伊藤敬子 (俳人)

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伊藤 敬子(いとう けいこ、1935年5月3日[1] - 2020年6月5日)は、日本の俳人。本名、敬子(たかこ)[2]

人物・経歴[編集]

名古屋市東区生まれ、名東区に在住していた。

愛知県立旭丘高等学校1年生のときに国語科教諭の呼びかけで俳句グループに入ったのが、句作のきっかけであったという[3]。その後金城学院大学短期大学部に進学し、卒業後にまもなく結婚。二児を育てた。しかしその間にも俳句は続けていた[3]

1955年 (昭和30年)には加藤かけいが主催する俳句誌『環礁』の同人となり[4]、加藤かけい、山口誓子に師事した(『環礁』にはその後、30年間在籍した[1])。1966年 (昭和41年)、31歳で初の句集『光の束』を上梓。同書は環礁賞を受賞し、同年それを機に俳人協会へと入会[5]。1975年 (昭和50年)には東海俳句懇話会を立ち上げた[4]。そして、1977年(昭和52年度)4月、子育ての終わった41歳に愛知淑徳大学文学部国文学科3年次に編入[6]。卒業後も大学院修士・博士課程に学び、2005年「鈴木花蓑研究」で博士(文学)を取得している。国文学の講師を含め、愛知淑徳大学に20年間籍を置いた。1980年5月には俳句誌『笹』を創刊主宰。『笹』は名古屋で初めての女性の主宰する俳句誌であった[4]。2000年3月(平成11年度)にはそれまでの俳人としての功績から、愛知県芸術文化選奨文化賞を授与されている。

俳人協会評議員・愛知県支部長を務め、角川学芸出版の月刊誌『俳句』で選者を、中日文化センターの俳句教室で講師を務めた。2005年 (平成17年)からは芭蕉顕彰名古屋俳句祭を開催するなどした[4]

受賞歴[編集]

  • 1966年 (昭和41年) - 環礁賞
  • 1979年 (昭和54年) - 新美南吉文学賞[1]
  • 1986年11月 (昭和61年) - 第9回 愛知一中鯱光会記念賞[1]
  • 1993年 (平成5年) - 都市文化奨励賞[1]
  • 2000年3月(平成11年度) - 愛知県芸術文化選奨 文化賞
  • 2001年(平成13年) - 第1回 山本健吉文学賞(『百景 伊藤敬子句集』に)

著書[編集]

  • 『光の束 句集』(環礁俳句会、序 加藤かけい) 1966
  • 『写生の鬼 俳人鈴木花蓑』(中日新聞社) 1979
  • 『尾州 句集』(東京美術) 1981
  • 『四間道 現代俳句女流シリーズ』(牧羊社) 1982
  • 『蓬左 句集』(牧羊社) 1983
  • 『菱結 現代俳句女流シリーズ』(牧羊社) 1985
  • 『花の俳句 初心者のための俳句鑑賞』(牧羊社) 1985
  • 『伊藤敬子集 自解100句選』(牧羊社) 1986
  • 『伊藤敬子集 自註現代俳句シリーズ』(俳人協会) 1987
  • 『刻のうつろいの中で 随想集』(牧羊社) 1988
  • 『鳴海しぼり 句集』(牧羊社) 1988
  • 『優しい花々 伊藤敬子・随想集』(牧羊社) 1990
  • 杉田久女 鑑賞秀句100句選』(牧羊社) 1991
  • 『日付変更線 伊藤敬子句集』(牧羊社、現代俳句18人集) 1992
  • 『やさしい俳句入門』(リバティ書房) 1993
  • 『伊藤敬子句集』(ふらんす堂、現代俳句文庫) 1994
  • 『ことばの光彩 古典名句への招待』(牧羊社) 1994
  • 『新しい俳句の作り方 中級篇』(リバティ書房) 1998
  • 『現代俳句鑑賞全集 第2巻 伊藤敬子篇』(東京四季出版) 1998
  • 『伊藤敬子 花神現代俳句』(花神社) 1999
  • 『百景 伊藤敬子句集』(角川書店) 2000
  • 『花月の譜 四季を旅する』(ふらんす堂) 2001
  • 「俳句の手ほどき 入門編』(中日新聞社) 2001
  • 『高悟の俳人 蛇笏俳句の精神性』(角川書店) 2004
  • 『季語別伊藤敬子句集』(ふらんす堂) 2005
  • 『白根葵 伊藤敬子句集』(角川書店) 2006
  • 『象牙の花 句集』(角川書店) 2008
  • 『花鳥逍遥 句集』(東京四季出版、俳句四季文庫) 2010
  • 『星座多彩 伊藤敬子句集』(ふらんす堂) 2010
  • 『山廬風韻 句集』(角川書店) 2010
  • 『淼茫 句集』(角川書店) 2013
  • 『伊藤敬子集 自註現代俳句シリーズ』(俳人協会) 2014
  • 『風雅永遠 随筆集』(文學の森) 2016
  • 『初富士 句集』(角川文化振興財団) 2016
  • 『年魚市潟 句集』(角川文化振興財団) 2018
  • 『杉田久女の百句 久女の真実』(ふらんす堂) 2019
  • 『鈴木花蓑の百句 写生の鬼』(ふらんす堂) 2020

[編集]

  • 『秀句三五〇選 34 母』(蝸牛社) 1994
  • 『笹歳時記』(角川書店) 2000
  • 『笹創刊二十五周年記念同人作品集』(角川書店) 2005
  • 『笹創刊三十周年記念同人作品集』(角川書店) 2010
  • 『新冬の日 芭蕉顕彰名古屋俳句祭連句集』(角川書店) 2011
  • 『新春の日 芭蕉顕彰名古屋俳句祭連句集』(KADOKAWA) 2014
  • 『笹創刊三十五周年記念同人作品集』(KADOKAWA) 2015

メディア出演[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e 中村苑子, 馬場あき子, 新川和江 編『女性作家シリーズ24 現代詩歌集』角川書店、1999年9月。 
  2. ^ 『俳人協会会員名鑑 平成6年』俳人協会、1994年12月。 
  3. ^ a b ローズ vol.160(2013年7月号)中日新聞社発行 より
  4. ^ a b c d 『俳句』第64巻第6号 (2015年4月25日発行) KADOKAWA発行 10-11頁「俳句の時間48」より
  5. ^ 『俳句』第64巻第6号 (2015年4月25日発行) KADOKAWA発行 49頁「俳句の時間48」続き より
  6. ^ 『愛知淑徳大学の三十年』(平成18年9月2日発行) 愛知淑徳大学同窓会/発行、都築久義/編集 より
  7. ^ フジテレビバイキング 過去の放送内容 2016/6/20(月)〜6/24(金)

外部リンク[編集]