京王9000系電車

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京王9000系電車
京王9000系電車30番台 (9732F)(2006年5月27日 / 南平 - 平山城址公園)
京王9000系電車30番台 (9732F)
(2006年5月27日 / 南平 - 平山城址公園)
編成 8・10両編成
起動加速度 2.5 km/h/s
3.3 km/h/s(30番台・新宿線内)
営業最高速度 110 km/h
設計最高速度 120 km/h
減速度 4.0 km/h/s(常用最大)
4.5 km/h/s(非常)
車両定員 141名(先頭車)・152名(中間車)
最大寸法
(長・幅・高)
20,000 / 2,845 / 4,100(mm)
車体長 19,500 mm
軌間 1,372 mm
電気方式 直流1,500V
主電動機 かご形三相誘導電動機
170kW(1基あたり)
編成出力 2,720kW(8両編成)
3,400kW(10両編成)
歯車比 6.07
制御装置 VVVFインバータ制御
IGBT素子
駆動装置 WN平行カルダン駆動
ブレーキ方式 回生ブレーキ併用全電気指令式空気ブレーキ
全電気ブレーキ
保安装置 京王ATC
D-ATC(JR型) ※30番台のみ
製造メーカー 日本車輌製造東急車輛製造

京王9000系電車(けいおう9000けいでんしゃ)は、2001年平成13年)1月24日に営業運転を開始した京王電鉄通勤形電車

2009年12月時点で8両編成8本(64両)と10両編成20本(200両)の計264両が在籍しており、8両編成は0番台、10両編成は30番台として区別されている(後述)。また、本系列は京王の現有車両では最多両数系列となっている。

本項では新宿方の先頭車の車両番号を編成名表記(例:9701F、末尾の「F」は編成を意味するFormationの頭文字)として扱い、各編成について取り扱う際はこの番号を用いる[1]

目次

[編集] 概要

8000系の新製が終了した後、2000年度から製造が開始された。30番台の一部の製造分を除き、代替として6000系廃車されている。6000系は経年が古く、傷みの進行が早い8両編成から廃車したため、9000系は増結用として1980年代以降に新製した6000系および7000系の2両編成と併結できるように設計された。しかし、6000系在籍時には専ら6000系が相手だった。(運用の項も参照)

2006年1月からは、東京都交通局都営地下鉄新宿線乗り入れ対応編成が登場した。これらの編成は車両番号の下2桁を30番台として従来の編成と区別している。

なお、標準車両制定後の登場である30番台も含めて座席配置・客用扉間の寸法は独自のものを採用しており、また主電動機出力などもガイドラインに沿っているものではなく標準車両には適合していない。

※ 本項では本線系優等列車は便宜上京王八王子高尾線動物園線方面への優等列車のことを指し、相模原線系統の列車は含まないものとする。

[編集] 性能・外観

0番台 (9702F)
(2006年5月16日 / 京王多摩センター駅

主電動機出力は170kW。IGBT素子を用いた日立製作所2レベル方式のVVVFインバータ制御装置をM1車系に搭載し、一基のインバータで主電動機8台を制御する(4台ずつ開放可能な2群構成:2C8M)。10両編成に存在する単M車は1C4Mである。台車は、東急車輛製造製の軸梁式軸箱支持ボルスタレス台車であり、形式は電動車がTS-1017、付随車はTS-1018。車輪径860mm、軸間距離2,200mmである。

車体は軽量ステンレス製であるが、日本車輌製造の標準車体構造(ブロック工法も参照)で設計されたビードがない構造になっており、客用ドア部分に縦の溶接線が入っているのが特徴である。側扉は側面の他の部分より表面の処理方法が異なる。戸袋窓は設置されていない。0番台の偶数編成は東急車輛製造製であるが、これも同一構造である。先頭形状は京王によればかつての5000系をイメージしたデザインで、普通鋼で製造されている。前面窓も5000系と同様にパノラミックウィンドウが採用されている。設計者によると明るいイメージとやさしさを印象付ける、とされている。前面窓上部には急行標識灯が設置されている。オリジナルは橙系の色であるが、2007年10月から11月にかけて白色LEDに交換されている。ヘッドマークを装着する場合は貫通扉の窓下に五角形のものを取り付ける。前面のステップは左右に分割されており、30番台のほうがやや横長である。裾の処理は0番台と30番台でほぼ同じだが、0番台はわずかに曲がっているのに対し30番台は直線で、若干の差異がある。車体側面に車外放送用スピーカーを設置している。転落防止幌は折り畳み可能である。

