伝説 (ドヴォルザーク)

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伝説』(でんせつ、チェコ語: Legendy作品59 は、アントニン・ドヴォルザークが作曲した小品集。まずはピアノ連弾曲(B. 117)として作曲された後、小規模な管弦楽のために編曲された(B. 122)[1]。『伝説曲』と表記される場合もある。

成立の経緯[編集]

ドヴォルザークは『交響曲第6番 ニ長調』(作品60, B. 112)を完成させる前日の1880年10月15日に、出版者フリッツ・ジムロックに宛てて「1881年1月30日までにピアノ二重奏(連弾)曲の『伝説』を完成させたいと望んでいる」との計画を書き送っている[2]。しかしながら、1881年1月30日になっても『伝説』のスケッチに着手していなかった。ピアノ連弾版の決定稿は1881年2月12日から3月23日にかけて、一部はプラハで、一部はヴィソカー・ウ・プルジーブラミで作成された。ドヴォルザークが本作を音楽評論家のエドゥアルト・ハンスリックに献呈すると、ハンスリックはこの曲集に熱狂的な賛辞を送った[2]。ピアノ連弾版は1881年の夏にジムロック社から出版され、同年にはこの曲集を小規模な管弦楽のための小品集に編曲した[3]。管弦楽版はあまり演奏されないが、全曲としてよりも個別の楽曲の抜粋が演奏されることは間々あり、1882年プラハ音楽院における初演でも第1曲、第3曲、第4曲がアントニーン・ベネヴィッツの指揮によって、同年11月26日のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団による初演でも第2曲、第5曲、第6曲がヴィルヘルム・ヤーンの指揮によって取り上げられた。

楽曲構成[編集]

以下の10曲から成る。演奏時間は約40分。

  1. アレグロノン・トロッポクアジアンダンティーノニ短調
  2. モルトモデラートト長調
  3. アレグロ・ジュストト短調
  4. モルト・マエストーソハ長調
  5. アレグロ・ジュスト (変イ長調
  6. アレグロ・コン・モート嬰ハ短調
  7. アレグレットグラツィオーソイ長調
  8. ウン・ポコ・アレグレット (ヘ長調
  9. アンダンテ・コン・モート (ニ長調
  10. アンダンテ (変ロ短調

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  1. ^ Album notes (SU 3533-2 031), p. 4-5
  2. ^ a b Score, p. V
  3. ^ Album notes (SU 3533-2 031), p. 5

参考資料[編集]

  • Dvořák, Antonín; Šourek, Otakar (foreword) (1956). Legendy, Op. 59, Piano 4 ms (Score). Prague: Bärenreiter Editio Supraphon [1]
  • Holeček, Jaroslav (2001). Symphonic Variations, Scherzo capriccioso, Legends (Czech Philharmonic Orchestra, Sir Charles Mackerras) (CD). Translated by Gráfová, Sarah. Antonín Dvořák. Prague: Supraphon. pp. 4–5. SU 3533-2 031。[2]

外部リンク[編集]