人体自然発火現象
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人体自然発火現象(じんたいしぜんはっかげんしょう、Spontaneous Human Combustion、SHC)は、人間の体内から突然発火し、正確な出火元が不明の現象である。科学的には説明がつかない現象であり、超常現象の一種とされる。人体自然発火現象の事例はかなり昔から報告されており、過去には、タバコやアルコールを多く使用する女性のみに起こる現象だと考えられていた。しかし近年では、タバコやアルコールを使用しない人や、男性や子供にも発生した事例が多くあることがわかっている。
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[編集] 概要
人体自然発火現象は、周辺に火気がないにも関わらず、突然人間から発火する。発火は、一定の時間でおさまる。また、発火後の炎上の仕方も、はっきりと下半身のみを残して焼けていたり、片腕だけだったり、背中の一部のみだったりする。被害者は死亡する事例が大半であるが、命にかかわらない部位が焼けたのみの生存者も多くいる。後述の、中国河南省の22歳の男性の場合などでは、性交中の陰茎のみが焼け落ちるという非常に珍しい事例も報告されている。
前述のように、過去にはタバコやアルコールを多く使用する女性に被害の報告例が集中していたため、「タバコに含まれる物質や、体内にあったアルコールが燃料状態になり、何らかの理由で発火したのではないか」という説が唱えられたが、これでは女性と言う点についての説明が出来なかった。しかし近年の事例では、タバコやアルコールを使用しない子供や、男性にも被害が出ていることが明らかになったため、原因は謎とされている。
また、事件の事例は、イギリスが圧倒的に多いことから、イギリスに地理的な原因があるのではないかともいわれている。
[編集] 主な仮説
人体自然発火現象の仮説は、主に以下のようなものがある。[1][2]
[編集] アルコール大量摂取による発火説
前述にもあったが、この仮説は、アルコールを大量に摂取することによって、体内にアルコールが残り、残ったアルコールが燃料状態になるという説である。しかし、アルコールを摂取しない人も被害に遭っているため、現在ではこの説は否定されている。
[編集] リンによる発火説
大気中で激しく燃え上がるリンが、発火を引き起こしているとする説である。しかし、リンが体内で発火することは考えにくい。
[編集] プラズマ発火説
プラズマが被害者に偶然移ることによって、発火するという説である。イギリスでプラズマが多く発生するため、イギリスでの事例が集中しているともいわれている。しかし、被害者の炎上の仕方や、プラズマが被害者に移る確率からして、あまり有力な説ではない。
[編集] 人体ロウソク化による発火説
人体がロウソクのような状態になることによって発火する説である。豚肉を使用する実験では、布に包まれた豚肉がロウソクのような状態になり発火することが明らかになっている。最も信頼性が高い仮説とされているが、人体がどのようにロウソク化するのかは明らかになっていない。死体の脂肪分が変化して蝋化する死蝋と呼ばれる現象もあるが、こちらは湿潤で一定の環境下にある死体が長い期間を掛けて変化するもので、少なくとも数日内に生存が確認された人物が燃え尽きてしまっている人体発火現象の人体ロウソク化説を説明することが出来ない。
[編集] 人体帯電説
被害者の体内に、ある一定の量の電圧が発生し高温になった状態で、何らかの理由で発火するという仮説である。しかし、詳しい内容は説明されておらず、人間の体内に電圧が発生するということに関する解明もなされていない。
[編集] 発火性遺伝子による発火説
人間の体に含まれる遺伝子の中に、発火性のものがあり、それが突然発火するという説である。一部の科学者たちはこの説に注目している。ただし、そのような遺伝子は発見されていない。
[編集] 火災の誤認説
人体が発火元になったのではなく、通常起こり得る原因による火災が、特殊な条件下において人体のみを燃やすと言う結果になったのを、人体発火として誤認しているだけではないかと言う説。
人体発火説では「周りに火の気が無く、人体の周りだけが焦げ、人体そのものはほんの一部を残して炭化ないし焼失している」とされている。しかし火災を誤認したとみる説では何らかの疾病などで急死した人物の着衣にタバコや照明・暖房などを熱源として火が付き、締め切った断熱性の高い屋内で着衣やその周辺がゆっくりと燃える過程で人体の脂肪分が燃料となり更に燃え続け、周囲への延焼も無く室内の酸素が消費されつくして建物が延焼せず鎮火した偶然の結果だというものである。これらは同現象発生時に「室内の気温が異様に高かったこと」や「締め切った室内に充満する酷い焼け焦げた匂い」などの発見事例が、似た状況下で他の物が燃え酸欠などにより自然消火した火災のケースに類似するためで、上の人体ロウソク化現象説を補填する形となっている。