主要部寸法は以下の通り。

  • 台車中心間距離13,800mm
  • 床面高さ1,130mm
  • 側扉高さ1,830mm
  • 貫通路高さ1,850mm

パンタグラフは8000系で試験採用されたシングルアーム式を採用し、0番台・30番台ともに下り方(京王八王子・高尾山口・橋本)寄りに設置されている。ラジオアンテナは9706Fの3号車(デハ9106)で試用され、新宿寄りの屋根に設置した[2]。その後9707Fと9708Fで本採用され、各車両の新宿寄り(クハ9707とクハ9708は八王子寄り)屋根に設置されている。30番台は設置準備工事のみとなり、あらかじめ台座が用意されている。冷房装置は屋根上搭載の集中式で、ベンチレーターは設置していない。車両番号はゴシック体表記である。

[編集] 室内

京王の鉄道車両として初の、ドアチャイムとLEDスクロール式(千鳥配置)または液晶ディスプレイ(各ドア)による車内旅客案内装置を装備している。ドアが開く時は東海旅客鉄道(JR東海)の313系と、閉まる時は都営三田線用の6300形近畿日本鉄道7000・7020系以外の通勤・急行形とそれぞれ類似したドアチャイムが流れる(これらは、後に8000系・7000系更新車・1000系にも改造して設置されている)。製造当初は車内自動放送設備がなかったが、2010年5月1日より一部の編成に導入された[3]

つり革も、初めて三角形のものが採用された。枕木方向のつり革は、全編成とも落成時点から1列あたり2本が設置されており、扉間の列数は2列または3列[4]である。車端部は、座席荷棚・つり革の高さが、他の部分より低い。

座席モケットの色は8000系よりやや濃く、バケットの形状も変更されている。1人当たりの座席の幅も10ミリ広げられた[5]。また、京王では初めて板状のシート仕切りが設置された(形状は東急3000系のものとほぼ同一)。座席配置は従来車と同様に4-7-7-7-4人掛けとなっている[6]。7人掛け座席には、3+4人で区切るスタンションポールが設置されている。側窓は7人掛け部が2連、4人掛け部が1枚であり、一部側窓が固定式である他は一段下降式である。側扉は両開きである。

照明はカバーのない蛍光灯である。

8000系まで設置されていた駆動装置点検蓋は設置されていない[7]

[編集] 運転台

運転士からの視認性向上を目的に、京王線の他系列に比べて運転台の位置が高くなっている。カラースキームは灰色である。速度計はデジタル式を採用した8000系で視認性の問題が指摘されたため、1000系と同様に140km/h表示の白地のアナログ式とされた[8]。速度計は0番台と30番台でATSATC信号表示スペースに差異があるほか、30番台については都営新宿線で使用するデジタルATC用の進路表示器も併せて設置されている。圧力計は他系列と同様に白地である。加えて、戸閉め表示灯の点灯時及び消灯時に音が鳴動する。これは車掌からのブザーによる出発合図とは異なり車掌スイッチの操作により扉が開閉した事自体に対して鳴動するものである。警笛は通常の警笛と電気笛を新造時から搭載している。

速度計の左側にはTNS装置のカラー液晶モニタが設置されていたが、自社ATC導入に伴う改造によりこの部分にはATC関連の表示器が新たに取り付けられている。また、別に車両機器の動作状況を表示するモニタ装置TIMSに類似する)が運転席上部に取り付けられており、種別・行先表示器の設定は0・30番台の双方とも後者のモニタ装置で行う。マスコンハンドル[9]の形状は8000系までの系列より大型化されている。形状は1000系のものに似ているが、運転台デスクのノッチ刻みの印は異なる。

乗務員室と客室の仕切りには窓が3か所あり、いずれも遮光幕を設置している。中央の乗務員室扉窓は角に丸みがあり、左右の窓は四角形である。

[編集] 番台別概説

[編集] 0番台

0番台・9707Fの京王八王子寄り先頭車クハ9757
(2005年6月 / 調布駅

2000年度に2本、2001年度3本、その後各年度1本ずつ、2004年7月までに8両固定編成8本(64両)が投入された。編成は電動車4両と付随車4両から成り、MT比は4M4Tである。パンタグラフは3基を搭載し、電動車のうち2号車(デハ9151 - 9158)のみ搭載していない。

将来の都営新宿線乗り入れを前提に設計されたが、登場の時点ではまだ都営新宿線にVVVFインバータ制御車両が入線不可能な状況であり、都営新宿線乗り入れ用の機器は装備されていない[10]

