GTL

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人造石油 から転送)

GTL(gas to liquids;ジーティーエル)とは、天然ガス一酸化炭素水素に分解後、分子構造を組み替えて液体燃料などを作る技術である。

この技術により製造された製品はGTL燃料と呼ばれており、かつては人造石油などと呼ばれていた。

目次

[編集] 概要

GTL技術により精製した石油製品は、無色、無臭で、軽油灯油の代替品として使用可能である[1]大気汚染の原因となる硫黄やアロマ分(芳香族)などの不純物をほとんど含まないため、原油由来の製品に較べ、排気ガス中のばい塵硫黄酸化物などの有害物質が少ないことが特徴。環境への負荷が小さい次世代エネルギーとして近年再び注目されている。原油よりも可採年数が長いとされる天然ガスを利用するため、長期の安定供給が可能とみられている。また、氷点下162℃の低温で取り扱う液化天然ガス(LNG)とは異なり、常温での流通と使用が可能である。

2006年現在、ロイヤル・ダッチ・シェルはマレーシアに商業用プラントを保有・稼働し、燃料の供給を行っているが、2010年を目途にカタールで世界最大規模の生産設備を稼働させ[2]、より一層の普及を図る方針と伝えられる。 日本でも、石油資源開発石油天然ガス・金属鉱物資源機構などで研究が進められている。2007年9月4日新潟市東港工業地帯で実証プラントの起工式が行われ2008年の完成を目指す。

[編集] 歴史

[編集] 石炭から石油を

GTLの技術は、1923年(大正12年)にドイツフランツ・フィッシャーハンス・トロプシュにより発明された。現在GTLは天然ガスを加工する技術として位置付けられているが、当初は石炭をガス化させたものを化学反応により液化する技術として開発された。 開発当時、原油価格の暴落でGTLによる人造石油はまったく価格競争力がなかったが、第二次世界大戦中のドイツでは、ナチス政府による保護の下、GTL技術を用いた人造石油が量産された。 また、同じ時期に日本でもドイツから導入した技術をもとに、石炭からの人造石油の製造が進められたものの、技術力や物資が不足しており、工場も爆撃破壊されたことから計画通りに行かず、失敗に終わった[3]

[編集] 南アフリカ

第二次世界大戦後は、GTLによる石油製品の製造は各国で縮小していった。唯一南アフリカでは豊富な石炭資源を背景としてサソール社によるGTL開発・製造が行われており、第一次石油危機の時期に世界から注目を浴びることとなった。またアパルトヘイト政策に対する経済制裁として、南アフリカに対する原油の禁輸が行われていた関係から、同国は原油に替わるエネルギー資源の確保策として、GTL技術を用いた石炭や天然ガスからの石油製品の精製を推進していた。

[編集] 天然ガスから

民間企業では、ロイヤル・ダッチ・シェル社、三菱商事子会社、マレーシアサラワク州政府及びマレーシア国営石油ペトロナスの合弁企業がマレーシアにプラントを設置し、1993年(平成5年)より商業ベースでGTL技術を用いた天然ガスからの石油製品精製を開始している。

[編集] 日本における使用例

2001年(平成13年)から昭和シェル石油はGTL技術を用いた灯油を試験的に発売している[4]

2005年(平成17年)に開催された愛知万博では、ハイブリッドシャトルバスの燃料として、日本で初めて、ディーゼルエンジンにGTL燃料が用いられた。このシャトルバスは、万博八草駅(現・八草駅)と万博会場間などを走行した。

2007年(平成19年)12月から、国土交通省の委託事業で独立行政法人交通安全環境研究所が中心となり、GTL技術を用いた合成燃料による公道走行試験が実施されている[5]

[編集] 関連項目

[編集] 参照

  1. ^ この技術により製造された軽油や灯油は、「合成軽油」「合成灯油」「FTD(Fischer-Tropsch Diesel)燃料」などと呼ばれることがある。
  2. ^ カタールにてシェル、世界最大規模のGTLプラント建設 2003/10/20(プレスリリース)
  3. ^ 1937年(昭和12年)には人造石油製造事業法(昭和12年法律第52号)が制定され、1940年(昭和15年)に福岡県大牟田北海道滝川にGTL工場が建設された。同工場ではガソリン、軽油及びワックスが生産されたが、生産量は戦時下の需要を満たす規模とはならなかった。大牟田の工場は1945年(昭和20年)に爆撃破壊され、その他の工場も建設途中で爆撃されるなど完成には至らなかった。滝川の工場は終戦後数年間操業を続けたが、生産にコストがかかりすぎたため1952年(昭和27年)に倒産した。
  4. ^ 2001年(平成13年)昭和シェル石油はGTL技術を用いたE灯油鎌倉市で試験的に発売。2004年(平成16年)12月4日より、横浜市および鎌倉市の一部地域でテスト販売をした。横浜市横須賀市逗子市に範囲を広げ、会員限定で販売。2005年(平成17年)には、E灯油をエコ灯油という商品名に変えて東京都世田谷区神奈川県藤沢市厚木市などに範囲を広げ、販売した。2006年(平成18年)、川崎市小田原市を除く神奈川県内一部地域、群馬県内の一部地域で地域限定で販売を行った。カタールのGTLプラントの稼動に合わせ、順次販売地域を拡大する方針。2007年(平成19年)、川崎市小田原市を除く神奈川県内一部地域、群馬県内の一部地域で地域東京都の一部で限定で販売中。ポリ缶方式をやめ、リサイクル可能な一斗缶式に換えて販売している。2008年(平成20年)3月31日までの限定販売。
  5. ^ 2007年12月4日「合成液体燃料のFTD燃料を使用した公道走行試験を実施」(トヨタ自動車株式会社HP)

[編集] 外部リンク