効用最大化

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効用最大化(こうようさいだいか、: Utility Maximization)とは、経済学(特にミクロ経済学)で用いられる、個人の経済行動の最終目標は効用を最大化することにある、という概念。

概要[編集]

効用とは、人々があるサービスによって得られた主観的な満足感を便宜的に数値化したものであり、ミクロ経済学では、個人の経済行動の最終目標はこの効用を最大化することにある、とされている。これは直感的によく理解できよう。人がなにかをしたい(あるいは、したくない)と考えるのは、その効用によって何らかの満足度が得られるからであり、さらに得られる効用はなるべく大きいものにしたいと普通は考える。このことを経済学のモデルの中で取り扱ったのが効用関数を用いた分析である。

経済学では、茫漠とした捉えどころのない効用を、便宜的に効用関数という関数で表現している。ただし、効用は決して客観的数値化はできないことは経済学者自身も認めており、あくまで分析概念として便宜的に関数形を用いているだけである。このことを経済学の初学者は十分に理解しているとは言いがたく、あたかも本当に効用が関数形で示されると誤解しているものもいる。

効用関数は、初級のミクロ経済学では、n 次関数などで表現されるのが典型的である(多くはn = 2)。この他に、要素財の分配率を示したコブ・ダグラス型関数(これは特に企業活動における生産関数で有名であろう)や、複数の要素のうちの最小のいずれかで効用が決定されるというレオンチェフ型関数などもある。

効用関数(u = u (・))を平面状で図示したものを無差別曲線という。ここでは横軸をX軸、縦軸をY軸と呼ぶことにする。グラフが右上にあればあるほどその効用水準は高い。

効用最大化と予算制約[編集]

以上の議論から、効用を最大化することとは、無差別曲線で捉えなおせば、より右上に描かれる無差別曲線上で、ある財XとYの消費選択量を決定することになる。しかし、理論的には効用水準は連続的に正の無限大にまで存在するので、このまま効用最大化を行なうとすると+∞となってしまい、非現実的である。そこで、効用最大化問題を考えるに当たって重要なもう一つの概念が予算制約である。これは、その人の所得をμ、財Xの価格をPX 、財Yの価格をPY とし、それぞれの財の消費量をQXQY とした場合

P_X\cdot Q_X + P_Y\cdot Q_Y = \mu

と表される。これを、QY について解いた線形関数予算制約式という。

効用最大化は、実際にはこの予算制約のもとでの効用最大化となる。図形的には、無差別曲線と予算制約線との接点において人々の効用は最大化される。このように、ある条件(制約)のもとである関数を最大化する数学的手法は、等式制約(先の予算制約のように、左辺=右辺、とされる式)ではラグランジュの未定乗数法と呼ばれ、不等式制約(不等号が式内で使われている場合)ではクーン・タッカーの定理を使用する。

関連項目[編集]