位相的エントロピー

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位相的エントロピー(いそうてきエントロピー、: topological entropy)とは、力学系不変量であり、アドラー=クロンハイム=マカンドルーが1965年に導入した。[1]

開被覆による定義[編集]

アドラー=クロンハイム=マカンドルーによるコンパクト離散力学系に対する位相的エントロピーの定義を与える。

をコンパクト離散力学系とせよ。 すなわち、コンパクト位相空間であり、は連続写像である。

まずは準備として、開被覆についての記号を導入する。 開被覆とせよ。 このとき、の共通細分

により定義する。 また、

の開被覆である。

さて、位相的エントロピーを定義しよう。

の開被覆とせよ。 の有限部分被覆の濃度の最小値を、とする。 このとき、開被覆のエントロピーを

により定義する。

また、極限

は常に存在する。 この極限値を開被覆に関する連続写像のエントロピーと呼び、と表す。

このとき、コンパクト離散力学系の位相的エントロピー

により定義する。 ただし、上限は開被覆の全体で考える。

参考文献[編集]

  1. ^ R.L. Adler, A.G. Konheim, M.H. McAndrew, Topological Entropy, Transactions of the American Mathematical Society 114 (1965) 309-319