伊勢佐木町ブルース

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伊勢佐木町ブルース
青江三奈シングル
B面 霧のハイウェー
リリース
ジャンル 歌謡曲
時間
レーベル ビクターレコード
作詞・作曲 川内康範(作詩)
鈴木庸一(作曲、#1)
大野正雄(作曲、#2)
ゴールドディスク
チャート最高順位
  • 週間5位(オリコン
  • 1968年度年間11位(オリコン)
  • 青江三奈 シングル 年表
    この恋なくしたら
    1967年)
    伊勢佐木町ブルース
    (1968年)
    札幌ブルース
    (1968年)
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    伊勢佐木町ブルース」(いせざきちょうブルース)は、青江三奈の楽曲で、7枚目のシングルである。1968年1月5日に発売。

    解説[編集]

    作詩川内康範[注釈 1][1]作曲鈴木庸一による。

    伊勢佐木町神奈川県横浜市中区の繁華街であり、当曲は同場所のご当地ソングとしてもよく知られている。

    青江三奈はデビュー曲「恍惚のブルース」が大ヒットしたものの、それから暫くヒット曲に恵まれなかった。川内康範は青江三奈の再起を目的にビクターから再度作品を依頼された[2]。川内は50万枚は売れる作品で青江三奈を復活させてやれないかという課題を与えられた。そのような経緯で書かれたのが本作である[2]

    川内は「ハーン」というため息を曲中のどこでもいいから入れるように、と青江に言った。本作は狙い通りの大ヒットとなり、青江は復活を遂げる[2]。発売から徐々に売れ始め、発売から5ヶ月経ってからオリコンのトップ10に初登場し、3週間5位にランクイン。1968年の「第10回日本レコード大賞」歌唱賞・「第1回日本有線大賞」スター賞・「第1回全日本有線放送大賞」優秀スター賞をそれぞれ受賞した。

    曲中にある吐息部分が、レコード発売時には「“吐息”は子供向きではない」「お色気だ」と指摘され、『第19回NHK紅白歌合戦』に2年ぶり2回目のNHK紅白歌合戦への出場を果たした時は、日本放送協会の意向により、カズーの音に差し替えられた(白組司会の坂本九は「ダチョウのため息」と発言した)[3]。なお、1982年の『第33回NHK紅白歌合戦』で歌唱した際には、「吐息」は差し替えられなかった。またオリジナルはヘ短調であるが、1980年代以降は変ホ短調で歌唱されることが多くなった。

    なお本曲のリリース当時、横浜市営地下鉄はまだ着工したばかりであり、同1号線における伊勢佐木町の最寄り駅の仮称は、当初「長者町」駅だったが、本曲のヒットにより「伊勢佐木町」駅に変更しよう、という声が横浜市会で上がりかけたこともあった。最終的には両区域を「ちょう」という言葉で結びつけた「伊勢佐木長者町」という折衷型の鉄道駅名が誕生した。

    伊勢佐木町4丁目イセザキモールには、青江三奈の没後、2001年7月1日にグランドピアノを象った歌碑が建立された[4]。歌碑には作曲者の鈴木庸一直筆の楽譜が彫られ[5]、また台座のスイッチを押すと内蔵されたスピーカーから「伊勢佐木町ブルース」が1分間演奏される。

    1970年から1979年まで、青江はマスプロ電工(マスプロアンテナ)のテレビCMへ出演しており、「あなた知ってる〜 マスプロアンテナ〜 見えすぎちゃって 困ァるのォ〜」と、「伊勢佐木町ブルース」の替え歌を唄い、サンバイザーミニスカート姿でゴルフのグリーンでパッティングをしているCMがあった。

    1989年松下電工のヘアスチームアイロンのCMでは、この曲の冒頭をモチーフにしたBGMが使用された。メロディは違うが、曲調は同じで途中で吐息が入っている(CM上の演出では吐息にあわせてアイロンからスチームが噴き出す)。

    2001年公開の映画『ウォーターボーイズ』では、劇中の挿入歌としても使われた。

    2001年にNHK教育テレビドラマ愛の詩にて放送されたドラマ『どっちがどっち!』では、劇中でこのCDが流されていた。

    収録曲[編集]

    1. 伊勢佐木町ブルース 
    2. 霧のハイウェー

    カバー[編集]

    伊勢佐木町ブルース

    収録アルバム[編集]

    映画[編集]

    夜の歌謡シリーズ
    伊勢佐木町ブルース
    Blue in Isezaki
    監督 村山新治
    脚本 舟橋和郎
    製作 園田実彦扇沢要(企画)
    出演者 梅宮辰夫青江三奈
    音楽 三木稔
    撮影 星島一郎
    編集 田中修
    製作会社 東映東京撮影所
    配給 東映
    公開 日本の旗1968年12月7日
    上映時間 87分
    製作国 日本の旗 日本
    言語 日本語
    前作 夜の歌謡シリーズ 命かれても
    次作 夜の歌謡シリーズ 長崎ブルース
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    本曲を題材とする歌謡映画夜の歌謡シリーズ 伊勢佐木町ブルース』は、1968年12月7日東映系で公開。カラー、シネマスコープ、87分。『夜の歌謡シリーズ』第4作で[7]、主演は4作連続して梅宮辰夫だが、次作『夜の歌謡シリーズ 長崎ブルース』では松方弘樹が主演のため、梅宮は出演するも脇役止まりとなる。また青江三奈も自分自身役で出演。元松竹の紙京子がバーのママ役で10年ぶりにカムバック[8]

    横浜伊勢佐木町を舞台に、ネオンの世界を生き生きと泳ぐ男、男から男へと渡り歩く女、純情ホステス、女に目のない土地成金、女喰いものにするヤクザなど男女の激しい情事をリアルに描く[7]

    スタッフ[編集]

    出演者[編集]

    映像ソフト[編集]

    脚注[編集]

    注釈[編集]

    1. ^ 川内康範は生前「作詞」という表現を好まなかったため、本項目では「作詩」と表記する。

    出典[編集]

    1. ^ 竹熊健太郎篦棒な人々 戦後サブカルチャー偉人伝』(太田出版1998年文庫本河出文庫2007年ISBN 978-4-309-40880-4 P190
    2. ^ a b c 川内康範『おふくろさんよ 語り継ぎたい日本人のこころ』、2007年12月20日 マガジンハウス刊 ISBN 9784838718306
    3. ^ “NHKスキャンダル紅白 迷シーンを誌上再放送(5)”. アサヒ芸能. (2011年12月10日). https://www.asagei.com/excerpt/2808 2015年11月19日閲覧。 
    4. ^ 「ブルース」の秘話を知る”. タウンニュース (2018年1月1日). 2018年1月7日閲覧。
    5. ^ 協同組合 伊勢佐木町商店街 / 伊勢佐木町ブルース歌碑 “Isezakicho Blues monument””. @ART (2015年10月20日). 2019年10月2日閲覧。
    6. ^ “畑中葉子36年ぶり「後から前から」どうぞ♪新アルバムに収録”. スポニチアネックス. (2016年4月15日). https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2016/04/15/kiji/K20160415012407550.html 2016年4月15日閲覧。 
    7. ^ a b 「内外映画封切興信録 『伊勢佐木町ブルース』」『映画時報』1969年1月号、映画時報社、39頁。 
    8. ^ 「週間ダイヤル スクリーン三行メモ」『週刊大衆』1968年11月28日号、双葉社、14頁。 

    関連項目[編集]

    外部リンク[編集]