[編集] その他
そのほかの説としては、以下のような仮説がある。
- 電磁波発火説
- 空中に大量に放出された電子が、被害者への発火を引き起こすとするもの。
- レイライン説
- 地球上のレイライン(仮説的概念・古代文明の遺跡を結んだ線)と呼ばれる、ある一定のライン上で何らかの作用により、このような現象が起こるとするもの。
- 球電説
- プラズマ説の一種で球電(雷の際などに観測される特殊な形態のプラズマとみられる現象・火の玉参照)によるとするもの。
[編集] 主な事例
[編集] メアリー・リーサーの事例
1951年7月1日の夕方、アメリカ合衆国、フロリダ州のセントピータースバーグのマンションでおこった事例。被害者のメアリー・リーサーの息子、リチャード・リーサーが母親のマンションを訪ねると、母親はスリッパを履いたままの足などを残して、すでに焼け死んでいた。遺体の周囲にあった古新聞紙などは燃えていなかったと言われているが、これはオカルト信者の広めたほら話にすぎない。実際には部屋の可燃物はすべて燃えており、遺体発見時でもまだ火がくすぶっていた。ただ、部屋がコンクリート製だったため、燃え広がらなかっただけである。
前日に息子が母親を訪ねた際は、母親は読書をしていたというが、その後の電話で、睡眠薬を四錠飲むと言っていた。[3][4]
[編集] アルフレッド・アシュトンの事例
1988年1月8日に、イギリス南部のサウサンプトンでおこった代表的な人体自然発火現象の事例である。被害者アルフレッド・アシュトンは、下半身のみをくっきりと残して焼け、発見時には既に死亡していた。周辺には、火気らしきものはなかった。室内は高温だった。
[編集] 中国河南省の22歳の男性の事例
2008年1月13日に、中国河南省商丘市在住の22歳の男性の陰茎が性交中に突然発火、大学の同級生でもあり同居中の18歳の女性が下半身に重度の火傷を負ったことが同年1月15日付けの台湾「連合報」により報じられた。2人はレンタルームで性交を行っていた最中であったが、突然に下半身に焼けるような痛みに加え熱を感じたことから、男性が陰茎を膣から抜いたところ、男性の陰茎が真っ赤に発火し、強い熱を帯び触れないほどであったが、最後は黒変し消し炭状になったという。2人を診察した医師は人体発火の可能性を示唆した。こうした事例は中国でははじめてであるという。[5]
[編集] その他
漂白剤・消毒剤として用いられる次亜塩素酸ナトリウム水溶液を浴びた衣服を洗浄せずに乾燥させ、着用していたところ突然爆発した事例がある。これは化学反応によって塩素酸ナトリウムなどの強酸化剤が生成され、摩擦熱などによって着火したものである。
衣服に用いられるフリースは構造上多量の空気を含むため、調理時の不注意などで着火すると爆発的に炎上することが知られている。これは起毛部分の多いセーターなどにも見られる「着衣着火」および「表面フラッシュ現象」と呼ばれる現象で、調理のための熱源(コンロ)を操作した際に袖口に着火したケースや、タバコに着火しようとして胴体に引火したケースが報告されている。こうして着火したものが、そのまま全身の表面を移動するように燃焼が進行することで全身大火傷を負う危険もあり、死亡したケースも少なからず存在する[1]。瞬間的な着火では致命的な火傷とはならないが、着火に驚いて熱湯の詰まった薬缶を取り落として足に火傷を負ったケースも報告されている。特に寝巻きやバスローブ・セーターなど、柔らかな風合いが好まれる着衣で、手触りを良くするために緩やかで起毛させてある素材の危険性が高い[2]。
[編集] 脚注
- ^ 服が燃えて大やけど! 知られざる危険「着衣着火」国民生活センター・1997年2月4日リリース
- ^ 防災用語辞典:「表面フラッシュ」 『全身火だるま』の危機!回避法AllAbout記事
[編集] 関連項目
- 超常現象
- オカルト
- 燃焼
- チャールズ・ディケンズ
- (人体自然発火を信じており、「荒涼館」で登場人物の死因に採用している)
- パラサイト・イヴ
- (映画。集合意識を持つミトコンドリアが報復手段として過剰エネルギー放出による出火を行うシーンがある)
- 探偵ガリレオ
- (東野圭吾作の推理小説。人体発火現象を題材にした話が含まれている。)
- 映画『スポンティニアス・コンパッション・人体自然発火』(1990、米、監督:トビー・フーパー)
[編集] 外部リンク
- fitweb.or.jp - 人体自然発火現象
- crc-japan.como - 人体自然発火現象
- A BBC article describing the experiment (英語)
- CSICOP article on spontaneous human combustion (英語)

