鈴木九郎

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
中野長者から転送)

鈴木 九郎(すずき くろう、建徳2年(1371年)頃 - 永享12年(1440年))は、室町時代商人僧侶紀伊国の生まれ。現在の東京都中野区から新宿区西部(中野坂上から西新宿付近)の開拓や商売で成功し、中野長者(なかのちょうじゃ)と呼ばれた人物として知られる。

略歴[編集]

代々紀州で熊野神社の祭祀を務めた鈴木氏の末裔で、応永年間に武蔵国多摩郡中野邑(現在の東京都中野区)に来たとされている。

武士の出自であるが、武士として生計を立てることはできず、の売買や当時荒地だった中野付近の開拓で生計を立てようとした。商売は成功し、近郷の誰よりも財を成し、人々から中野長者と呼ばれるようになった。

これらを糧に、信仰心の厚かった鈴木は自身の故郷・紀州の熊野十二所権現を祀った神社を、自身の開拓地に建立した。現在西新宿にある熊野神社であり、付近一帯は十二社(じゅうにそう)とも呼ばれている。

現在の成願寺

鈴木には小笹という一人娘がいたが、18歳で死去した。これは鈴木に大きな悲しみを与え、残りの人生を仏門に生きることを決意させた。永享10年(1438年)のことであった。名を「正蓮」と改め、得度し自身の邸宅を寺院とした(現在の成願寺)。その後永享12年(1440年)に65歳で死去した。墓所は自身が建てた成願寺にある。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]