九偉人

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最古のものとされる九大偉人の彫刻、ケルンの旧市役所.

九偉人(仏表記les neuf preux、英表記Nine Worthies)とは、歴史上、あるいは聖書、神話、伝説に登場する英雄のうち、中世ヨーロッパにおいて騎士道を体現する偉大な人物として信じられていた9人の英雄のこと。九偉人が初めて記されたのは14世紀初期、ジャック・ド・ロンギオン(en:Jacques de Longuyon)の著書である。9人の英雄はキリスト教以前旧約聖書の時代、キリスト教徒の3人組みに分けられ、それぞれの分野での騎士・戦士の理想像として考えられた。九大偉人の選定はたちまち中世ヨーロッパの文学、芸術の分野で共通のテーマとなり、やがて不動の知名度を獲得した。男性英雄については固定されていたが、この亜種である女性英雄については流動的でときたま追加、変更が加えられている。

人物[編集]

9人の偉人は全員が優れた武人であり、ヘクトールと(議論のあるところだが)アーサー王を除く全員が征服者である[1]。また、ほとんどが王あるいは皇帝など貴族の出身であることも特徴である。彼らは母国に栄光と名誉をもたらし、その武勇は記録に残された。彼らの突出した活躍は歴史的な文献と結びつき、騎士道精神の模範となった。マロリーの『アーサー王の死』を出版したウィリアム・キャクストンなどもアーサー王について語る際、九大偉人について言及している。

ニューヨークのメトロポリタン美術館は九偉人を描写した15世紀初期のタペストリーの断片をいくつか展示している。また、九大偉人はルネッサンス期の仮面劇でも人気の演目になっていた。また、トランプの絵札についても、この9人の中から相当の人間が選ばれている。詳しくはトランプを参照。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 古代のアーサー王はイギリス内でアングロ・サクソン人と戦ったにとどまるが、やがてローマ遠征をしたという伝説が追加されている。