信用照会端末

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
マクドナルドの信用照会端末

信用照会端末(しんようしょうかいたんまつ、Credit Authorization Terminal)は、クレジットカード加盟店で、カードの有効性を確認するため、カードの情報をオーソリゼーション(信用照会)を行うセンター等に問い合わせし、続けて決済する装置である。

概要[編集]

日本においてCATおよびその土台となるネットワーク網CAFISが登場する1980年代前半まで、クレジットカードを用いて加盟店で買い物する際は、インプリンタにクレジットカードと複写式売上伝票を挟み、カードの凸凹状に刻印された番号や会員名義など(エンボス)を店員が転写し[1]、金額・署名の記入後に、売上を取り纏めるカード会社(アクワイアラ)へ郵送しなければならなかった。しかしながらこの手法では偽造クレジットカードなど不適正なカードか否かは高額取引による電話承認を行わなければ見抜けない事(重過失が無く不正使用された場合はカード会社側の負担となる)と、アナログ的なやりとりに時間を要するため、百貨店などでの高額商品の購入程度にしかクレジットカードは普及せずにいた。

しかしながら情報通信技術の進捗により、クレジットカード発行会社(イシュア)各社のホストコンピュータを横断的に接続したCAFISと、そこへオンライン通信を行う事でカードの有効性が即時確認できるCATが登場したことにより、カード決済時のセキュリティと利便性は大幅に向上することになり、バブル期の消費拡大のタイミングも合わさり、クレジットカード加盟店のインフラは一挙に拡大する事になる。その後、1990年代から現在にかけて書店飲食店美容院などの専門店コンビニエンスストアなど加盟店が飛躍的に増加し、日常生活に浸透したクレジットカードの利用には必要不可欠なインフラとなっている。

当初は内蔵モデム一般加入電話回線交換方式で接続する形態しかなかったため、CAT端末を使用しても信用照会には2分近く時間を要したが、1990年後半からは専用線ISDN回線、DoPaパケット通信)、2000年代からはブロードバンドルーター経由でADSL光ファイバーなどでインターネットに接続し、独自のIPで暗号化を保ちながら高速通信する方式が登場し、加盟店のランニングコストの低減に貢献している。

ちなみに、端末の入手・設置にはアクワイアラあるいはクレジットカード決済代行会社と加盟店契約を締結することで、購入・貸与を受けることができるが譲渡は禁止されている。

2000年前後にはキャバクラなど風俗色の強い店を中心に、旧型の端末を分解し基板上にスキマー機能を取り付ける細工を施し、実際に使用した真正なカード番号を基に、偽造クレジットカードを作成して不正使用する事件が発生したことがあった[2][3]。このため、殆どのCAT/CCT端末には分解の痕跡が確認できるように封印シールが貼られている。

なお、百貨店・ショッピングセンター・コンビニエンスストア・スーパーマーケット家電量販店など各種量販店では、本項で述べるCAT/CCT端末ではなく、POSレジにそれと同等の機能が搭載されていることが殆どである。

商品小計の画面でクレジットカード決済のキーを選択し、カードリーダーにカードを読み取らせ、支払金額や支払回数を入力して実行キーなどを押すと、CAFISやハウスカードのオーソリゼーションシステムへ接続し、売上承認となった場合は商品の売上と共にクレジットカードの情報がPOSに記録され、発行される商品レシートにカード売上票もあわせて印刷されるようにしている店舗が多い。これは各店舗のPOSシステム内部にCAT/CCT装置に相当するシステムが構築されており、ストアコンピュータと共用の専用線で接続されているためであるが、回線が専用線であることもあり売上承認のレスポンスが早く、操作も簡便である等の利点が多い。同様の仕組みはJRみどりの窓口マルスや航空会社の発券端末にも組み込まれている。

種類[編集]

CAT(Credit Authorization Terminal)[編集]

