仙台ハイランド

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仙台ハイランド(せんだいハイランド)は、宮城県仙台市青葉区にかつて存在した、遊園地ゴルフ場サーキットから構成される複合レジャー施設である。

概要[編集]

開業当時の所在地住所は仙台市ではなく、仙台市の西に隣接する宮城郡宮城町であったため「西仙台ハイランド」(にしせんだいハイランド)という名称であったが、合併により宮城町が仙台市に編入された後に、施設名を「仙台ハイランド」へと改称した。

敷地は青葉区太白区を分ける尾根上で両区にまたがっているが、所在地は青葉区となっていた。太白区側からは道路幅員狭小であり普通車クラスまでしか通行できないため、青葉区側(国道48号)からのアクセスが一般的であった。

積雪地区に位置しており過去にはスキー場の営業も行っていた。スキー場施設の廃業後には仙台ハイランド全体の冬季閉鎖期間があった。例年3月中旬から営業し、遊園地は11月末、ゴルフ場は12月下旬まで営業していた[注 1]

利用客の減少と老朽化のため、場内の施設は2014年から2016年にかけて順次営業を終了し、閉鎖された。跡地は解体され、メガソーラーの発電所である新川メガソーラーハイランド第一発電所および仙台メガソーラーハイランド発電所が建設されている。

施設[編集]

仙台ハイランド遊園地[編集]

仙台ハイランド遊園地
仙台ハイランド入口
所在地日本の旗 日本 宮城県仙台市
座標北緯38度17分27秒 東経140度37分42秒 / 北緯38.290889度 東経140.62825度 / 38.290889; 140.62825
住所青葉区新川早坂12
公式サイトwww.aobagolf.jp/amusement/index
所有者株式会社青葉ゴルフ
開業1981年
閉鎖2015年8月31日
旧称西仙台ハイランド遊園地
開園期間3月中旬~11月末
アトラクション46
ジェットコースター3
ウォーターライド5

南東北遊園地協議会加盟の遊園地八木山ベニーランド(仙台市太白区)およびリナワールド山形県上山市)との間で共通サービスがあった。

2015年8月30日をもって閉園した[1]。観覧車とメリーゴーランドは、閉鎖後に宮城球場内にある楽天山パーク(ネーミングライツ権により現在の名称はスマイルグリコパーク)に移転し、現在も稼動している。

遊具[編集]

プール[編集]

  • レジャープール(屋外プール)
  • アクアドーム(室内プール)
    • 流水プール
    • ウォーターボブスレー(ウォータースライダー)

その他[編集]

仙台ハイランドカントリークラブ[編集]

セイコーゴルフ場設計事務所の設計によるゴルフ場フェアウェイが広いため視野はいいが、フェアウェイ上に点在する松の木立のために攻略ルートが限られる難コース。2016年11月30日をもって営業を終了した[2]

仙台ハイランドレースウェイ[編集]

仙台ハイランドレースウェイ
所在地日本, 宮城県, 仙台市
オープン1986年[3]
閉鎖2014年9月15日[3]
主なイベントスーパー耐久 (2010)
全日本F3選手権 (1994–1998, 2000–2002, 2004, 2007)
JGTC (1994–1998)
JTCC (1986–1997)
グランプリサーキット (1996–2014)
コーナー数18
メインコース コントロールタワー
  • メインコース - 左回り4,063m
  • オフロードコース - 全長1,463.70m
  • ドラッグコース - 全長935.4m
  • テクニカルコース - 全長705.73m
  • レンタルカートコース - 全長452.0m

メインコースは、宮城県内の近隣に位置するスポーツランドSUGOと同様に山地を開発したため高低差があるコースであった。タイトなコーナーが連続する中速サーキットとされ[4]、さらに国内の他サーキットに比べ路面抵抗摩擦(ミュー)が低く、タイヤ戦略が困難であった。2007年にはコースの舗装が一部改修されている。

全日本GT選手権(JGTC)が1994年から1998年全日本F3選手権1987年から2007年まで、数回開催された実績がある。

2007年以降は、スーパー耐久レース以外に大きなイベントの開催が少なくなった。これに伴いコースレベルが整っていること、年間を通してスケジュールに余裕があること、仙台市中心やICからのアクセスが良く宿泊施設が整備されていること等の条件がよいため、走り込みたい個人以外にモータースポーツライセンスの講習会や小規模のイベント等の開催が容易であった。