室内は妻面側の化粧板に、京王の電車では初めて木目調のグレーのものを採用している。それ以外の部分は白色系である。座席構造は東日本旅客鉄道(JR東日本)のE231系などと同じく、袖仕切りや壁だけに支えられた片持ち式で[11]、袖仕切りが大型であるにも関わらず上部に横方向の手摺パイプを設置しているという、他鉄道事業者では見られないデザイン形態であったが、後述する30番台では横方向の手摺りを廃止した[12]。側扉窓は外側から支持する形状で、化粧板を貼付する室内側は平滑になっている。デザインは日本車輌と東急車輛によるものとされている。設計者によると、温もりを表現するために彩度を押さえ落ち着きのある大人の空間の色にしたという。

10両編成で都営新宿線への乗り入れを行う際に6000系2両編成を橋本寄りに増結できるよう、クハ9750形の乗務員室は6000系と同様に貫通路を構成できる仕切りを設置した構造である。逆にクハ9700形には仕切りがない。また、都営新宿線に乗り入れない運用では増結車を新宿側に連結するため、貫通路を使用することはない[13]

[編集] 30番台

北野駅に進入する9731F
(2009年3月10日)

都営新宿線のCS-ATCはデジタルATCに更新され、VVVFインバータ制御車両でも乗り入れに支障がなくなったことから、登場時より乗り入れ用機器を装備している。2006年1月に第一陣が落成し、同年3月15日より営業運転を開始すると同時に都営新宿線への直通運転も開始した。10両固定編成で、電動車5両(うち1両は1M構造車)と付随車5両から成る5M5T編成を組む。パンタグラフはすべての電動車に搭載している。

乗り入れ時に使用する前面の運行番号表示器はLED式で、車掌台下部に設置している。運行番号の表示書体は6000系の一部編成で旧来から採用していた明朝体で、オレンジ1色のみでの表示である(行先・種別表示にはフルカラーLEDが用いられ、ゴシック体で表示される)。ただし、6000系よりも表示サイズは小さい。

前面形状は0番台とほぼ同じだが、貫通取り付け台座を廃止したため、0番台と違い前面の帯がつながっている。10両固定編成のため、クハ9750形の乗務員室内の仕切りは設置していない。

車体前面・側面の種別表示器は、京王では初採用のフルカラーLED式となった[14](ただし側面の種別表示器は種別部分のみフルカラー表示が可能。行き先部分は白色表示のみ)。車内掲出の路線図と同様に、快速通勤快速は青地、急行は緑地、準特急はオレンジ地、特急はピンク地で表示される。側面の種別表示は従来の3色LED車と同様に「各停」以外も省略表示(例:準特急→準特)となる。行先表示は字幕式車とは異なり新線新宿および都営新宿線内の駅名も含め全て黒地白文字である。車内案内表示器は0番台編成と同様の3色LED式である(後に液晶ディスプレイを採用した編成も登場。詳細は後述)。この表示器は新宿線内でも次駅停車表示が可能になっており、同線内走行時には次停車駅のドアの開く方向も到着前に表示する。表示方式は停車時を除き都営新宿線10-000形の7次車のものとほぼ同様である。車体側面の窓ガラスは、0番台と同じ形状だが、新たにUVカットグリーンガラスを採用し、巻き上げ式カーテンを省略した。

車内座席の袖仕切りの形状は0番台から変更した。地下線運用を考慮してか、室内の化粧板の色調は妻面も含めて明るい白色を採用した。0番台では2両に1か所の設置であった貫通扉も各車両の京王八王子寄りに設置している。ドアチャイムも音自体は0番台と同じであるが、音質が若干違っている。車椅子スペースは2・5・7・9号車の新宿駅寄りの山側に設置している。

加えて、以下の点で、0番台と比較してコストダウンが図られている。

  • 客用扉はこれまでの京王車両の窓が角ばっている標準タイプとは異なり、都営新宿線10-300形やJR東日本E231系と同様に窓の角が丸く室内側は平らなゴムによる接着式のものを採用し、室内側もステンレス無塗装仕上げとされた。扉本体は京成電鉄新3000形と同じく光沢の強いものを使用している。
  • 車体妻面の窓を廃止した。
  • 車内の号車表示等をプレートからシールに変更した。
  • 車内のラインデリア整風板がアルミ製に変更された[15]

2008年1月に落成した9736Fより、若干の仕様変更が行われた。変更点は以下のとおりである。

  • 側面のLED式種別・行先表示器の表示部分を拡大し、行き先部分を含めフルカラー表示が可能となった。LEDは交互表示が可能なタイプに変更(画像を参照)。なお交互表示は初期の編成でも表示できるよう改良された。
  • 客用扉上部の車内旅客案内装置をLED式からワイド画面の液晶ディスプレイに変更し、各客用扉上部に1基設置した[16]。表示レイアウトは京王オリジナルのものとなっている。
  • スタンションポールの形状を直線から弓形へ変更。
  • 非常通報装置のカバーの形状を、角が丸まっているタイプから角ばっているものに変更。
  • 車内放送用のマイク形状や車外スピーカーのカバーは都営10-300形と同様のものに変更された。

