殺陣シーンは、映画のテーマである「平和な時代に人を斬ったことのない侍が刀を持った時の殺陣」を表現するために、1対1の対決を極力避け、集団戦をメインに据えている。撮影にあたっては、殺陣師が殺陣を綿密に指示するのではなく、ヨーイドンの掛け声と共に刀を持った明石藩側の俳優たちを自由に動かし、そこに刺客側の俳優が現われると一斉に斬りかかるというラフな演出を行うことで、斬り合いの混乱をリアリスティックに再現した。また、この作品では手持ちカメラによる移動撮影が採用され、逃げ惑う侍たちや、大人数を相手に修羅場を駆け回る刺客たちの姿をダイナミックに捉えている。
[編集] エピソード
菅貫太郎は「酷薄な馬鹿殿さま」のキャラが十八番となり、『必殺シリーズ』、『大江戸捜査網』、『暴れん坊将軍』など、多くのテレビ時代劇作品で終生演じることになった。
文春文庫ビジュアル版の『洋・邦名画ベスト150 中・上級篇』(1992年刊、品切れ)では1位に選ばれている。
[編集] 関連作品
- 『四十七人の刺客』(小説、新潮文庫ほか)
- 『大殺陣』
- 『十一人の侍』
- 他に近衛十四郎主演による『十兵衛暗殺剣』(1964年 倉田準二監督)、『忍者狩り』(1964年 山内鉄也監督)、『幕末残酷物語』(1964年 加藤泰監督)などが、集団抗争時代劇と呼ばれている。また、集団抗争時代劇のジャンルには入らないが、内田吐夢監督の『宮本武蔵 一乗寺の決斗』(1964年)におけるクライマックスの決闘シーンも、この頃の時代劇映画の特色を反映したものとなっている。
[編集] リメイク
[編集] 1990年のテレビドラマ
1990年にテレビドラマとしてフジテレビ「時代劇スペシャル」でリメイクされた。仲代達矢が島田新左衛門、夏八木勲が鬼頭半兵衛を演じた。また、丹波哲郎がオリジナル版と同じ土井利位役で特別出演し、話題となった。
[編集] 2010年の映画
詳細は「十三人の刺客 (2010年の映画)」を参照
三池崇史監督によるリメイク映画で、東宝の配給により2010年9月25日に公開された。島田新左衛門に役所広司、倉永左平次に松方弘樹、鬼頭半兵衛に市村正親、ほかに稲垣吾郎、山田孝之、伊勢谷友介、高岡蒼甫、伊原剛志などが出演する。
[編集] 2012年の舞台
鈴木哲也・マキノノゾミの脚本、マキノの演出にて、2012年8月に赤坂ACTシアターと新歌舞伎座にて公演予定。高橋克典、坂口憲二ほかの出演が予定されている。
[編集] 小説
小学館より刊行。映画の脚本を元にした、谺雄一郎によるノベライズ作品である。
「十三人の刺客 (小説)」を参照
この小説とは別に、大石直紀の著による2010年の映画のノベライズ『映画ノベライズ版 十三人の刺客』 が2010年8月に小学館文庫から刊行されている。
[編集] 漫画
森秀樹による漫画が、リメイク版映画の公開に先立って『ビッグコミック増刊号』で連載(公開直前の2010年9月発売の号まで、全3回)された後、リメイク版公開に合わせて2010年9月25日に単行本が発売された(小学館ビッグコミックススペシャル ISBN 978-4091835741)。
[編集] 脚注
- ^ 本作の2010年のリメイク映画における殺陣シーンは約50分に及んでいる。
[編集] 関連項目
- 明石藩
- 松平斉韶 - 史実の明石藩主(1816年 - 1840年)。1840年に斉宣に家督を譲り、1868年に病没した。
- 松平斉宣 - 史実の明石藩主(1840年 - 1844年)。将軍・家慶の弟であるという出自、また参勤交代中に尾張藩領であった木曽の中山道で行列を横切った幼児を切り捨てたために尾張藩の怒りを買って参勤交代の通行を拒否される(同時代の平戸藩主松浦静山の『甲子夜話』)という不行跡が伝えられるなど、本作の「斉韶」に近い。
- 徳川家斉
- 中山道