このほか、日本国内の車両関係メーカーがテスト車両やタイヤの開発に利用していた[5]。また、日産・GT-Rの開発時に国内のテストコースとして使用された関連(当時のカルロス・ゴーン社長が視察に来たこともある)もあり、下記記載のとおりセーフティーカーとしてGT-Rが貸与されていた。

日本で唯一、SS1/4マイルが計測できる常設ドラッグコースが常設されていた。

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震東日本大震災)では、コースの一部が崩落するなどの被害を受けたが、補修され営業を継続していた。しかし、翌2012年には爆弾低気圧に襲われ[6]、コントロールタワー等の施設が大きな損傷を受けた。このため同年以降はスーパー耐久を含む大規模レースイベントの開催を自粛し、小規模な走行会イベントなどを中心に運営を続けていた。

2014年9月15日をもって営業を終了[7]し、サーキットの建物および路面は撤去された。

2017年9月20日、サーキットの解体時に発生した産業廃棄物アスファルト片など)が、適正に処理されずに仙台ハイランド敷地内に不法投棄されていたとして、宮城県警察は解体業者など関係先を家宅捜索するとともに、同月25日、不法投棄箇所の掘削を伴う捜索を行った[8]

幻の世界スポーツプロトタイプカー選手権(WSPC)開催[編集]

1987年、世界スポーツプロトタイプカー選手権(WSPC)が開催される予定[注 2]であった。開催基準を満足するために、国際自動車連盟(FIA)および日本自動車連盟(JAF)の査察を幾度か受け入れコース改修作業を実施したが、最終確認時に開催基準をクリアすることができず、開催1週間前に断念した。

西仙台ハイランドスキー場[編集]

最寄駅であった東日本旅客鉄道(JR東日本)仙山線西仙台ハイランド駅(廃止済)からの無料送迎サービスがあったため、保護者の同伴なしでも中高生の施設利用が可能であった。しかし同じ仙山線沿線に、より施設の規模が大きく積雪量、雪質ともに良好な山形県の面白山高原スキー場(2009年度以降休止中)があり、その最寄り駅である面白山高原駅のホームは直接ゲレンデに繋がり利便性が格段に良かった。当時の宮城県の学生達は、西仙台ハイランドスキー場よりも面白山高原スキー場を選択することが多かった。

ハーフパイプ設備が宮城県内のスキー場では唯一存在し、冬季以外も利用可能な人工スキー場の営業も行われていた。

沿革[編集]

  • 1974年8月 - 仙台市の西に隣接する宮城郡宮城町に、西仙台ハイランドとしてオープン。
  • 1990年8月 - 仙台ハイランドに改称。
  • 2006年5月24日 - 仙台ハイランドカントリークラブの親会社である青葉ゴルフが資金繰りに行き詰まり、会員権預託金返還が難しくなったため、同日付で仙台地方裁判所民事再生法を申請。
  • 2014年9月 - 仙台ハイランドレースウェイが営業終了。
  • 2015年8月 - 仙台ハイランド遊園地が営業終了。
  • 2016年11月 - 仙台ハイランドカントリークラブが営業終了。

その他[編集]

アクセス[編集]

※バス停の名称は、仙台ハイランド閉鎖後に「鳳鳴四十八滝入口」に改名している。

仙山線には開設当初の名称を冠した西仙台ハイランド駅臨時駅)が存在していたが、2003年10月から全列車通過となり、2014年3月をもって廃止された[10]

脚注[編集]

[編集]

  1. ^ 仙台ハイランドカントリークラブについては、閉鎖期間中でも積雪状態によっては営業していた。
  2. ^ 耐久レースを富士スピードウェイで開催し、1週間後にスプリントレースが開催される予定であった。
  3. ^ 実際CMで流れていたジェットコースターは、当時の山梨・富士急ハイランドに有った「ムーンサルトスクランブル」だった。
  4. ^ 熊ケ根駅には電話による送迎案内の掲示がされていた。

出典[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]