人体自然発火現象

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人体自然発火現象(じんたいしぜんはっかげんしょう、Spontaneous Human Combustion、SHC)は、状況的に見て人間の体が自然に発火したのだろうと推察されている現象や事件例に対する呼称である。原因については様々な推察がなされている。

概要[編集]

「人体自然発火現象」という呼称は基本的に、人体が燃えてしまった状態で発見された事例に対してさまざまな判断が加えられて用いられている。「燃えてしまった人の周囲には火気がなかった」などの理由により「人間が自然に発火した」と判断した人が、その事例にこの呼称を用いている。

ある人が友人や同僚の家や仕事場に行ってみたら、その友人や同僚の身体が一部ないしほとんどが燃えてしまった状態で発見され、なおかつ周りには火の気が無く、人体の周囲だけが焦げ、部屋全体は燃えておらず、しかも人体そのものはほんの一部を残して炭化ないし焼失してしまっている状態で発見された、といったような事件が発生している。

主な事例[編集]

メアリー・リーサーの事例[編集]

1951年7月1日の夕方、アメリカフロリダ州セントピータースバーグのマンションでおこった事例。被害者のメアリー・リーサーの息子、リチャード・リーサーが母親のマンションを訪ねると、母親はスリッパを履いたままの足などを残して、すでに焼け死んでいた。前日に息子が母親を訪ねた際は、母親は読書をしていたというが、その後の電話で、睡眠薬を四錠飲むと言っていた。

en:Mary Reeserも参照可。

アルフレッド・アシュトンの事例[編集]

1988年1月8日に、イギリス南部のサウサンプトンでおこった代表的な人体自然発火現象の事例である。被害者アルフレッド・アシュトンは、下半身のみをくっきりと残して焼け、発見時には既に死亡していた。周辺には、火気らしきものはなかった。室内は高温だった。

中国河南省の22歳の男性の事例[編集]

2008年1月13日に、中国河南省商丘市在住の22歳の男性の陰茎性交中に突然発火、大学の同級生でもあり同居中の18歳の女性が下半身に重度の火傷を負ったことが同年1月15日付けの台湾「連合報」により報じられた。2人はレンタルルームで性交を行っていた最中であったが、突然に下半身に焼けるような痛みに加え熱を感じたことから、男性が陰茎をから抜いたところ、男性の陰茎が真っ赤に発火し、強い熱を帯び触れられないほどであったが、最後は黒変し消し炭状になったという。2人を診察した医師は人体発火の可能性を示唆した。こうした事例は中国でははじめてであるという[1]

マイケル・フェアティの事例[編集]

2010年12月22日に、アイルランド西部ゴールウェイで、76歳の男性マイケル・フェアティが自宅の居間で焼死体で発見された。発見時には既に死亡していた。周囲に燃えた跡のようなものは無く、検死官は彼の死因を人体発火現象と判定した。

主な仮説[編集]

人体自然発火現象の仮説は、主に以下のようなものがある。

アルコール大量摂取による発火説[編集]

「アルコールを大量に摂取することによって、体内にアルコールが残り、残ったアルコールが燃料状態になる」という説である。しかし、アルコールを摂取しない人も被害に遭っているため、現在ではこの説は否定されている。

リンによる発火説[編集]

「大気中で激しく燃え上がるリンが、発火を引き起こしている」とする説である。しかし、リンが体内で発火することは考えにくい。

プラズマ発火説[編集]

プラズマが被害者に偶然移ることによって、発火する」という説である。「イギリスでプラズマが多く発生するため、イギリスでの事例が集中している」ともいわれていた。

人体ロウソク化による発火説[編集]

「人体がロウソクのような状態になることによって発火する」とする説である。

火災を誤認した」として「何らかの疾病などで急死した人物の着衣にタバコや照明暖房などを熱源として火が付き、締め切った断熱性の高い屋内で着衣やその周辺がゆっくりと燃える過程で人体の脂肪分が燃料となり更に燃え続け、周囲への延焼も無く室内の酸素が消費されつくして建物が延焼せず鎮火した偶然の結果だ」という推測もなされた[2]

人体帯電説[編集]

「被害者の体内に、ある一定の量の電圧が発生し高温になった状態で、何らかの理由で発火する」という仮説である。

発火性遺伝子による発火説[編集]

「人間の体に含まれる遺伝子の中に、発火性のものがあり、それが突然発火するという仮説である。

その他[編集]

過去には、タバコやアルコールを多く使用する女性に被害の報告例が集中していたため、「タバコに含まれる物質や、体内にあったアルコールが燃料状態になり、何らかの理由で発火したのではないか」とも言われていた。

また、事件の事例は、イギリスが圧倒的に多いことから、イギリスに地理的な原因があるのではないかともいわれていた。

そのほかの説としては、以下のような仮説がある。

電磁波発火説
空中に大量に放出された電子が、被害者への発火を引き起こすとするもの。
地球上のレイライン(仮説的概念・古代文明の遺跡を結んだ線)と呼ばれる、ある一定のライン上で何らかの作用により、このような現象が起こるとするもの。
球電説
プラズマ説の一種で球電の際などに観測される特殊な形態のプラズマとみられる現象・火の玉参照)によるとするもの。

関連する作品・フィクション[編集]

集合意識を持つミトコンドリアが報復手段として過剰エネルギー放出による出火を行うシーンがある
原理説明は映画と同一。終盤では極限進化したネオ・ミトコンドリアにより爆発を引き起こすほどの威力となった
東野圭吾作の推理小説。人体発火現象を題材にした話が含まれている
神永学作の推理小説。人体発火現象が疑われる死体が発見されている
  • 『青い炎の殺人』
ジョゼフ・ローゼンバーガー作のアクション小説。世界各地で人体自然発火が続発する
  • 『エーコと【トオル】と部活の時間』
柳田狐狗狸作のライトノベル。主人公に敵意を抱く女子生徒たちが主人公の目の前で衆人環境のもと次々と発火する事件が発生する
和月伸宏作の漫画。作中の登場人物・志々雄真実は過去に全身を焼かれ、発汗組織がほぼ全滅したことで体温調節ができなくなり、全力で動ける時間である15分を超えると体温が上がり続ける。限界を超えて上がり続けた体温は最終的に血液を蒸発するようになり、ついには自らの脂とリンで発火現象を起こし、炎の中に消えていった。

作品関連項目

人体自然発火を信じており、『荒涼館』で登場人物の死因に採用している

その他[編集]

衣服に用いられるフリースは構造上多量の空気を含むため、調理時の不注意などで着火すると爆発的に炎上することが知られている。これは起毛部分の多いセーターなどにも見られる「着衣着火」および「表面フラッシュ現象」と呼ばれる現象で、調理のための熱源(コンロ)を操作した際に袖口に着火したケースや、タバコに着火しようとして胴体に引火したケースが報告されている。こうして着火したものが、そのまま全身の表面を移動するように燃焼が進行することで全身大火傷を負う危険もあり、死亡したケースも少なからず存在する[3]。特に寝巻きやバスローブ・セーターなど、柔らかな風合いが好まれる着衣で、手触りを良くするために緩やかで起毛させてある素材の危険性が高い。

脚注[編集]

  1. ^ [1] - 中国語サイト
  2. ^ 「奇跡体験アンビリバボー」(2003年7月10日放映)でのジョン・デハンによる説。
  3. ^ 服が燃えて大やけど! 知られざる危険「着衣着火」国民生活センター・1997年2月4日リリース

関連項目[編集]

外部リンク[編集]