二重指数関数型数値積分公式

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二重指数関数型数値積分公式(にじゅうしすうかんすうがたすうちせきぶんこうしき、Double Exponential Formula、略してDE公式)とは変数変換に基づく数値積分の公式の一つである。この公式は森正武高橋秀俊によって提案された。変換後の被積分関数が端点で二重指数関数的に減衰することが特徴である。数値積分の効率性の観点で、この公式がいろいろな点で使いやすく、非常に応用が利くと言われている。また、この公式は変換前の被積分関数が端点で特異性を持つときにも有効である。ただし、被積分関数によって適用できない場合があるので注意が必要である。

具体例[編集]

以下、いろいろな積分と、それに対応する二重指数関数型の変換を示す。

\int_{-1}^{1} f(x)dx   \Rightarrow x = \tanh \left(\displaystyle{\frac{\pi}{2}} \sinh{t}\right)
\int_{0}^{\infty} f(x)dx  \Rightarrow x = \exp \left(\displaystyle{\frac{\pi}{2}} \sinh{t}\right)
\int_{0}^{\infty} f_{1}(x)\exp(-x)dx  \Rightarrow x = \exp \left(t-\exp(-t)\right)
\int_{-\infty}^{\infty} f(x)dx  \Rightarrow x = \sinh \left(\displaystyle{\frac{\pi}{2}} \sinh{t}\right)

台形公式への適用例[編集]

積分

I=\int_{-1}^{1} f(x)dx

の場合、変数変換

x = \phi(t) = \tanh \left(\displaystyle{\frac{\pi}{2}} \sinh{t}\right)

によって積分は次のような形になる。

I=\int_{-\infty}^{\infty} f(\phi(t))\phi'(t)dt

これに、きざみ幅が等間隔hである台形公式を適用すると、

I_h = h \sum_{k=-\infty}^{\infty} f(\phi(kh))\phi'(kh)

を得る。さらに、この和を有限項までで打ち切ると、以下の数値積分公式が得られる:

I_h^{(N)}=\displaystyle{\frac{\pi}{2}}h  \sum_{k=-N_-}^{N_+} f \Bigl( \tanh \left(\displaystyle{\frac{\pi}{2}} \sinh{(kh)}\right)\Bigr)\dfrac{ \cosh{(kh)}}{\cosh^2 \left(\displaystyle{\frac{\pi}{2}} \sinh{(kh)}\right)},N=N_- + N_+ + 1

ここで、Nは被積分関数f(x)の関数値を評価する回数である。N_-N_+は、離散化誤差(\Delta I=I-I_h)と打ち切り誤差(\varepsilon=I_h-I_h^{(N)})がほぼ等しくなるように決める。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  • 森正武 『数値解析 (第2版)』 共立出版、2002年
  • Takahasi, H. and Mori, M. (1974). "Double exponential formulas for numerical integration". Publications of the Research Institute for Mathematical Sciences (京都大学) 9 (3): 721––741. 
  • Ooura, T. and Mori, M. (1991). "The double exponential formula for oscillatory functions over the half infinite interval". Journal of Computational and Applied Mathematics (Elsevier) 38 (1-3): 353––360. 
  • 森正武:「二重指数関数型変換のすすめ」,京都大学数理解析研究所講究録、第1040巻(1998),pp.143-153. url=<http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1040-20.pdf>