NTTデータが運営するCAFISと接続しているクレジットカード処理端末で、日本独自の規格[4]である。クレジットカードの磁気ストライプを読み込み、CAFISを経由してクレジットカード発行会社へオンラインで問い合わせを行う。クレジットカード会社からの応答を元に、伝票を印字する。なお、CATには以下の種類がある。

CAT
標準CAT、旧型CATとも呼ばれる。認証のみオンラインで行うが、売上決済機能がないため別途加盟店からカード発行会社へ伝票送付等の対応が必要。旧型の端末であるため、ICカードを読み取る機能がない。
S-CAT(Simple CAT)
簡易CATとも呼ばれる。CATをさらに簡易型としたもので、伝票印字機能がない。カード発行会社からの承認番号をディスプレイに表示する。
G-CAT(Gathering CAT)
CATの問題点を解決するために、1993年に開発されたもので[4]、認証と同時に売上決済処理が可能な端末[5]。1998年よりJ-Debitにも対応している。ただし、ICカードを読み取る機能がない。なお、CAT・G-CATあわせて2003年11月末時点では、約40万台利用されていた[5]
JET-S端末 (Panasonic ZEC-15)

CCT(Credit Center Terminal)[編集]

各社独自のクレジットカード情報処理センターと接続し、それを介してCAFISと接続している信用照会端末。日本独自規格であるCATとは異なり、グローバルな規格である。後発の規格であるため、G-CATと同様に認証と同時にギャザリング(売上決済処理)が可能。2002年以降に導入された機種ではICクレジットカードをPINパッドに差し込み、暗証番号で認証する機能が搭載されているものが多く、FOMAパケット通信により可搬ができるハンディ端末も存在する[6][7]。以下に、主なCCTの種類を記述する。

製造メーカーとして、NECインフロンティア[7]パナソニック(旧松下通信工業)・東芝テック[6]の3社が複数の決済センターに対応した機種(基本的な外観・操作手順は共通)をアクワイアラやクレジットカード決済代行会社を通じて加盟店へ発売・リースしている。

INFOX
NTTデータの運営するINFOX-Netと接続している端末で、1999年にサービス開始された[8]。日本国内では現在三井住友カードVJA各社・クレディセゾンイオンクレジットサービスをメインの売上取り纏め会社(アクワイアラ)とする加盟店に多く設置されている。加盟店契約のうえ、端末にFelicaリーダ/ライター(NTTデータ製)を接続する事でiDSuicaショッピングサービス決済など殆どの非接触式電子マネーに対応する。製造メーカーは上記3社。2009年6月現在では、約62万台設置されている[8]
ビューカードSuicaショッピングサービス決済端末
JR東日本グループ駅ナカルミネエキュートアトレブックガーデンなど)やJR東日本ホテルズ駅レンタカー東日本ジェクサースポーツクラブなどに設置されている。INFOXと使用機種は同一であるが、クレジットカードのアクワイアラについてはJR東日本みどりの窓口と同じSMC/UC/VIEWであり、ビューカード以外はinfoxを経由する。2003年のSuicaショッピングサービス試験運用当初から2006年頃までニューデイズではクレジット決済機能を省いた専用端末を使用していた(POSレジ直結のR/Wに移行)。現在もPASMO電子マネーに加盟する鉄道駅構内(フランチャイズ)のコンビニエンスストアや、かつてのam/pm(現在はファミリーマートに転換したことによりPOSレジ直結化、運営にPASMO各社が関わっていない店舗ではR/WのPASMOロゴの上にSuicaのロゴを貼った店舗もある)などではクレジット決済を省いた同じ端末(POSレジ連動)が使用されている。
SG-T
VISAインターナショナルとクレディセゾン・ユーシーカードダイエーOMCDCカードミリオンカード住友クレジットサービスらの合弁で1995年に設立された株式会社ジー・ピー・ネットが運営するGPnetと接続している端末。日本国内では現在三菱UFJニコスを売上取り纏め会社とする加盟店に多く設置されている。製造メーカーは日立オムロンターミナルソリューションズ(旧日立製作所)、フランスのインジェニコ[9]。日立製端末については、端末にFelicaリーダ/ライターを接続する事でSmartplusVisa TouchEdyの決済に対応する。
JET-S
ジェーシービー子会社でクレジット決済業務請負会社の日本カードネットワークが運営するCARDNETと接続している端末。日本カードネットワークを売上取り纏め会社とする加盟店に多く設置されている。ロイヤルホールディングス各店舗・佐川フィナンシャルeコレクトなどで使用されている。製造メーカーは上記3社の他に日立オムロンターミナルソリューションズ(旧オムロン)、富士通。加盟店契約のうえ、端末にFelicaリーダ/ライターを接続する事でQUICPaynanacoの決済に対応する。2010年11月現在では、約46万台設置されている[10]
C→REX
ジェイティービーが運営する端末で、独自網を経由してCARDNETと接続している[11]。ジェイティービーグループ販売店(旅行代理店窓口)、JTB協定あるいは全国旅館生活衛生同業組合連合会加盟のホテル・旅館、ダイヤスタンプ加盟店を対象に営業活動を行っており、とりわけJTBの旅行代理店窓口は全てこの端末が使われている。
CREPiCO(クレピコ)
セイコーインスツル子会社のエスアイアイ・データサービスが運営する決済システム専用端末で[12]、独自網を経由してCAFISと接続している[13]タクシー東京四社などの大都市圏の各社・飛鳥交通グループ)を中心に採用されており、二葉計器製の車載型端末ではタクシーメーターと連動してメーター運賃(ETC通行料を含む)が端末に自動的に打ち込まれる(有料道路代は別途手入力する事で合算決済が可能)。製造メーカーはモバイル型がエスアイアイ・データサービス、タクシーメーター連動型は二葉計器

