動物誌 (アリストテレス)

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動物誌』(どうぶつし、: Περὶ Τὰ Ζῷα Ἱστορίαι: De historia animalium: History of Animals)とは、紀元前4世紀に古代ギリシアの哲学者アリストテレスによって書かれた動物生物に関する研究書の1つ。

構成[編集]

全10巻から成るが、第10巻は偽書であり、第8巻-第9巻の真偽についても論争がある[1]

内容[編集]

古代ギリシアでは自然界における動物に対する知的関心が寄せられるようになり、アリストテレスは植物と並んで動物についての研究を記録していた。アリストテレスは本書『動物誌』では数多くの観察結果を記録しており、生物に対する哲学的な考察を『動物発生論』で論じている。原典は図入りの9巻から構成されている。本書で観察されている動物は520種類である。

分類[編集]

分類学の観点から次のような区別を行っている。まず動物は有血動物と無血動物に大別され、両者はさらにゲノスという区分で分類される。有血動物は哺乳類、鳥類、卵生四足類、魚類の四種類、無血動物は軟体類、甲殻類、昆虫類、有殻類から構成される。アリストテレスが本書で述べている内容は先人の研究業績の引用だけではない。例えばタコやイカなどの頭足類について雄が精嚢を雌の対内に挿入する際に使用される交接腕を機能について詳細に調べている。またエビやカニなどの甲殻類に関する解剖学的な調査が述べられており、サメの胎盤構造についても記載されている。

生物の発生[編集]

生物の発生学的な問題についても関心を示しており、さまざまな動物の産卵や発育を観察し、特にニワトリの発生学的記述が有名である。ニワトリは三日間で初めて胚が発生し、心臓は斑点のように観察することができる。この斑点は次第に明確に拍動するようになり、血液は渦巻き型で発生する血管を通じて全身に送られる。しばらくすると分化によって頭部が形作られ、特に眼球が急速に成長していく。20日目で卵の中のヒナは動作し、体毛が生え、発声するまでに成長する。20日を越えるとヒナは内部から卵を破って出てくる。このヒナの体を解剖すると卵黄の塊が腸に付着していることまで確認されている。

アリストテレスは生物が自然に発生するものと考えており、生命のないものから動物的生命に向けて少しずつ進むものと捉えていた。その過程にある多くの生物にはどのような分類に属するのか明晰ではない生物もある。アリストテレスは無生物の上位には植物があり、その上位に動物を位置づけているが、海洋生物の中には植物なのか動物なのかが曖昧な生物が数多くいるとも述べている。

訳書[編集]

脚注・出典[編集]

  1. ^ 『アリストテレス全集7』岩波文庫 序論 iv

関連項目[編集]

外部リンク[編集]