分配函数 (場の量子論)

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場の量子論では、相関函数母函数 Z[J] とその値のことを、分配函数(partition function)といい、普通、次の汎函数積分英語版のように表現する。

Z[J] = \int \mathcal{D}\phi e^{i(S[\phi]+\int d^dx J(x)\phi(x))}

ここに S は作用汎函数(functional)とする。

場の量子論における分配函数は、数学的な分配函数の特別の場合であり、統計力学の分配函数と関係している。二番目の差異は、より単純な分配函数の定義に見られるランダム変数英語版可算個英語版の集まりが、非可算な集合に取って替わられ、従って、場 \phi を渡る汎函数積分英語版を使うことが必須となる。

適用方法[編集]

分散函数の典型的な使い方は、ラグランジュの未定乗数法の「任意函数」(auxiliary function) J の差分をとることにより(J のことをカレント(current)と呼ぶこともある)[1]ファインマン経路積分確率振幅英語版を得ることにある。例を挙げると、空間内の 2点 x_1x_2 に対し、

\langle G(x_1,x_2)\rangle = \left.
-\frac{\delta}{\delta J(x_1)} 
\frac{\delta}{\delta J(x_2)} \log Z[J] \right|_{J=0}

は、場 \phiグリーン函数、あるいは、プロパゲータとも呼ばれる(二点)相関函数である。

複素数値作用[編集]

統計力学の分配函数とは異なり、場の量子論の分散函数は、作用の先頭に余剰な因子 i を付加し、実数ではなく複素数で積分する。このことは、しばしばウィック回転をするかのように誤って理解されているが、そうではない。むしろ i の意味は、場 \phi を量子力学的な確率振幅英語版として理解すべきであり、値を複素射影空間英語版に取るという事実と理解すべきである。(複素射影空間は、複素ヒルベルト空間であるが、確率振幅は 1 に依然として正規化されているので、「射影的」という用語をつけた。)これとは対照的に、より伝統的な分配函数は、確率変数が実数に値をとり、単体上を渡ることを意味する。-- 単体とは累計として合計すると 1 となるようなコンパクトな幾何学的な領域を言う。因子 i は複素射影空間の中の体積という自然な測度のヤコビ行列式(Jacobian)として理解することができる。(非常にまれではあるが)複素数に値をとる確率振幅がある他の数学的空間英語版に値をとるような場に置き換わる場合は、i はこの空間により適切な因子(つまり、ヤコビ行列式)に代わるべきである。

脚注[編集]

  1. ^ この部分は、相関函数に記載があるので、参照のこと.ラグランジュ未定乗数法との関係も記載あります.

参考文献[編集]

  • Kleinert, Hagen, Path Integrals in Quantum Mechanics, Statistics, Polymer Physics, and Financial Markets, 4th edition, World Scientific (Singapore, 2004); Paperback ISBN 981-238-107-4 (also available online: PDF-files)