なお、LED式行先表示器の交互表示、液晶ディスプレイの採用は京王初である。

  • 車内自動放送装置を設置。新造時は準備工事のみだったが、前述のとおり2010年5月より使用を開始した。

本番台は末尾31- / 81- から付番されたため、19本目で各形式とも上限の末尾49 / 99に到達してしまった。そのため20本目の編成は末尾30 / 80と繰り上がって付番されている。また、この編成は前面の「KEIO」ロゴが灯火類の下部に表記されている。

[編集] 運用

[編集] 0番台

9000系9702F(下り側・画面の奥8両)と6000系6413F(上り側・画面の手前2両)を併結した列車
(2007年2月17日 / 南平 - 平山城址公園)
  • 6000系や7000系の8両編成などと共通に、特急から各駅停車まで幅広く運用している。ただし、特急での運用はかつての相模原線特急および2001年(平成13年)3月と2006年(平成18年)9月のダイヤ改定直後に見られた程度で、準特急運用(平日は高尾系統、土休は八王子系統)が多かった。しかし、最近は6000系8両固定編成の廃車と10両固定の30番台車の増備が進んだため、準特急での運用は減少した。
  • 8000系20番台(8両編成)とは異なり、新宿寄りに増結用の6000系または7000系の2両を併結して10両編成で運行できるため弾力的な運用が可能であり、朝ラッシュ時や特急・準特急の運用を中心に10両編成での運行も行われている。併結相手は主に6000系であり、7000系と併結して運用することは少なかった。理由としては更新前の7000系は6000系と電装品こそ同じだが一部の回路が異なっており乗り心地が悪化しやすい為であったが、2009年より併結相手は7000系が多くなった。

[編集] 30番台

  • 10両固定編成であることから、登場後しばらくは6000系30番台編成と共通の朝ラッシュ時の都営新宿線への乗り入れや、7000系・8000系10両編成と共通の朝夕ラッシュ時の相模原線系優等列車に使われていた。2006年9月のダイヤ改定より、京王車の都営新宿線の乗り入れ運用が基本的に10両編成となったため、終日都営線に直通するようになった。また、若葉台で出入庫する運用を中心として他系列と共通に京王線新宿発着の優等列車やラッシュ時の各駅停車に運用されることもあり、9733Fが営業入りする以前は乗り入れ用の10両編成がすべて運用に入っていた[17]

[編集] その他

[編集] 脚注

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  1. ^ 文献によって新宿方先頭車の車両番号を編成表記とする場合(例:9701F)と、編成内最若番の車両の番号を編成表記とする場合(例:9001F)とする場合とあるが、ここでは京王電鉄のニュースリリースでの表記に従う。
  2. ^ その後デハ9106のラジオアンテナは撤去され、台座のみが残っている。
  3. ^京王線で車内自動放送(日本語・英語)を導入します」京王電鉄ニュースリリース、2010年4月26日
  4. ^ 2列から増設された車両も存在する。
  5. ^ 京王れーるランド内に展示の資料より。
  6. ^ 20m4扉の標準車両より車端部が1人分多い。
  7. ^ これは井の頭線用1000系1711F以降も同様である。
  8. ^ 6000系は当時は全車黒地、7000系は2008年現在も全車黒地である。
  9. ^ 他系列も含めて力行4段、常用制動7段である。
  10. ^ ただし、早朝・深夜に新線新宿着発の運用がある他、休日の東京競馬場での競馬開催日に府中競馬正門前駅からの臨時急行として新線新宿まで運転されることもある。
  11. ^ バケット形状など、E231系などとは仕様が異なる。
  12. ^ 井の頭線用1000系1711F以降も片持ち式座席を採用したが、デザインは異なる。
  13. ^ 6000系同士で8+2の10両を組成する場合でも非乗り入れ運用では貫通路は使用しない。
  14. ^ 後に0番台もフルカラーLEDに交換された。京王9000系,表示器がフルカラーLEDに(railf.jp)
  15. ^ 8000系と同一品であるが、同形式とは異なり無塗装である。
  16. ^ 将来的には2画面化が出来るように準備工事も施工している。
  17. ^ 2006年9月の改定時、10両編成の都営新宿線直通運用は最大11運用(平日朝ラッシュ時)であった。この時点で京王側で用意していた乗り入れ用10両編成は6000系が10本と9000系が2本であった。
  18. ^京王グループ 一畑電車応援企画」京王電鉄ニュースリリース、2010年4月21日

[編集] 参考文献

  • 京王の電車 京王電鉄広報部 2001年3月発行

[編集] 外部リンク


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