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ GPnet. “最先端テクノロジーの活用”. 2011年2月16日閲覧。
  2. ^ security-joho.com. “大阪の風俗店、クレジット磁気情報転写しカード偽造”. -引用:中日新聞2002/05/20-. 2011年2月17日閲覧。
  3. ^ security-joho.com. “都内の風俗店でカードを『スキミング』、客のデータを盗み取り”. -時事通信:02/12/11-. 2011年2月17日閲覧。
  4. ^ a b cardportal.jp. “クレジットカード参考書”. 2011年2月17日閲覧。
  5. ^ a b 株式会社NTTデータ (2003年12月17日). “NTTデータのカード決済総合ネットワーク「CAFIS®」小売業者向けに、ネットワーク型決済サーバを提供”. 2011年2月16日閲覧。
  6. ^ a b NTTデータ. “CAFIS - カード決済端末INFOX”. 2011年2月15日閲覧。
  7. ^ a b 日本カードネットワーク (CARDNET). “端末機器のご案内 - オンライン端末サービス”. 2011年2月15日閲覧。
  8. ^ a b 株式会社NTTデータ (2009年8月21日). “カード決済サービス「INFOX®」サービス開始10周年 !”. 2011年2月16日閲覧。
  9. ^ GPnet. “カード端末サービス”. 2011年2月16日閲覧。
  10. ^ payment navi (2010年11月15日). “14万台のオムロン製端末でもポイントサービスの対応開始(CARDNET)”. 2011年2月17日閲覧。
  11. ^ JTB. “C→REX”. C→REXとは. 2011年2月15日閲覧。
  12. ^ エスアイアイアイ・データサービス株式会社. “決済系ソリューション”. 決済システム. 2011年2月15日閲覧。
  13. ^ エスアイアイアイ・データサービス株式会社. “決済系ソリューション”. 決済システム CREPiCO モバイル端末. 2011年2月15日閲覧。

参考文献[編集]

  • 西ヶ谷葉子 『クレジット・金融用語辞典』 金融財政事情研究会、2003年ISBN 978-4322103557