公倍数

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公倍数(こうばいすう)とは、2つ以上の整数に共通な倍数。例えば、の公倍数は-18,-12,-6,0,6,12,18などである。ただし、算数では、倍数にを含めないので、公倍数にもを含めない。

公倍数のうち、正で最小のものを最小公倍数という。上の例でいうと、の最小公倍数はである。

与えられた2つ(以上)の数に対し、それら全てを掛け合わせたものは、それらの数の公倍数になるが、最小公倍数になるとは限らない。例えば、の最小公倍数はであるが、である。

ある2つ以上の整数の公倍数は無限に存在する。例えば、の公倍数は-30,-15,0,15,30となり、15の倍数になっていることがわかる。(ある与えられた数の倍数は無限に存在する。)

一般化[編集]

二つの整数公倍数とは、の倍数全体の集合は整数全体を動くの倍数全体の集合は整数全体を動くの集合の共通部分に属する整数のことである。

はある整数を用いては整数全体を動くの形に表すことができる。このようなは正と負の2つが存在し、正の方を最小公倍数という。これらの概念はが正の整数のとき、既に定義したものと一致する。

この定義に現れる「整数」を一般の「単項イデアル整域の元」に取り替えても、全く同様の概念として公倍元・最小公倍元を定義できる。一般のでは、公倍元は定義できるが最小公倍元の存在は必ずしもいえない。

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